Mate Xは、折りたたむとディスプレイが外側に露出する山折りタイプ。ディスプレイが内側に収納されるGalaxy Foldとは逆だが、山折りにした理由について、Huaweiの担当者は「本体をコンパクトにするため」と説明する。Galaxy Foldのような谷折りだと、閉じたときに使うディスプレイをもう1枚用意する必要があり、その分厚さと重さが増してしまう。ディスプレイを3枚備えることよりも薄さと軽さを優先し、山折りとなった。
その際に気になるのが耐久性だ。ディスプレイが常に露出しているということは、端末を落としたときの破損リスクが増す。Mate Xのディスプレイ面には、ガラスでもプラスチックでもない特殊な素材を使っているそうだが、落としてダイレクトに衝撃が加わると、やはり破損しやすくなるそうだ。「落とした場合、これまでのスマートフォンのような感じには捉えないでほしい」とのこと。他のスマホよりは壊れやすいと考えてよさそうだ。
HuaweiはMate X用に純正のケースを用意しているので、担当者は「ケースを使ってほしい」と話していた。ただ、折りたたみ機構に対応したケースとなると、開発の難易度が上がりそう。サードパーティーからどれだけケースが登場するのかは気になるところだ。
なお、Huaweiでは折りたたみの耐久テストは当然行っており、開閉の許容回数は把握できなかったものの、「普通に使えば、2年間の使用には耐えられる」とのこと。逆に言うと、2年以上アクティブに使うのは難しいということで、ここをどう評価するかは意見が分かれそうだ。Mate Xは日本円で約29万という高額な端末だけに、3年、4年使い続けたい声もあるだろう。
先述の通り、Mate Xは開き途中の段階でとどめることはできず、ドコモの2画面スマホ「M」のように、半開きの状態でスタンドとして固定することもできない。このスタンド機能は、映像を視聴するのに重宝するが、Mate Xではそもそも、一度ディスプレイを開こうとすると8型の1画面表示に切り替わるので、半開きで固定できてもコンテンツが分割されてしまい、あまり意味がない。
本体を開き切った状態でも、机に立てかけることはできなかったが、少し折り曲げると安定した。ただ、この状態だとやや折り目(のようなもの)が目立ち、視認性があまりよろしくない。スタンド機能を持つケースが登場することに期待したい。
生体認証は、側面に備えた指紋センサーを使う。ディスプレイ内蔵の指紋センサーと3D顔認証に対応した「HUAWEI Mate 20 Pro」と比べると見劣りする。Android標準の顔認証は、今後搭載する可能性があるとのこと。ただ、Mate Xはインカメラを搭載していないので、顔認証を使うには背面を表に向ける必要があり、利便性はいまひとつといえる。
スピーカーは「大きなものを搭載した」そうだが、モノラルなのは残念。大画面で映像やゲームなどのコンテンツを楽しむことに向いているだけに、ステレオスピーカーだとなおよかった。
Mate Xは折りたたみの機構がフィーチャーされやすいが、5Gに対応している点も忘れてはならない。5Gのモデムチップ「Balong 5000」を内蔵しており、N41(2.5GHz)、N77(3.7GHz)、N78(3.5GHz)、N79(4.7GHz)をサポートする。SA(Stand Alone:5Gのみのネットワーク)とNSA(Non Stand Alone:LTEも含むネットワーク)の両方に対応している。
DSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)にも対応しており、片方に5G用のSIM、もう片方にLTEや3GのSIMを入れての運用も可能。ちなみにもう一方のSIMトレイは、外部メモリのNMカードとの排他利用となる。
短時間ながらMate Xに触らせてもらったが、ソフトウェアは開発段階とあって、意図した通りに反応しないことが多く見られた。Mate Xの発売は2019年中頃ということもあり、まだ最終版とは程遠い完成度のようだ。もちろん、製品版では、他のHuaweiスマホのように、快適な動作でユーザーを満足させてくれるだろう。
現時点で感じた「良いところ」「不満を感じたところ」「気になったところ」をまとめてみた。
やはり約29万円という価格が大きなネックになりそうだが、それを忘れさせるほどワクワクするデバイスであることは間違いない。
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