デジタルな技術だけでなく、ユーザーがどのようにNetflixを使っているかの研究にも熱心です。このロスガトスの社内にはマジックミラーでユーザーの振る舞いを見られる部屋があり、デザイナーやエンジニアがユーザーの行動を見て学習し、アプリのUI(ユーザーインタフェース)やサービスの開発に生かしています。
家庭訪問やヒアリングも実施しており、日本でも同様の研究を行っています。日本人はスマートフォンを密閉袋に入れ、お風呂に入りながらNetflixを視聴するという独特の使い方があり、そういったスタイルもユーザー調査から明らかになりました。
こうしたユーザーの嗜好や各種データは、サービスを改善するためだけに使うことをNetflixは強調しています。他社にデータを提供することはないそうです。「広告業界にいないことを幸せだと思っている」というコメントからも、データの取り扱いに気を使っていることがうかがえました。
今回はテクノロジーの現場を取材しましたが、コンテンツ制作の現場はハリウッドにあります。例えば、Netflixの連続ドラマは、1回1回の時間が異なります。通常のテレビドラマほど、尺を厳密に考えなくてもいいのです。これは、ライターが文字数を厳密に決められずに書く状態と似ているのかなと思いました。
15文字×30行など、文字数がきっちり決められている雑誌のような原稿の書き方と、だいたい2000ワードでというWeb用の原稿では、やはり感覚が違います。文字数の決まりが緩やかな方が、言いたいことを漏らさず書けますし、スペースを埋めるために無駄に引き伸ばす必要もありません。こうした事例を聞き、がぜん、制作の現場も取材したくなりました。機会に恵まれるといいなと思っています。
(取材協力:Netflix)
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