分離プランが主軸になっても「端末購入補助なしはあり得ない」 ドコモ吉澤社長

» 2019年02月02日 00時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモの2018年度第3四半期の決算説明会では、総務省が2018年末に「緊急提言」として要請した分離プランや、ドコモが2019年度第1四半期に提供を予定している新料金プランに質問が集まった。

 総務省が2018年11月27日に取りまとめた緊急提言では、端末代金と通信料金を分けた「分離プラン」の実現を要請。ドコモはこの要請を受ける以前に、分離プランを軸に料金を値下げすることを予告していたが、要請による変化はあったのか。

ドコモ NTTドコモの吉澤和弘社長

 吉澤和弘社長は「分離プランの方向で考えている」と方針に変更がないことを説明しつつ、新料金プランの詳細については「シンプルで分かりやすくてお得を感じていただける設計に入っている。第1四半期に発表するので、そこまでお待ちいただきたい」と述べるにとどめた。気になる新料金プランの提供時期については「発表と実施の時期が必ずしも一緒とは限らない」と述べ、提供時期は、第1四半期(4月〜6月)の後半になる可能性があることを示唆した。

ドコモ ドコモは2019年度第1四半期に2〜4割ほど値下げする新料金プランを提供する予定

 分離プランが主軸になると、現在提供されている端末購入補助の「月々サポート」は付かなくなり、端末価格だけを見ると、高騰する形になる。特に10万円を超えるようなハイエンド端末は、トータルコストが安くなっても、ユーザー心理から手を出しにくくなるかもしれない。ただ、吉澤氏は「購入補助が全くないというのはあり得ない」と言う。

 「ケータイからスマホへの移行を進めないといけないので、そこには何らかの形で優遇することは必要。商慣習でいうと、(発売から)1〜2年たった端末については、割引をすることはある。どのぐらいのレベルになるかは検討の余地があるが、過度な購入補助にするつもりはない」(同氏)

 それでも、ハイエンドモデルに関しては、購入補助なしのインパクトが大きいため、ミッドレンジモデルを充実させていく意向を明かした。3〜4万円台が中心の「docomo with」で扱っているような端末が、今後さらに増えそうだ。そのdocomo withは、2019年1月1日で400万契約を突破した。

ドコモ docomo withの契約数は400万に達した
ドコモ 2018年にヒットした「AQUOS sense」のようなミッドレンジ機がさらに増えるようだ

 「買い替え周期が長くなることも考えられるため、総販売数はある程度落ちるとは思っている」と吉澤氏は見積もる。そうなると、iPhoneをはじめとする高額なモデルは売れ行きが厳しくなりそうだが、iPhoneは熱烈なファンが多く、「iPhoneを本当にお好きな方は、ある程度高くてもお使いいただけるのでは」と同氏。「iPhoneに限らずフラグシップ端末はそれなりのお値段がする。そういった魅力的な端末に対して、売り方の工夫ができるよう、アイデアを出したい」とし、通信料金から割り引く形ではない、何らかの購入補助を付けることを示唆した。

 ドコモは2019年に「5G」のプレサービスを開始するが、そこでは当然5Gに対応した端末が必要になる。5G端末が行き渡らないことには、5Gは普及しない。吉澤氏は5G端末についても、「端末価格は高くなるかと思うが、それをいかに安くするかの努力をすることで、しっかりと普及させたい」と話す。

 2018年度におけるドコモスマートフォンの販売台数は、2017年度と比べると各四半期で50万台〜100万台ほど減っているが、これは「ケータイ補償サービス」で提供する端末の減少が影響しているという。「販売に支障が出ているわけではない」と吉澤氏は強調する。2018年のiPhoneは「XS」「XS Max」を中心に高額な価格が話題を集めたが、「X」や「XR」も含めて「数は出ている」と同氏。また、比較的安い価格帯では「8」も売れており、「6s」がdocomo withに対応したこともあり、「対前年では(売れ行きは)ほぼ同じ」とのこと。

ドコモ 「iPhone 6s」はdocomo with対象端末として、約4万円で購入できる

 ドコモは新料金プランによって、1年あたり最大4000億円規模の還元を予定しているが、「4000億円は、必ずしも毎年ではなく、プランに移行するお客さまの数や移行のスピードにもよる」と吉澤氏。新プランの契約者が増えるほど還元額も増えるが、2020年度がそのピークになる可能性もあると同氏はみる。

 この4000億円をどう取り戻すかの施策も重要になる。「値下げによってドコモの基盤が拡大する、ポートアウトする人が少なくなるなど、収益化を増やしたい。非通信のサービスをご提案をすることで、収益機会を増やしていく」(同氏)。NTTぷららを子会社化したこともその一環と捉えており、「映像ビジネスを拡大することで、収益拡大のチャンスをものにしたい」と意気込んだ。

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