モバイルネットワークを活用した「ドローン配送」は、いつ実現されるのか?(2/2 ページ)

» 2018年09月07日 15時30分 公開
[田中聡ITmedia]
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上空での通信は電波干渉が起こりやすい

 「電波」の話も避けて通れない。モバイルネットワークは地上で利用することを前提に構築されており、携帯電話を上空で利用することは電波法で禁止されている。上空では基地局と端末(ドローン)の間に障害物がないので、ドローンが発した電波と他の基地局の電波が干渉する恐れがある。干渉が起こると、地上で使う携帯電話が通信しにくくなってしまう。

セルラードローン 上空でモバイル通信をすると、他の基地局と電波が干渉しやすくなる(総務省のWebサイトから引用)

 しかし、総務省は2016年7月に電波法を改正。通信キャリアが「実用化試験局」の免許を受けることで、モバイルネットワークに対応したドローンの実証実験が行えるようになった(関連リンク)。ドコモとKDDIは実用化試験局の免許を取得して実証実験を行ったというわけだ。

 実証実験では、ドローンの安全な飛行に加え、電波干渉がどこまで起きるのかを調べることも重要なミッションとなる。「地上の通信に影響を与える恐れがあるなら、システムで制御しなければなりません。実験では地上よりも上空から発する電波の方が干渉度が強いことを確認できているので、何らかの形で制御しないといけません」と博野氏は話す。

 地方と都市部でも差がある。ドコモは2016年に千葉県の幕張でもセルラードローンの実証実験を行ったが、郊外に比べて、既存ネットワークに与える影響が強かったという。「都市部の方が影響が強い可能性があることは分かったので、監視をしながら、電波干渉を抑える技術を検討したい。3GPP(通信の仕様策定を行う組織)が標準化をする動きもあります」(藤間氏)

 現在は、実用化試験局という名目で、実証実験を行う際にも、個別に免許を取得する必要がある。この制度を緩和し、通信キャリアがモバイルネットワークで自由にドローンを飛ばせるようになるには、既存インフラに影響がないことの実証が大前提となる。

セルラードローン 携帯電話(ドローン)を上空で使うためには、既存の基地局に影響を及ぼさないかを検証する必要がある

5Gもドローン配送実現の追い風に

 日本では2019年〜2020年に商用サービスの開始を予定している「5G」は、ドローン配送実現の追い風になりそうだ。5Gは通信の遅延がLTEの10分の1ほどに抑えられるため、遠隔でドローンをよりスムーズに操作できるはず。

 藤間氏も「ドローンと5Gは相性がいいと思っている」と話す。「ドローンで撮影をして大容量のデータを取得する際に、帯域は広い方がいい。遅延が少なくなるので、制御しやすくなります」とメリットを話す。

 一方、博野氏は「5Gでドローンが可能な作業の幅は広がると思いますが、5Gの周波数は6GHz以下や28GHzなので、全国エリアをカバーするのは難しい。まずはLTEをベースに、スポット的な展開が基本になるでしょう」と話す。5Gのエリア化が進めばドローンもより活用しやすくなるが、当面はLTEを補完する位置付けになりそうだ。

今後のロードマップ

セルラードローン KDDIの杉田博司氏

 ここまで挙がった課題をクリアし、われわれがインターネットや電話で注文した商品がドローンで運ばれてくる日は、いつ訪れのだろうか。KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品1グループの杉田博司氏は「国が2018年度に、田舎の地域で配送を実現しましょうと言っています。有人地域は2020年代初頭にはやっていきたい。そこに合わせて技術開発を進めていく形になります」と話す。

 今後の流れとして、ドコモは「ドローンの運行を簡易にし、安全性をどう高めるかをしっかり考えていく」(藤間氏)、KDDIは「安全面の実証実験を2018〜2019年にしっかり行って、2020年度以降に、目視外の飛行が本格展開できるよう開発を進めていく」(博野氏)方針だ。

セルラードローン セルラードローンの今後の取り組み

 ドローン配送を実現させる上で、キャリアが果たす役割は大きい。「安全」と「通信」の課題が解決されたとき、新しい配送の形が現実になる日は近づくだろう。

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