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» 2019年04月19日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:三木谷楽天社長「5Gだからと高くチャージするということはない」――完全分離プラン除外は「許されても、そういう選択肢はとらない」

新規参入の楽天モバイルを含む国内4キャリアの「5G」基地局開設計画が認可された。その免許交付式で、楽天モバイルの親会社である楽天の三木谷浩史社長が囲み取材に応じた。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 4月10日、総務省にて、5G開設計画の認定交付式が行われ、石田真敏総務大臣から4キャリアのトップに認定書が手渡された。交付式終了後、楽天の三木谷浩史社長がメディアの囲みに応じた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年4月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


―― まずは5G免許割当の受け止めを聞かせてほしい。

三木谷浩史社長 「5Gによって単純に通信スピードが速くなるというよりも、産業革命を超えた社会革命を及ぼす可能性が極めて高いと思っている。大切な周波数帯域を割り当てていただいたので、国の発展に貢献できるように頑張りたい」

(★ まさにおっしゃる通り)

―― 本業に対して、どのように5Gを活用していくのか。

三木谷社長 「5GはIoTなどのアプリケーションにイノベーションを及ぼす。基本的には、楽天モバイルのスタイルとしてはオープンな形で様々な企業と提携してやっていく。そのなかの一環として、楽天が推進しているエコシステムに貢献できればいいかと思っている」

(★ 4Gエリアが限られる中で、組んでくれる企業が現れるかどうかだな)

―― 10月に向けて基地局工事の進捗状況はどうか。5Gへの展開を視野に入れていると思うが。

三木谷社長 「我々はすでにある程度、5Gを想定しながらネットワーク構成や基地局のロケーションを設計してきている。最初から5Gを考えながら4Gを作っているのが他社と違う。現在の進捗状況はすべての面で、ロードマップどおりに順調に進んでいる」

(★ 基地局工事の模様をレポートした今週公開の日経電子版「モバイルの達人」に、コメントを載せたかったので、この質問をしてみました)

―― 中国ベンダーの採用状況はどうか。

三木谷社長 「楽天モバイルは中国メーカーを意図的に排除したわけではないが、ご存知の通り、フルバーチャライズのクラウドベースにになっている。結果として、中国製のネットワーク機器については一切、使っていない」

(★ ちなみに基地局の電源はファーウェイ製)

―― 5Gでも同様か。

三木谷社長 「我々の戦略的にはできるだけ共同開発した、我々の機器を使うことになっている。基本的にはアメリカ企業、ヨーロッパ企業、インド企業が中心になっている」

(★ 楽天の共同開発は、設備コストを相当、抑える効果があるようで、ちょっと驚いた)

―― 5Gの料金水準は?

三木谷社長 「これからのところだと思うが、基本的には5Gだから高くチャージするということはない。社会的ミッションとして、より安くより便利に使ってもらうことだと思うので、その中でサービスパッケージ、価格を考えている」

(★ 楽天のポジションとしては、他社より安い値付けを求められますな)

―― ネット企業がMNOをやる意味は。

三木谷社長 「2つあると思う。まずはネットワークのクオリティ、これに関してはスピードだけでなく、AI機能や、OTTサービス、インターネットサービスとのシナジー、こういうところは構造的に日本企業だけでなく世界の大きな通信業界とは全く違う構造になっている。世界が注目する結果になっている。

2つ目は顧客獲得。既存の顧客がたくさんいる。ブランドネームも浸透している。その点は有利に展開できるのではないか」

(★ 既存の顧客がたくさんいるのは理解できるけど、それはあくまで「ネット通販の楽天」として顧客だからなぁ)

―― 今回、5G基盤展開率ということでエリア展開において56.1%と他社に比べて見劣りする。どういう計画なのか。

三木谷社長 「基本的には出発点がそこにあると考えている。よって、利用状況、価値をしっかりと認識しながら、計画の数字をあげれるように頑張りたい」

(★ NTTドコモは7950億円で97%の展開率となっているけど、そこに対抗する気なんだろうか)

―― 5Gのネットワークの仮想化は他社と比べてどういった優位性があるのか。

三木谷社長 「他社のネットワーク構成について、我々のほうで深く研究しているかといえば、少なくとも私個人のレベルではない。

我々のネットワーク構成でいうと、本当に5Gのアンテナをいま契約を進めている基地局のところに付加的に付け加える。しかも、かなり小型化になる。これを付け加えるだけで5Gが動いていく。我々にとっては投資金額は他社に比べてかなり抑えられるようになる。実際のサービス展開スピードもあげられるのではないか。そういう意味では、我々が今回取得した周波数帯域は、ベストのコンビネーションで結果的に良かったなと思う」

(★ 1.7GHzと3.7GHzでは、カバーできるエリアもかなり違うと思うけど)

―― 楽天トラベルが公取委に入られたが。

三木谷社長 「今日、そういう報告を受けた。私の認識では基本的には楽天トラベル、それ以外の楽天のサービスについても、極めてフェアなかたちで、取引をさせていただいていると考えている。また、今後のことについては、公取さんにしっかりご説明させていただきご理解いただきたいと思う」

(★ このとき、「極めてフェア」という言葉が出てきたので、最後の完全分離プランに関する質問をぶつけるのが待ち遠しくなってきた瞬間であった)

―― ホテルに対して価格への圧力は御社としてはしていないという認識か。

三木谷社長 「基本的にはそういう風に認識している。今後、これについて発表させていただくことになると思う。それまでお待ちいただきたい」

(★ 当日、公取委のニュースがあったので、三木谷さんが出てこないかと思っていたが、読みが外れた)

―― 完全分離プランが導入される際に、楽天が除外されるという報道があったが。

三木谷社長 「基本的にはかなり憶測の報道ではないか。ニュースソースは我々もわからない。基本的には、楽天モバイルは携帯電話の民主化活動をテーマに掲げていますので、もしそういうことが許されたとしても、我々としてはそういう、選択肢は取らないと思う」

(★ そうそう、楽天はこうでなくちゃ。チャレンジを掲げ、プロスポーツにいくつもスポンサーしている企業なんだから、フェアなルールで戦わないと。完全分離プランから除外されるなんて、ハンディキャップのあるルールで戦っちゃいかんよ)

■取材を終えて

 最後のコメントは実に頼もしかった。「(完全分離プランからの除外が)許されても、我々としてはそういう選択肢は取らない」と宣言した時の三木谷さんはかっこよかったなぁ、と。楽天の民主化活動、応援したくなってきた。

© DWANGO Co., Ltd.

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