「iPhone 5s」で若年層を取り込んだY!mobile――SIMフリー戦略や「Y」との連携はどうなる?(2/3 ページ)

» 2016年04月27日 11時53分 公開
[石野純也ITmedia]

端末ラインアップは「松竹梅ぐらいにしたい」

―― SIMフリー端末が、Y!mobile(ソフトバンク)の周波数帯に対応することも増えました。こうした点は、メーカーさんとお話しているのでしょうか。

寺尾氏 もちろん、メーカーさんもお話にきます。ただ、どちらかというと、グローバルで入っているチップセットやアンテナ(が最初からソフトバンクの周波数帯に対応している)の影響も大きいですね。

―― 逆に、Y!mobileの端末はどのようなラインアップになっていくのでしょうか。

寺尾氏 コモディティ化が進んでいる中で、それほど大きな差は出せません。多少CPUが速かったりはありますが、今、PCを買ってもそんなに大きな差はありませんよね。そうしたことを考えると、今後は安心して使っていただけるかどうかが大きなポイントになると思います。

 そのうえで、価格があります。メーカーさんから直接流通するといろいろなところで流通マージンが乗り、ロットもそこまで出ないとなると、結果としてそこまで安くできません。それを、われわれならボリュームをまとめることで安くできる。ピカピカのフラッグシップにはなりませんが、安心して使っていただけて、なおかつ安いものをそろえていければと思っています。

 ただ、物事は難しすぎると選んでもらえない傾向が強くなります。ですから、端末も必ず松竹梅ぐらいにしたい。今は、松竹梅+iPhoneになってますが(笑)。価格とクオリティのバランスは取るようにしていますから、それに応じて選んでいただければと思います。

―― 逆に、今のSIMフリー端末は、寺尾さんから見てどうですか。その中からY!mobileに採用するというようなことはありますか。

寺尾氏 ビックリするような差はないですね。それ以上に、クオリティのリスクは気になります。もちろん、窓はいつもオープンにしていますが、お客さまが安心して2年間使えるクオリティは担保しなければなりません。

 大手やMVNOとの戦いを考えると、やはりそこに行きつきます。われわれに直さなければいけないことももちろんありますが、お客さんが2年間満足して使い続けられることは大命題です。

 せっかく入っていただいても、店頭で嫌な思いをしたら、お客さんは2年後にやめてしまう。そこをどう思っていただけるか。不満がなければ、解約する理由もなくなりますからね。

Y!mobile3周年に向けてYahoo!との連携も仕掛ける

―― 価格や端末では“らしさ”が出ている一方で、Y!mobileの“Y”が、最近ちょっと弱いような気もします。

寺尾氏 そこは、こうご期待です。パケットマイレージを始めるときに、メールアドレスを取っていますが、それはYahoo!のログインアドレスそのものです。2年間地味にやって、見えないところでの連携は相当進んでいます。Yahoo!でこれからやるサービスも、全部その上に乗ってくる。そういうものを、2年間かけて構築しました。

 最初は店頭でアシストしながらでしたが、最近はお客さん自身でYahoo!と連携していただけるようにもなってきました。時間はかかりましたが、これで次のフェーズに入れます。夏にわれわれの会社(ブランド)は3周年です。会社が変わって今に至るので、何が3周年かはよく分かりませんが(笑)、そういったことも3周年に向けて仕込んでいます。

―― 上位レイヤーとの連携ですが、MVNOでは特定のサービスやアプリの通信料を無料にするということも行われています。新しいところではLINE MOBILEもありますが、Yahoo!を無料にということは考えなかったのでしょうか。

寺尾氏 常に検討はしていますが、そうすることが本当にいいのかが分かりません。ネットの中立性など、難しい議論は取りあえず置いておいたとしても、お客さんから見てどうなのか。というのも、Yahoo!もLINEも、お客さんから見ればもともとタダというイメージで、さらにその通信料がタダといったところで、本当に伝わるのかが疑問です。

 Yahoo!をタダにしようというのはシナジーを検討していたころからありましたが、これも1GB(のデータ容量を)増量してあげれば全て解決する(笑)。動画をタダというのだと、また話は別ですが。一方で、(電子書籍を)1冊売ったらデータ料を含めていくらというビジネスモデルもあってもいいと思いますし、そういうことができるのがビジネスのパラダイムシフトです。例えば動画が1本300円なり500円なりで、その中にデータ通信料まで含まれているというのはいいと思いますね。

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