シェアパック、docomo withの廃止を匂わす吉澤ドコモ社長――高橋KDDI社長「ドコモの分離プランで世の中が変わる」石川温のスマホ業界新聞

» 2019年03月08日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 今年のMWCは「5G一色」という感じであった。

 しかし、日本は2019年9月にプレサービス、2020年春に商用サービスがスタートするということもあり、MWCの5G祭からは蚊帳の外という感があった。5Gスマホが発表されても「これ、日本じゃ買えないんでしょ」という諦めの気持ちが先行してしまうのだった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年3月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 そんななか、やはり個人的に熱心に取材したのが料金関連だ。特にNTTドコモ・吉澤和弘社長のインタビュー取材では広報から「MWCなんで5G関連の質問でお願いします」と言われたが、最初に「5Gの料金はどうなるのか」「今度の値下げは5Gを意識した設定になるのか」という質問をしつつ、春の値下げをどのようにしていくのかを深掘りしていった。

 詳細は日経電子版の連載「モバイルの達人」(「春の値下げに悩むドコモ 政府意向をくみ取れるか」)に掲載している。

 印象的だったのは「NTTドコモの料金体系はわかりづらい」という声が多いのを感じているようで、吉澤社長としては「シェアパックからの脱却を図りたい」とのことであった。家族を囲い込むのがNTTドコモの勝ちパターンであり、そのためのシェアパックであったが、やはり家族で分け合えるといっても、それが結局、一人あたりの料金のわかりにくさに繋がる。

 おそらくシェアパックを辞める一方、他社のように、家族の人数が多ければ、それだけ適用される家族割引が拡大する手法が取られるのではないか。

 KDDIの高橋誠社長にもインタビュー取材をしたが「(NTTドコモが)いままでのシェア型をキープするのか興味はある。対抗策は考えている。NTTドコモが分離モデルを用意しているので、世の中が大きく変わるのではないか」と警戒していた。

 総務省では電気通信事業法を改定し、完全分離プランを導入しようとしている。完全分離プランが導入されることで、影響を受けるのがdocomo withだ。

 吉澤社長は「docomo withは端末も安く料金も安いというので、直近では500万件近く契約されている。しかし、完全分離プランを導入するとなると、docomo withもできなくなる」という。

 つまり、すでに契約している人は継続できるが、新規での契約受付は停止になる可能性があるというわけだ。

 すでに安価に使えるプランがあるにも関わらず、「完全分離プランを導入せよ」ということで、安いプランが新規受付停止になるというのは理解に苦しむ。総務省の本来の目的は「国民の通信料金に対する負担を下げる」はずではなかったのか。

 まさに本末転倒な展開になりそうで、先が思いやられるというものだ。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  2. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 「健康保険証で良いじゃないですか」──政治家ポストにマイナ保険証派が“猛反論”した理由 (2025年12月06日)
  5. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  6. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  7. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  8. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  9. ドコモも一本化する認証方式「パスキー」 証券口座乗っ取りで普及加速も、混乱するユーザー体験を統一できるか (2025年12月06日)
  10. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー