社長兼CEOの孫正義氏自らが「97%は通信事業に費やし、その他の3%で一部の投資をやってきたが、それを97%にすれば成長を加速させることができるのではないかと考えた」と語っているいたように、ソフトバンクグループの株主総会は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドをはじめとする投資事業の話が中心を占めた。
ソフトバンクの株主総会はさながらファンミーティングと称されるように、株主の質問も投資事業に関するものに集中。孫正義氏自身の人生を問うような質問が複数あったのは、他社との大きな違いだ。
孫氏からソフトバンクに言及があったのは、「群戦略」を解説した時だ。ソフトバンクグループは、さまざまな新興企業に投資し、グループを拡大していく「群戦略」を推進しているが、その一環として、通信事業を担うソフトバンクを上場させる方針だ。孫氏によると、「通信事業中心だったのは、ここ十数年のことで、群戦略に戻りたい」という。米Sprintを米T-Mobileと合併させるのも、ソフトバンクの上場と同様、群戦略に基づいている語った。
関心が3%になってしまったとはいえ、ソフトバンクグループ全体の売上高や営業利益に占めるソフトバンクの割合は依然として高く、売上高で全体の35%程度を占める。Sprintまで含めると、通信事業だけで75%程度と、名実ともに通信事業者はソフトバンクの収益源。ここに対して質問がほぼ出なかったのは、個人投資家が多いソフトバンクならではで、ドコモやKDDIとの大きな違いといえる。
ただ、5Gの導入計画や楽天の参入への対応、Y!mobileの好調ぶりなど、通信事業で語るべきことはまだまだあるはずだ。孫氏は株主からの「ソフトバンクグループをMBO(Management Buy Out=経営幹部による会社の買収)しないのか」という質問に対し、「社会の公器として評価してもらう(ことが必要)」と語っていたが、上場すれば、子会社のソフトバンクにもこれが当てはまる。上場はまだ可能性の話だが、通信事業に関する情報公開の透明性が高まることにも期待したい。
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