スマホで音楽を聞く際、良い音質で楽しむためにイヤフォンやヘッドフォンにお金をかけている人も多いのでは? でも、「イコライザー」の設定を変えれば、お金をかけなくても音質を良くすることができるんだとか。そこで今回は、無料で音質アップが可能なイコライザー(以下、EQ)の使い方を紹介します。
そもそも「EQ」とは、“音声信号の周波数特性を変更できる機能”のこと。平たく言うと、周波数の変更により、“音の印象”を変えることができる優れモノです。iPhoneの純正ミュージックアプリには最初から搭載されていて、「設定」→「ミュージック」→「イコライザ」と進むと操作できます。「Acoustic」「Classical」「Dance」「Electronic」「Hip Hop」「Piano」など、23種類の項目が用意されており、音楽のジャンルを選ぶだけで、適した音質に調整してくれるわけです。
これだけでも大分印象が変わるのですが…、さらに使いこなすワザを知りたい!ということで、オーディオライターの高橋敦さんに話を聞きました。
「たとえば、電車の中など周りがうるさくて低音(楽器でいうとベースやドラムス)が聴こえにくいと感じたら『Bass Booster』で低音を強調。アコースティックギターやシンバルの高音が目立ちすぎると感じたら『Treble Reducer』で高音を抑えるのがいいでしょう。『Vocal Booster』は歌声を聞き取りやすくしてくれます。音楽ジャンルの名称だけで選ぶのではなく、聴く音に合わせて柔軟に試してみるのがおすすめですよ」(高橋さん、以下同)
確かに一口にロックといっても、アーティストによって強調されている音は異なるもの。高橋さんいわく、
「iPhoneアプリにある『Rock』を選ぶと、低音を際立たせる設定になりますが、キレキレのギター音が好きなら、『Acoustic』(中広域を調整してギターの鋭さなどを強める)が合うかもしれません。また、ドラムスの荒く生々しい空気感を味わいたいなら、『Hip Hop』(少し低い音域、超低音を際立たせる)にすると、バスドラムの響きなどが感じやすくなります」
とのこと。具体的なアーティスト名で言うと、以下の設定が高橋さんのおすすめなんだとか。
●凛として時雨…ギター音の際立つ「Acoustic」
●Nirvana…ドラムの響きが感じやすい「Hip Hop」
●Silent Siren…明るさとノリが際立つ「Latin」
●サカナクション…ベースの躍動を強める「R&B」
同じジャンルのアーティストでも、こだわりの設定ができそうですね。
Androidユーザーや、もっと自分好みに音質を調整したい人は、高橋さんも太鼓判のEQ付きプレイヤーアプリ「Onkyo HF Player」(Android版/iOS版)を使ってみては? 同アプリ内では、スライダーを使って曲の帯域(Hz)を調節し、自分好みの音を作ることができるのだそう。
使い方は、ヴァイオリンが主役のクラシック楽曲を例にとると…
●4kHzあたりの“高域”を少し上げる
…ヴァイオリンの音色の「明るさ」「抜け」がここで調節できます。
●32Hzの“超低域”を少し上げる
…この音域を直接鳴らしている楽器はほとんどないため、ここで調節するのは「ホールの響き」。スケール感を出したい場合はここを少し上げてみるのがいいのだそう。
「まずは大げさなくらいにスライダーを動かして、その帯域(Hz)がどの楽器や空気感に影響するのかを把握するのがおすすめです」と高橋さん。
「125Hz前後は、エレクトリックベースの存在感の調整に使用できます。『この曲は歌よりノリ重視かな?』という場合はここを上げてベースを主役に、歌重視で行きたいときはここを下げてベースは脇役に…といった調整ができます。また、500Hz〜8kHzは基本的に動かさないのがおすすめ。このあたりは人間の声、ボーカルの帯域で、ここを動かすと違和感が出てしまいがちなんです」
12kHz以上は、シンバルやギター、ボーカルなど、全体の「明るさ」の調節に使えるそうです。
自分好みの音質に調整できるイコライザー。一度試してみてください!
(おきざき/HEW)
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