緊急インタビュー MAYA SYSTEMはなぜFREETELの端末事業を引き継いだのか(2/3 ページ)

» 2018年02月09日 13時30分 公開
[石野純也ITmedia]

―― ブランドイメージのお話がありましたが、ネガティブなイメージをどう払拭(ふっしょく)していくのかを教えてください。

吉田氏 現状でも30万弱のユーザーがいるので、そこをしっかりサポートすることで、よくなった新端末に買い替えていきながら、徐々に上げていきたいと考えています。

―― 事業だけを引き継ぎ、ブランドを変えてしまうという選択肢はなかったのでしょうか。

吉田氏 自分たちでゼロからブランドを作ると、やはり浸透させるまでに時間がかかります。FREETELだと、良くも悪くも名前は浸透していますからね。

長谷川氏 ブランドだけでなく、家電量販店などの後押しも引き継ぎ、後押しはしていただけることになりました。

吉田氏 確かにネガティブなイメージを持たれている方もいますが、そこはeSIMを搭載した端末を出すなどして、期待できると言ってもらえるようにしていきたいと考えています。

―― サポートのお話がありましたが、「とりかえ〜る」(6カ月、もしくは12カ月で端末を無償交換できるプログラム)の利用者はどうされていくのでしょうか。楽天に取材した際には、あくまでメーカー側が対応するという話でした。

山崎氏 そこはまさに、当社と楽天で話さなければいけないところです。今はFREETELの事業をMAYA SYSTEMで引き継いだ段階で、段取りを踏んでいる状態です。とりかえ〜るのお客さまをわれわれだけで助けたいと思っても、(スマートコミコミ+は)端末の割賦と通信料金がセットになっているので、毎月のお支払い額の総額に直結してしまいます。そのため、MAYA SYSTEMはとりかえ〜るのお客様を(POMから)引き継いでいません。ここは、2社で話さなければいけないところだと考えています。

REI 2 Dualは全て自社で開発したモデル

FREETELFREETEL 新機種の「REI 2 Dual」
FREETEL MAYA SYSTEMの山崎正志氏

―― REI 2 Dualはどういう端末なのか、もう少し詳しく教えてください。

山崎氏 一番のポイントが、今回はアプリケーション開発も含め、全て自社設計しているところで、そこが特徴になります。特に大きいのはカメラですね。デュアルカメラ自体は今だとあまり珍しくなくなってしまいましたが、13メガピクセルでモノクロとカラーを組み合わせて、どちらもソニーのIMX258(位相差AF対応、1/3型)になります。この2つのセンサーで撮った画像は、一眼レフのような背景ボケを作れます。撮影後にピントを変えることもできます。また、ユーザーインタフェース(UI)は、左右にフリックするだけでモードを切り替えられるようにしていています。

 日本のメーカーらしいところとしては、セルフィーの美顔モードでどこまで補正するかの度合いを、新橋(POM)のチームで調整してきました。自然な美顔になるということで、モードの名前も「ナチュラル美顔」にしています。SIMフリーのマーケットにはHuaweiさんもいて、OPPOさんも参入し、皆さんセルフィーには力を入れて開発されています。一方で、文化の違いもかなりあって、例えば中国だと化粧をしなかったり、化粧が薄かったりする方が多いので、どちらかといえば、バーチャルに化粧をしてくれる補正が必要になります。

 逆に日本だと、メークをしっかりしている方が多いので、そこに化粧を乗せるような補正をかけると、厚塗りになってしまうこともあります。ここをビジネスチャンスと捉え、化粧をした上から自然に補正をかけるように調整しています。

FREETELFREETEL FREETEL独自のUI(ユーザーインタフェース)は従来機種から引き継いでいる(写真=左)。左右へのフリックでカメラのモードを切り替えられる。日本人に合わせた「ナチュラル美顔」機能も用意した(写真=右)

 ハードウェア的な特徴としては、FREETEL端末のメインストリーム機では初めて、Snapdragon 625を採用できました。これが非常に安定しています。日本で作られているスマホ用ゲームも、基本的にはSnapdragonでテスト、チューニングしています。以前のFREETEL端末はMediaTek製のチップセットでしたが、今回はPriori 5も含めて、すべてSnapdragonにしました。

 REI 2 Dualに関しては、メモリ(RAM)が4GB、ストレージ(ROM)も64GBで、対応周波数も世界で使えるよう、RAIJINやKIWAMIから拡充していて、au VoLTEも利用できるようになりました。アプリ開発にもこだわって、昔からあるスワイプアップランチャー(iOSのコントロールセンターのように、画面下部から上スワイプで呼び出せるランチャー)や、左右に画面を寄せる親指モードにも対応しています。また、標準でキッズモードを搭載して、特定のアプリを起動できなくしたり、電話できる電話番号を制限したりもできます。データクリーニングアプリや節電アプリも作り込みました。

―― Priori 5はいかがですか。

山崎氏 こちらもFREETELらしく、4ではやらなかった電池交換をできるようにしました。プロダクトチームでは、どのくらいアクティブユーザーがいるのかを把握していますが、Priori 3でも販売台数の3分の2がアクティブで使っています。ただ、1年後に電池交換の問い合わせのピークが来るので、そこに対応できるようにしています。この価格帯(1万円台)の商品はあまり他社にはないので、スペックにこだわらない方のニーズに合ったのだと思います。

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