きっかけはお父さんの“思い”――保育園の連絡帳をクラウド化する「kidsly」開発ストーリー(2/2 ページ)

» 2016年07月11日 06時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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開発のきっかけは「個人的な体験」

 保育士、保護者、両方にとって便利なkidsly。どちらかの要望をつかんで開発に至ったのかと思われるが、森脇氏によると意外にも「両親がお子さんの情報をうまく共有できていない事実を目の当たりにした」のがきっかけだという。

 「子育て中のお母さんの気持ちや自分の子どもの成長、出来事を知らないことに対して罪悪感を持っていたお父さんがいました。知っていればもっと理解できたと彼は言っていて、もっと家事を手伝えたんじゃないか、もっと早く家に帰れたんじゃないか、母親にしてあげられたことがもっとあったんじゃないか、もっと子どものことを考えることができたんじゃないか、と後悔していたんです」(森脇氏)

 調べてみると、どの家庭も子どもの情報をうまく共有できていなかった。しかし、父親も子どものことを知りたくないわけではない。知る方法があったら知りたいと思っている。そこで、子どもの情報を簡単に届ける仕組みができないかと考えた。

 「大切な子どもの情報はみんなで知っていた方がいい、という考えが最上位概念にあります。その手段として、どこから情報を引っ張ってくればいいか、と考えたときに保育園がありました。最初から保育士さんの作業を楽にしようとして進めたわけではなくて、もっと普遍的なことを社会に届けたいと思ったのです」(森脇氏)

 保育園には連絡帳というものがあることを知ったとき、この情報をデジタル化することに思い至った。保育園をリサーチしてみると、そこでは先生も手書きで困っていた。保護者ともっとコミュニケーションを取って、仕事を円滑に進めたいという要望があった。普遍的なテーマを追求することが、保育士の負担を軽減することにつながった。

保育士を主体としてサービスを構築

 親側の視点が開発のきっかけだが、サービス自体は保育士の負担軽減に多くの配慮がなされている。例えば、kidsly上で保護者同士のコミュニケーションを支援する機能はない。写真のコメントは見られるが、「保育士さんたちに大きな負担とならないように、情報発信の主体は保育園側に置いている」(森脇氏)という。

 保護者側から新規で送れるメール機能もない。「送れるようにすると、引っ切りなしに保護者からメールが届いて、保育園の負担になるのが想像できる」ためだ。保護者はあくまで保育園からの情報に対して反応することしかできない。

 同じ理由から、個別連絡も24時でクローズされる。保育園からの連絡に対して保護者は返信できるが、24時になると返信ボタンが消えてしまう。次に個別連絡が来るまで返信機能は使えなくなる。ただもちろん、電話で連絡し、口頭でのやりとりは可能だ。

 また、セキュリティにも十分配慮。データはリクルートの安全なクラウドに保存され、保育士側のアプリは8時間でログインが切れる。

 保護者側アプリはiOSとAndroidに対応しているが、現在、保育士側のアプリはiOSのみ対応。2016年中にはAndroidにも対応する予定だが、基本的に使うデバイスはスマホとタブレットでPC用アプリは用意されていない。保育士の業務スタイルを考慮し、機動性の高いデバイスを選んだ。

 kidslyは無料で提供されているが、デバイスは保育園側で用意しなくてはならない。ただ、ソフトバンクと協業してリーズナブルなレンタルプランを提供しているので、それを利用することも可能だ。森脇氏によると、保育園はフィーチャーフォンを契約しているところが多く、それをiPhoneなどに乗り換えれば負担はそれほど増えないという。なお、現在はiPhoneを使う保育園が圧倒的に多いという。

 kidslyを使った保護者からの満足度は非常に高く、不満や要望もほぼない状態だという。一方、保育園側からは、「動画をアップしたい」「Androidを使いたい」「炎上が怖い」「セキュリティに不安を感じる」という声は一部あるものの、こちらもおおむね好評。特に園長先生の評価が高いという。リクルートとしても、これまでまったく付き合いのなかった子育て領域に初めて提供するソリューション。「使える場所を広げて、たくさんの人に使ってもらって喜んでもらいたい」と森脇氏は意気込んだ。

 なお、保護者側は、保育園がkidslyを導入しないと利用できないが、現在、kidslyのWebサイトで紹介キャンペーンを行っている。保育園にkidslyを紹介し、導入に至ると1万円のAmazonギフト券がもらえるので、利用したいと思った方は、ぜひサイトをチェックしていただきたい。

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