高速化“てんこ盛り”の「WiMAX 2+」で気になること5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(1/3 ページ)

» 2017年07月12日 18時00分 公開
[島田純ITmedia]

WiMAX 2+ルーターの最大通信速度がさらにアップ

 UQコミュニケーションズ(以下「UQ」)は5月16日に、モバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W04」のソフトウェアアップデートを公開しました。この更新を適用することで、W04の下り最大通信速度が440Mbpsから590Mbpsに高速化するほか、「256QAM」変調への対応やUDC(Uplink Data Compression)を利用した上り通信速度の改善も行われます。

 下り最大590Mbpsは、UQが提供する「WiMAX 2+」の電波(2波)とau(KDDIと沖縄セルラー電話)が提供する「4G LTE」の電波を使った「3波キャリアアグリゲーション(CA)」と、WiMAX 2+における「4×4 MIMO」の組み合わせによって実現しています。

下り最大590Mbpsの概略図 auのWebサイトに掲載された「下り最大590Mnps」のイメージ図。アップデート後のW04も同様の仕組みで高速化する

通信速度アップで「気がかりなこと」

 さまざまな仕組みを「てんこ盛り」にして下り・上り双方の通信速度アップが図られたW04。しかし、今回のアップデートに関連して「気がかりなこと」が複数あります。

 まず、256QAM変調への対応についてです。W04が256QAM変調に対応すると、WiMAX 2+の下り最大通信速度が約1.3倍になる……はずなのですが、アップデートの告知や関連する資料からは、高速化に関する具体的な記載を見つけられませんでした。

 唯一、下り通信の高速化について「記載」があったのは、UQ WiMAX取扱店にある最新のミニパンフレットです。ただ、スペック表のハイスピード(WiMAX 2+単独)モードにおける下り最大速度が「440Mbps」から「558Mbps」に書き換わった程度で、気を付けないと見落とすレベルです。

 携帯電話サービスで最大通信速度が上がった場合、普通なら対応エリアがほとんど無視できるレベルでしか存在しない場合でも(それはそれで問題ですが……)、「最大○Mbps対応!」とアピールするものです。今回の256QAM対応も「下り最大558Mbpsになりました!」とアピールをしても良いはずなのですが、UQは全くといって良いほど宣伝していません。

ミニパンフレットの記載 最新のミニパンフレットでは、W04のハイスピードモードにおける下り最大通信速度が「558Mbps」に改められた。これが、筆者が唯一見つけられた256QAM変調による下り最大速度アップの効果

 UDCに関しても「送信(上り通信)速度が向上します」と書いてあるだけで、どの程度改善するのか特に触れられていません。

 もっとも、UDCは「データ圧縮」による高速化で、送信するデータ(ファイル)の状況によって効果が大きく変わるため、CAやMIMOのように高速化の度合いを数値で示すことは困難です。

 とはいえ、「どの程度効果を期待できるのか?」といった何らかの示唆はほしかったです……。

5月16日のソフトウェアアップデートの内容 5月16日のソフトウェアアップデートの内容。UDCや256QAM変調に対応したことは書いてあるが、具体的にそれがどう高速化につながるかの説明はない
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