アップロード無制限のMVNOサービスが登場 楽天モバイルが事業移管を決定――2015年11月データ通信編格安SIM定点観測(1/4 ページ)

» 2015年12月17日 20時10分 公開
[井上翔ITmedia]

 10月は、UQコミュニケーションズが「UQ mobile」を運営するKDDIバリューイネイブラーを合併したこと、インターネットイニシアティブ(IIJ)がビックカメラグループの店頭でSIMカードの即日再発行・サイズ変更サービスを始めたことが大きなトピックだった。

 11月は、アップロード(上り)通信の速度・容量制限を無制限としたMVNOサービスが登場したり、ある通信事業者のMVNOサービスが親会社にサービスを移管したりしたことなどが大きな話題となった。さっそく振り返ってみよう。(記事中の料金は、特記のない限り税別。11月30日までの情報をもとに掲載)

法人向けMVNOサービス「CamCast Mobile」はアップロード通信が無制限

 携帯電話でのデータ通信では、圧倒的にダウンロード(下り)の通信量が多く、アップロード(上り)の通信量はそれほど多くないと言われている。LTE(LTE-Advanced)の進歩も、下り通信速度をとにかく高速化する方向に振っている。ただし、現状でも上りの最大通信速度は50Mbps(理論値)ほどであり、実測値でも条件が良ければ20Mbps(2.5MB/秒)前後の速度が出る。

 そのようなこともあってか、最近ではテレビ番組の生中継の映像伝送にLTE回線を使うことが増えてきている。そのような需要を狙って登場したMVNOサービスが、キャムキャスト7の「CamCast Mobile」だ。

 このサービスは、上り通信に対して通信速度・容量の制限を設けていない(上下合わせて7GB以上通信すると、下りの通信速度は256kbpsに制限される)。圧倒的に上り通信が多い動画配信に最適、というわけだ。

 契約は法人のみで、料金は1年契約で12万8000円、2年契約で17万8000円(いずれもSIMカードのみの場合、契約期間分のユニバーサルサービス料込み)だが、2016年3月末まではキャンペーンで1年契約が9万8000円、2年契約が13万8000円となる。初期費用(事務手数料)は無料だ。

 法人向けサービスということで、料金も高めだが、面白いMVNOサービスであることは間違いない。最近は、「ツイキャス」や「ミックスチャンネル」など、個人でも動画配信サービスを利用することが増えている。個人向けにも、動画配信(上り通信)に特化したMVNOサービスが出てきても良いのではないか、と個人的には思っている。

法人向けの上り通信特化型MVNOサービス「CamCast Mobile」 法人向けの上り通信特化型MVNOサービス「CamCast Mobile」。なお、IIJがMVNEとして支援している

「楽天モバイル」が楽天に事業移管

 10月29日にサービス開始1周年を迎えた「楽天モバイル」。楽天の子会社で、通信事業を手がけるフュージョン・コミュニケーションズがMVNOとしてこのサービスを提供してきたが、12月1日から親会社の楽天が事業を承継し、直接サービスを手がけることになった。既存ユーザーは、特に手続きする必要はない。また同日に、フュージョン・コミュニケーションズは「楽天コミュニケーションズ」に商号変更する。

 今回の取り組みは、「サービスの提供者」と「回線調達者」の役割分担を明確化することが目的の1つだが、楽天モバイルに楽天として本腰を入れることの現れでもある。今後、楽天モバイルと、楽天が手がけるサービスとの相乗効果がどこまで高まるか、注目したい。

「楽天モバイル」の運営会社変更の通知 「楽天モバイル」の運営会社変更の通知。既存ユーザーは特に手続きをする必要がない

「もしもシークス」が1日単位で通信容量が復活するプランを新設

 エックスモバイルのMVNOサービス「もしもシークス」が、11月2日に新たなデータ通信専用プラン「これでもかっ!!」の販売を開始した。

 従来のデータ通信専用プランでは、1カ月あたりの通信容量とは別に、3日間あたり1.2GB以上通信した場合の速度制限が設けられていた。それに対し、このプランでは高速通信可能な容量を1日あたり350MBに設定し、「『深夜24時になれば速度が戻る』という顧客にわかりやすい設計」(プレスリリース中の木野将徳社長のコメント)となっている。

 MVNOサービスでは、月間の通信容量とは別に、日単位で容量を制限していることが多い。それを知らずに一気に音楽や動画を楽しむと、低速な通信を長時間強いられることもある。この新しいプランでは、通信容量制限を日単位にすることによってイライラを解消しよう、というものだ。このようなプランは、他のMVNOサービスでも用意しているが、数はかなり限られる。今後、容量制限をあえて「月」から「日」にするサービスが増えるか、注目したい。

もしもシークスの「これでもかっ!!」 もしもシークスの「これでもかっ!!」は、通信容量制限を日単位にすることで制限時のイライラを軽減している

 11月は、データ通信専用格安SIMにまつわる大きな動きは特に見られなかったように見える。しかし、「全料金プラン業界最安値」をうたう“あの”MVNOが、その看板を下ろしたかもしれないという大ニュースがあった。詳しくは、後日掲載予定の「2015年11月音声通話編」で触れる予定だ。

まとめ(新情報は赤線)

  • 「楽天モバイル」の提供者がフュージョン・コミュニケーションズ(現・楽天コミュニケーションズ)から楽天に変更
  • 「もしもシークス」が1日350MBまで通信できるデータ専用プラン「これでもかっ!!」を開始
  • 「DMM mobile」がLTE通信(225Mbps)を利用できる9プランで最安を記録(1GB:590円/月、2GB:770円、3GB:850円/月、5GB:1210円/月、7GB:1860円/月、8GB:2140円/月、10GB:2190円/月、15GB:4570円/月、20GB:6090円/月)
  • 日本通信の「b-mobile SIM 高速定額」は、月1980円で下り最大225Mbps/上り最大50MbpsのLTE通信が使い放題
  • 速度制限付きで月額500円未満で利用できるのは「DMM mobile ライトプラン」(200kbpsで無制限、440円)、「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」(250kbpsで無制限、445円)と「ServersMan SIM LTE」(250kbpsで無制限、467円)

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