ソニーが4Kディスプレイ「Xperia Z5 Premium」を発表――「世界初」にこだわった意地とプライドは世間に通用するか石川温のスマホ業界新聞

» 2015年09月14日 06時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 9月4日からドイツ・ベルリンで欧州最大の家電展示会「IFA」が開催されている。

 ソニーはフラグシップモデルとして「Xperia Z5」「Xperia Z5 Compact」、そして「Xperia Z5 Premium」を発表した。

 やはり気になるのは、世界初となる4Kディスプレイを搭載したXperia Z5 Premiumだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年9月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。


 はじめて4Kディスプレイを搭載すると聞いたとき「熱は大丈夫なのか」というのが本気で心配になってしまった。

 Xperiaといえば、ここ最近も熱問題が浮上している。IFA会場でソニーモバイルコミュニケーションズ、プロダクトビジネス グループ UXクリエイティブデザイン&プランニング・プロダクトプランニング統括部長である伊藤博史氏を囲む機会があったので、早速、聞いてみることにした。

 伊藤氏によれば「熱対策は充分に行っている。ハード、ソフトウェアで手を入れている。 ハード面で逃がしつつ、アルゴリズムの組み合わせによって対策は充分といえる。心配しなくて良い感じなっている」と胸を張る。

 もうひとつ、気になるのがバッテリー消耗だ。

 この点についても「4Kでの表示は静止画や動画などに限定しており、Webやメール、SNSなどは解像度をフルHDに落として表示する。またディスプレイにメモリを搭載し、CPUをあまり動かさなくてもいいようになっている」(伊藤氏)。これにより、他機種と同様に2日間使えるバッテリー寿命を実現しているとのことだ。

 4Kのコンテンツは主にXperiaの4Kモードで撮影したコンテンツや、他の4K対応カメラで撮影したものを観るのが中心となる。

 ネットフリックスなどでは4K映像の配信も行っているが、スマホ向けは非対応のようで、ソニーとしても「コンテンツ提供側と話し合っている状態」(伊藤氏)とのことだ。

 現状は、スマホ向けはフルHDで配信されていても、4K相当にアップコンバートされた状態で表示されるという。

 正直言って「4Kスマホを市場に投入するのは早すぎるのではないか」と思う人も多いだろう。

 しかし、世界に先駆けて、ソニーが発表した意味は大きいと思う。ソニーがこのタイミングでやらなければ、スマホ向け4Kディスプレイを開発しているシャープか、スペックで他を出し抜こうとする中国メーカーが「世界初4K」の称号をかっさらっていたはずだ。

 これほど、テレビやカメラで4Kをアピールしていたソニーが、スマホで世界初の4Kディスプレイを投入できていなかったら、それこそ、ソニーはスマホ事業から撤退してもいいぐらいの失態だ。

 伊藤氏は「1080の次は4Kの時代。ソニーとしても映像コンテンツを作っているが、1080から4Kが増えていく。2Kは中途半端であり、我々はBRAVIAで4Kの技術がある。 スマホと4Kを適合させる技術のチャレンジとして投入した」と意気込みを語る。

 ソニーとしては「Xperia Z5」をメインのフラグシップとして位置づけて収益を稼ぎつつ、 Xperia Z5 Premiumをソニーが誇る最高峰の技術の結晶として訴求していく。

 「Xperia Z5」「Xperia Z5 Compact」は王道を行くモデルであり、それなり売れるのだろうが、背面の印象がちょっと変わったものの、まだまだ守りに入っている感が強い。

 Xperia Z5 Premiumは端末価格も「プレミアム」になりそうで、当然のことながら爆発的に売れるとは考えにくい。

 しかし、このタイミングで製品を投入してきたソニーの「意地」を感じられるし、ソニーを象徴する一台としてインパクトは充分にあるといえるだろう。

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