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「Pixel 3」の“おサイフケータイ対応”とGoogle Payを取り巻く最新事情:鈴木淳也のモバイル決済業界地図(3/3 ページ)

» 2018年10月09日 20時52分 公開
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Apple Payに近づくGoogle Pay

 長い前置きが終わって、ここからが今回の本題だ。おサイフケータイへの相乗りからスタートしたGoogle Pay(Android Pay)だが、その仕組みを徐々にGoogle仕様へと変えていこうとしている。ある関係者の話によれば、Pixel 3リリースのタイミングでGoogleは自身のモバイル決済サービスに手を加え、よりApple Payライクなものへと寄せていく計画だという。具体的には、アクセスに際して専用の“鍵”が必要となるFeliCa SEのセキュア領域について、Google自らが“鍵”を所持し、その出入りを管理するというものだ。

 Apple Payでは、FeliCaネットワークス協力の下でApple内部にFeliCa SE管理用の専用サーバを構築し、全iPhoneの読み書きを制御している。カード会社各社やJR東日本などはこの出入り口を通じてiPhoneへとアクセスし、その“バリュー”情報やカード情報に触れている。ユーザーにとって最大のメリットは、Apple IDを通じてカード情報の管理が一元化されることで、端末の引っ越しや故障時のリストア作業における負担が大幅に低減されること。端末紛失時の制御も容易だ。

 第2世代のGoogle Payでは、“鍵”情報の直接管理により、こうしたApple Payライクな管理機構を導入していく。おサイフケータイそのものの使い勝手が変化するわけではないものの、FeliCa SEだけに依存していた仕組みがよりソフトウェア制御されるようになり、主に携帯キャリア側が主導していた決済サービスの仕組みがGoogleのようなプラットフォーマーへと移管してくる流れとなる。

 恐らく、おサイフケータイそのものの仕組みも変化していき、やがては現在のような受動的なものから能動的な決済へと移行していくのかもしれない。筆者は以前に「決済の黒船 Apple Pay(日経FinTech選書)」の名称で著書を出させていただいたが(本のタイトルは担当編集氏がつけたものだが……)、くしくもApple Pay登場を機に、10年以上にわたって大きな動きのなかった国内のモバイル決済事情が動き始めており、その影響力の大きさをうかがわせる。

Google Pay 第2世代のGoogle PayではGoogleクラウド側でサービスを一元管理することになるとみられる

 実際、Apple Pay登場以降に日本の決済シーンは変化しつつある。もともとFeliCa系サービスでは利用率が少ないといわれていたJCBのQUICPayだが、Apple Pay国内上陸を契機に営業攻勢を続け、多くの既存カード会社(イシュア)のQUICPay陣営への取り込みに成功した。QUICPayのApple Pay対応はパッケージのような形で比較的導入ハードルが低く、「Apple Pay対応」の看板を欲しがった各社はQUICPay対応に一気に傾いたといわれる。

 対するiD陣営は、NTTドコモと組んでサービスを展開している三井住友カードの関連会社(セディナ)や、イオン、ソフトバンク等、Apple Pay対応ではマイノリティーとなり、QUICPayに大きく溝を空けられる形となった。実際、Apple Pay登場以後QUICPayは大幅に決済件数を増やしており、JCBのビジネスに大きな効果をもたらしたという。

 先日、三井住友フィナンシャルグループは「SMBCグループのキャッシュレス決済戦略の推進に向けた新たな体制整備について」と「ドコモとSMBCグループの新たな事業協働に関する合意書を締結」というリリースを発表し、子会社再編とドコモとの提携関係を見直している。これはドコモがdカード事業で独り立ちしていくことを意味する他、iD中心だったSMBCのモバイル決済戦略に大幅な見直しが入ることを意味しており、Apple Pay登場が国内金融業界の再編を促した事例といえる。

 さて、間もなく正式発表される「Pixel 3」だが、筆者が注目しているポイントがある。実際に国内版で「おサイフケータイ対応」が行われるかもそうだが、実際にどのような仕組みでおサイフケータイが実装されているのか、そして海外版Pixel 3でもFeliCaを搭載しているのかという点に注視している。筆者はGoogleのProject FiというMVNOサービスを利用している関係上、米国版Pixel 3を購入する計画だが、実際に端末に触れる中でこのあたりを検証していきたい。

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