NTTドコモは、3月9日にモバイル無線LAN(Wi-Fi)ルーターの新製品「Wi-Fi STATION N-01J」(以下「N-01J」)を発売しました。それに合わせて同社は、LTE-Advancedサービス「PREMIUM 4G」の下り最高通信速度を682Mbpsに引き上げました。N-01Jは、この速度で通信できる同社初の端末ということになります。
(記事中の通信速度は、全て理論値)
ドコモの「下り最大682Mbps」は、東名阪(関東甲信越・東海・関西)エリア限定で提供している1.8GHz帯(Band 3)の電波と、2016年6月から全国の混雑地を中心に展開が始まった3.5GHz帯(TD-LTE・Band 42)の電波を同時に利用し、以下のような技術や取り組みによって実現しています。
東名阪地区以外については、Band 3の代わりに2.1GHz帯(Band 1)を用いることで下り最大632Mbpsの通信に対応しています。また、Band 42未提供の地域でも、別の周波数帯の組み合わせでの3波CAに対応しているので、従来のモバイルルーターよりも快適な通信を期待できます。
従来の「Wi-Fi STATION HW-01H」と単純比較した場合に最大で下り通信速度が約1.84倍となるN-01Jですが、エリアマップを見てみると「下り最大500Mbps超」で通信できるエリアは「主要都市の中心部から徐々に拡大中」といった感じで、全国展開には時間がかかりそうな状況です。
一方、ソフトバンクは下り最大612Mbpsの通信に対応するモバイル無線LANルーター「Pocket WiFi 602HW」をSoftBankブランドで、「Pocket WiFi 603HW」をY!mobileブランドで、それぞれ発売しました。
両機種はソフトバンクに新しく割り振られたTD-LTE Band 42(2波)で256QAM変調と4×4 MIMOに、既存のAXGPの2.5GHz帯(TD-LTE互換・Band 41)で256QAM変調に対応しており、これらを3波CAで束ねて使うことで下り最大612Mbpsを実現しています。
従来機種では、「Pocket WiFi 504HW」の下り最大通信速度が261Mbpsだったことを考えると、新機種では通信速度が約2.3倍もアップしていることになります。
ただし、SoftBank/Y!mobileでは、ドコモのような通信速度別エリアマップを公開していません。つまり「下り最大612Mbps」で使えるエリアかどうかは「使ってみなければわからない」という状態なのです。
「ユーザが通信速度の遅さを感じることがなければ問題ない」ということで速度別エリア情報を公開しないのも1つの考え方ではあります。しかし「どこでより高速なデータ通信サービスを使えるのか?」という点は気になるものです。特に、ソフトバンクにおいてBand 42に対応する機種は602HW/603HWが初めてですから、どこで使えるのか示してほしいと思うのは自然なことだと思うのです。
ちなみに、603HWにおいて月間通信容量が無制限となる「アドバンスモード」については、従来のAXGPに加えてTD-LTEでの通信も対象となりました。つまり、603HWなら「下り最大612Mbps対応サービスを月間容量制限なしで使い放題」ということになります。
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