航空会社のANAが、凸版印刷の技術を採用し、遠隔地の美術館や博物館などに瞬間移動したような体験ができるというソリューション「AVATAR MUSIUM」を提供している。5Gの高速大容量通信を生かしたものだ。
AVATAR MUSIUMは、高齢者や、病気で外出が難しいような人でも、好きなものを見に行く楽しさを味わえることを目的としている他、課外学習への活用も目指している。会場では、東京・飯田橋にある印刷博物館か大分県の水族館を体験できるようになっていた。リアルな映像を大画面で見られるので没入感が高く、現地にいるかのような感覚が味わえる。現地の人と会話も可能だ。
「ドコモAIエージェントAPI」を活用したさまざまなソリューションが、大きなブースでまとめて展示さされている。ドコモAIエージェントAPIは、会話を使ってユーザーの要望に応え、サービスを提供するための基盤で、ブースは28個の展示とパートナー21社のソリューションから成り立っている。
その中から紹介されたソリューションは、飲食店で声で注文できる「しゃべって注文」。注文用のタブレットは居酒屋などでよく見かけるが、「ビール1つ頼みたいとき、ポテトフライを頼みたいときに、どのページに何があるか分かりにくい」(担当者)。こういった場合には、音声で注文すると簡単にできる。「エンタメ要素も入れられ、楽しんで使える」というソリューションだ。
お客さんが「取りあえずビールと枝豆」としゃべると、ビールと枝豆の候補が表示され、タッチすると選べる。タッチ操作と音声入力の操作が融合しているのが特徴で、タッチと音声の両方で簡単に注文できる。机の裏にマイクが設置され、騒がしい店内でも音声をしっかり認識できるように工夫。デモは日本語で行われたが、2020年を見据えてドコモAIエージェントAPIは多言語化にも注力しており、英語や中国語を使ったソリューションも展示されている。
ブースでは実用化段階に近いものを展示しているが、全てソリューションのテンプレートとして展示されている。各社の利用目的に応じてカスタマイズし、柔軟に対応できるとのことだ。
「ドコモ5Gパートナープログラム」のエリアでは、「高専ワイヤレスIoT技術実証コンテスト」に応募した高等専門学校(高専)の生徒のアイデアも展示している。ドコモ5Gオープンパートナープログラムは、加入したパートナーたちと新しいサービスやソリューションを作っていくのが目的。外部のコンテストや他のプログラムと連携することで、さらに取り組みを広げていきたいという狙いがあるという。
高専ワイヤレスIoT技術実証コンテストは、5Gを活用した新しいサービスやソリューションのアイデアを募集したもので、採択されたのは豊田工業高等専門学校と沖縄工業高等専門学校の2校だ。
豊田高専は、プロのスポーツ選手の動きを、VRゴーグルを通して3次元で捉えることができるシステム。VRゴーグルをかけると360度を見渡すことはできるが、対象の物体を3次元的に見ることはできない。豊田高専のシステムは深度センサーを追加することで、人の動きを3次元的に捉えることができる。それによって、例えばプロのサッカー選手がキックするインパクトの瞬間に、360度方向からその選手の状態を見て、身体の動きや筋肉の使われ方など、細かいところをチェックできる。
沖縄高専のアイデアはダイビング向けシステム。ダイバーにARゴーグルを着けてもらい、ARゴーグルで見た映像をダイビングセンターに伝送。そこで魚の情報やダイビングコースの誘導をダイバーにフィードバックするというシステムだ。魚の情報を出すのも、ARの映像の解像度が高くないと難しいが、5Gの高速大容量通信で高解像度の映像を送ることで可能になるという。
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