―― HTC U11は数量限定とおっしゃっていましたが、どの程度の数になるのでしょうか。
児島氏 まだきちんと決まっていません。買っていただけそうな見込みの数を出していく予定です。
―― 数としては非常に少なくなると思われますが、本社の説得も大変だったのではないでしょうか。
児島氏 もちろん、そこは大変でした(笑)。数量限定でキャンペーンとなると、キャリアさんの数とは比較になりません。そこが、最も大変だったところですね。ただ、最終的には、面白い企画だなということで賛同を得て、進められることになりました。
―― Twitterで呼びかける前には根回しが済んでいたということでしょうか。
児島氏 Twitterで発表して、募集をかけてからの動きです。そこは何とか説得するしかないと思っていました。とはいえ、まさか8日で達成できるとは思わず、ゆっくり準備できる期間があると構えていたので、数字が達成できそうになった段階で慌てて進めていきました。
―― お値段はおいくらぐらいになるのでしょうか。
児島氏 もうすぐ発表させていただきます。キャリア版は9万円、10万円ぐらいの本体価格で、そこからキャンペーン等もあってお求めやすくなっていますが、その実質価格で出すことはさすがに難しいですね。ただ、本体価格そのままで出すのはさすがに……と思うので、ギリギリのところでご提供したいと考えています。
SIMフリーでキャリアの(実質)価格と同じか、もっと安いものとなると、相当価格を抑えたものしか出せなくなってしまいます。われわれは、グローバルでもそこまで安いものを出すのが得意な会社ではありません。それもあって、先ほどお話ししたように、違ったものを出していきたいと考えています。
―― ちなみに、キャリア版はAlexa対応しますが、対応が遅れています。SIMフリー版も、Alexaは利用できるようになるのでしょうか。
児島氏 対応します。キャリア版も、いち早くお届けしたいと頑張っているところです。もともとは昨年(2017年)の12月にリリースする予定でしたが、まだ開発のチューニングが終わっていません。正確な時期が分かったら、Twitterなどを通じてお知らせしたいと考えています。
―― お話をうかがっていると、台数の割にはコストが掛かっている印象を受けました。
児島氏 一般の方からすると、ただ単に色を変えてすぐリリースしているように見えるかもしれませんが、おっしゃるように、2カ月の中で開発していくのは、相当なコストとマンパワーがかかります。それを限定数でとなると、先ほど申し上げたように、説得がえらく大変で……(笑)。
検証の期間がこれくらいというのは、過去のSIMフリー版で分かってはいたのですが、もうちょっと準備期間があると考えていました。5000から1万にフォロワーを増やすのに、大変な時間や努力を要したので、短期間でこの数字になるとは思ってもいませんでした。
―― ちなみに、やぼなことかもしれませんが、Twitterアカウントのバイトというのは、バイトという設定なのでしょうか。
児島氏 本当にバイトの方です。
―― 逆にバイトでいいんでしょうか。
児島氏 スタートしたときは、HTCのことをそんなに分かっていなかったので、そこにはいろいろなご意見をいただき、バイトの者もどんどん成長していきました。社内では、どういうことをTwitterに上げようか、すごく考えています。HTCのファンは優しい方が多いのですが、中には厳しい方もいます。そういう方々に鍛えられながら、成長しているところです。Twitterは、お客さまの生の声を聞く場として、大切にしていきたいですね。
―― 最後に、2018年は、どのような意気込みで臨んでいきたいのかを教えてください。
児島氏 ずっと、基本となる根幹は変っていません。HTCの特徴だとわれわれが思っているのは、やはりイノベーションです。スマートフォンはコモディティ化してきてはいますが、いろいろなイノベーションには引き続きチャレンジしていきたい。それに加えて、お客さまがあってのHTCだという気持ちは、ずっと変わっていません。お客さまに求められているものや、お客さまに驚きを与えるようなものをいかに実現できるか。お客さまを真ん中に置きながら、そういった製品作りや市場戦略をやっていきたいと思っています。
フラグシップモデルも徐々に増えているSIMフリー市場だが、HTC U11のように、キャリアで販売された端末と同じものが販売されるのは非常に珍しい。今回はあくまでキャンペーンの一環だが、いちユーザーとしては、HTCに限らず、今後、こうした取り組みが増えてほしいと感じた。
HTC U11を皮切りに、SIMフリー市場に再挑戦したいという思惑もありそうだ。ただ、インタビューでも述べられていた通り、SIMフリー市場は市場規模に対してメーカー数、モデル数が多く、激戦区になりつつある。この市場で、HTCがどのように戦っていくのかは注目しておきたいポイントだ。
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