さて、なんだかんだいって、今回一番気になるのはポートレートモードだよね。
iPhone XRではシングルカメラのiPhoneとしては初めて「ポートレートモード」が搭載されたのだ。シングルカメラで背景ぼかしである。
しかも26mm相当の広角カメラでポートレートモードを使えばこんな写真を撮れるのだ。
広角で背景を大きく入れつつ、ボカせる。iPhone XS/XS Maxでは撮れない写真である。
iPhone XS/XS Maxのポートレートモードは広角側カメラは奥行き情報を得るために使われ、撮影は望遠側カメラを使う。なのでこんな感じの写真になる。
望遠側カメラなのでポートレートらしい写真にはなるけれど、背景の範囲が全然違う。
人をメインに撮るのなら望遠気味の方がいいけど、広角で背景をボカしたいこともある。顔が半逆光で日差しが当たっている所と影になってるとこがあるんだけれど、スマートHDRがうまく処理してくれていて、顔が暗くならない。
素晴らしい。
ただ、iPhone XRのポートレートモードには制限が大きく2つある。
1つは光の処理。「ステージ照明」モードがなくて、「自然光」「スタジオ照明」「輪郭強調照明」の3つだけとなっている。
まあステージ照明は使いどころが限られていたので、困ることはないだろう。
もう1つは、iPhone XRのポートレートモードは人物しか撮れないこと。ややこしいですな。
ポートレートってもとは「肖像画」や「肖像写真」の意味で、今は「人物撮影」一般を指すことが多い。つまり「人物」を撮るモードなのだが、人物以外を「ポートレートモードで撮れない」となると話が変わってくる。デュアルカメラのiPhoneなら、人じゃなくてもポートレートモードで撮れるからね。
XRでは人の顔を見つけられないと「誰も検知されませんでした」といわれて、背景がボケない。
人の顔を見つけられないまま撮影すると、通常の撮影となる。
背景がボケてるけれど、これはナチュラルな光学的なボケ。特にボケの処理をしてるわけじゃない。
「iPhone XS/XS Maxは近距離での背景ぼかしができないけれど、iPhone XRならできそうだから、料理や小物を撮るときに良さそう」と思った人、残念でありました。
人を撮るときでも、顔がしっかり見えていないと「誰もいない」状態になってポートレートモードにならないことがある。
また、被写体から距離が離れすぎている場合、つまり顔が小さく写ってる状態だと「近づいてください」といわれる。
iPhone XRで一番残念だったのはここですな。
何らかの理由で人物以外には働かないようにしてるわけで、人物以外は背景と被写体の分離が難しいというのは分かる。被写体の奥行きを示す深度情報も、デュアルカメラモデルと比べて単純化されている(デュアルカメラモデルは顔をちゃんと立体的に捉えているが、XRは平面的。書き割りっぽい)。
ただ、そうだとしてもできればソフトウエアアップデートで、人物以外にも対応して欲しいなあと思う。
その点以外はけっこう優秀。
ストローがぼけちゃう問題はあるけれど、広角カメラならではの寄ったポートレートや狭い場所でのポートレートを撮れるのは良いし、iPhone XS/XS Maxの望遠側カメラは広角側カメラに比べてクオリティがちょっと落ちる(センサーサイズが小さめでレンズも暗いため)から室内だとXRの方がきれいに撮れたりするのだ。
iPhone XRのポートレートモードで撮った写真も、もちろん後から編集できる。
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