イオンリテールは2月26日から、自らがMVNO(仮想移動体通信事業者)となって「イオンモバイル」ブランドでの通信サービスを開始する。
これまでは他のMVNOが提供するSIMとスマートフォンのセットを「イオンスマホ」として代理販売しているため、店頭で料金プランの変更や故障時に代替機を貸し出すなどのアフターサービスができず、「格安スマホへの不満を解消できていなかった」(同社 住居余暇商品企画本部 デジタル事業部長 橋本昌一氏)という。
新体制のイオンモバイルは、店舗でアフターサポートやトラブル時のサポートも行い、使い方相談などにも応じる。また有料の電話・訪問サポートや補償サービスも用意した。取り扱う店舗は全国429箇所で、うち半数の213店で新規契約や番号ポータビリティ(MNP)の即日手渡しに対応。残る216店は後日の配送で対応する。
SIMカードの料金プランが合計29種類と豊富なのも特徴だ。データ通信専用は月1GB〜50GBまでの計11種類で月額料金は480円〜1万3800円。音声通話付きプランは500MB〜50GBまでの10種類で月額1180円〜1万4800円。さらに音声付きSIM1枚とデータ付きSIM2枚が使えるシェアプランもあり、4GB〜50GBの8種類を月額1780円〜1万5100円で提供する。
橋本氏によると従来は40歳代の利用者が多かったが、ここ1年で30〜50歳代が6%増加。また2015年後半からSIM単体の購入者が増えてきたという。「Nexus4を発売したころは『SIMってなんだ?』という声が多かったが、昨今、SIMとはなにか、なぜ差し替えると安くなるのかがかなり浸透してきた。それに合わせてユーザー層も拡大し、SIMロックフリーの影響でSIM単体を求める人も増えた」(橋本氏)。使う層に合わせてニーズも多様化しており、豊富な料金プランでさまざまな使い方に対応する考えだ。
ネットワークはMVNE(非公開)を介してNTTドコモの4G/3G回線を調達する。なお最大通信速度は非公表だ。月間容量を超えた場合は通信速度が200Kbpsに制限され、高速通信の追加チャージは1GBごとに480円で行える。データプランには月140円のSMSオプション、またシェアプランには月700円の音声通話オプションも用意した。無料通話などはなく、国内通話料は30秒/20円、同じくSMS送信料は文字数に応じて3〜30円の従量課金となっている。
当面の端末ラインアップは、現在と同じスマートフォン6機種(arrows M02/M01、S301、AQUOS SH-M02、Xperia J1 Compact、VAIO Phone VA-10J)とモバイルWi-Fiルーター「Aterm MR04LN」、LTE対応の10型タブレットPC「AT-Z37LTE10」、そして子供向けの教育タブレット「学研がんばるタブレット mediapad」を販売。SIMとのセットはもちろん、端末のみでも販売して機種変更の需要にも応える。
イオンスマホは当初から解約金と契約期間を設けていないが、これは新しいイオンモバイルでも継続し、音声通話ありのプランでも同様だ。ただし、契約から180日以内のMNP転出には8000円の手数料を設定した。それ以降は3000円だ。また解約した端末に割賦代金があれば、当然支払い義務が残る。
解約金ナシについて橋本氏は、「スタート時点から行っていることだが、解約されるということは、われわれのサービスに不満があるということ。つまりこちら(イオン)がおわびすることで、お客さまからお金を取ることではない」と顧客優位の考え方を示した。端末のバリエーションについても「これまでも要望に合わせて、防水仕様や国産端末をそろえてきた。オリジナル端末を含めていろいろ検討したい」と述べ、ニーズに合わせて増強して方針だ。
自社ブランド開始後も、現在販売している従来のプランも並行して販売する。分かりやすさの面で不安もあるが、「他社のサービスには1日定額や通話アプリの無料提供など、イオンモバイルとは違う良さがある。売り場では大手キャリアも取り扱っているが、何を選択するのかはユーザー次第。市場が拡大している中でできるだけ選択肢を用意したい」(関係者)と説明する。
販売目標などは明らかにされなかったが、橋本氏は2016年度にも格安スマホ、格安SIM市場でシェアNo1を目指すと明言。「低価格はもちろん、全国の店舗網を生かした安心・安全なサポート体制を築く。今後のターゲットは、スマホを検討されている全ての方だ」と意気込みを語った。
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