SIMフリーLTEや分割キーボードも、2016年を先取りしたモバイルPCが登場「モバイル・ファースト」時代のWindows最前線(1/2 ページ)

» 2015年12月25日 14時45分 公開
[山口健太ITmedia]

 2015年も年の瀬が迫る中、Windows 10を搭載したモバイルPCが続々と登場している。従来モデルにWindows 10をプリインストールしたものにとどまらず、最新トレンドを採り入れた新設計のモデルも増えてきた。

 特に12月に入ってから登場したVAIOの「VAIO S11」とキングジムの「ポータブック」に注目したい。VAIO S11はノートPCでありながらSIMロックフリーのLTE通信機能を搭載。ポータブックは8型という小型画面のコンパクトなボディに、2分割機構のQWERTYキーを搭載するなど、いずれの機種もこれまでにない特徴を備えている。

SIMロックフリーでLTEに対応 14万円台からの「VAIO S11」

 12月9日にVAIOが発表したVAIO S11は、同社のVAIOシリーズでは初のSIMロックフリーLTE通信機能を搭載したノートPCだ。最近では日本国内でもSIMロックフリーのスマートフォンやタブレットが急速に市民権を得ているが、ノートPCはまだ一般的ではない。これまではNTTドコモやKDDIなど、大手キャリアのLTEサービスを利用するモデルに限られてきた。

 この壁を打ち破ったのが、VAIO S11だ。グローバルのPCメーカーでは国ごとに異なるLTEの周波数が課題となっていたが、VAIOは国内市場に特化することでプラチナバンドをサポート。PCからのLTE利用で不安になるデータ通信量も、速度を200kbpsに抑えた無制限プランをベースにするなど、さまざまな工夫を重ねている。

「VAIO S11」 SIMロックフリーのLTE通信機能を搭載した「VAIO S11」
「VAIO S11」 VAIO ProやVAIO Zシリーズとは異なる素材の樹脂製ボディだ

 11型クラスのVAIOノートの最新モデルとしても注目したい。CPUには最新の第6世代Coreプロセッサを搭載、PCI Express接続のSSDによる高いストレージ性能もVAIO Proシリーズ譲りだ。重量も実測で941グラムと、タブレットとキーボードを持ち歩くよりも軽量だ。

 インタフェースとして、ビジネスユーザーを意識した有線LANやVGAも搭載した。本体を閉じた状態ではコネクタがテーブルに干渉するという、ぎりぎりの設計だ。新要素としては、Thunderbolt 3を兼ねたUSB Type-Cを搭載。ただし充電には従来型のDCコネクタによるACアダプターを利用するため、使い勝手は大きく変わらない。

「VAIO S11」 Micro SIMカードスロットは本体背面に搭載
「VAIO S11」 インタフェースも充実しており、最新のUSB Type-Cも加わった

 強いて難点を挙げるとすれば、ボディに全面的に樹脂を採用している点だ。高品質な樹脂を用いているとはいえ、金属的な質感を思い描いていると期待外れに感じるだろう。その代わりVAIO S11の価格は手頃な設定で、LTE対応モデルを14万円台から購入できる。実用性の高いモバイルPCが欲しい人にうってつけだ。

 2016年はモバイルPCの世界にも、SIMロックフリーの波が訪れるのではないか。そんな予感を抱かせるPCに仕上がっている。

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