インタビュー
» 2019年04月24日 06時00分 公開

レンタルWi-Fiにはない「圧倒的な利便性」 海外SIMに注力するアイツーの戦略 (1/3)

アイツーは、自社ブランドの「トラベルSIM anyware」や「トラベルe-sim」に加え、「GigSky」も取り扱うなど、多彩なバリエーションの海外用SIMカードを販売している。なぜ海外用SIMカードに着目したのか? ローミング専用SIMカードの現状をアイツーのJag山本氏に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 元号が令和に変わる5月1日が「天皇の即位の日」として祝日になったため、4月27日から始まるゴールデンウイークはカレンダー通りに休むだけで10連休になる。かつない大型連休ということもあって、海外旅行需要も高まっている。実際、航空会社各社の予約率は軒並み例年を大幅に上回るなど、数値でもその影響が見て取れる。

 海外渡航の際に、頭を悩ませることの1つが通信環境だろう。ドコモやauが、24時間980円の国際ローミングサービスを始めたことで、以前よりは手軽に自分のケータイを海外で使えるようになったが、10連休を丸ごと海外ですごそうとすると、金額もそれなりに高くなってしまう。また、ソフトバンクは1日2980円、MVNOではそもそもデータローミングができないなど、人によっても事情は大きく異なる。

 現状ではWi-Fiルーターのレンタルが大きな市場になっているが、一歩先を見て、海外用SIMカードの販売に注力している会社もある。アイツーは、その1社だ。同社は自社ブランドの「トラベルSIM anyware」や「トラベルe-sim」などに加え、Apple SIMやeSIMでおなじみの「GigSky」も取り扱うなど、多彩なバリエーションの海外用SIMカードを販売し、年々、規模を拡大している。以前はメッセンジャ―アプリを超低価格で利用できる「ChatSim」も取り扱っていた。

トラベルSIM 世界113カ国以上でデータ通信と通話が利用できる「トラベルSIM anyware」

 では、なぜ同社は海外用SIMカードに着目したのか。ローミング専用SIMカードの現状をアイツーのJag山本氏に聞いた。

2014年に海外SIMのサービスを開始

トラベルSIM アイツーのJag山本氏

―― 最初に、海外用のSIMカードを取り扱い始めたきっかけを教えてください。

山本氏 もともとPC用のソフトウェアの商品企画をしていて、古くはタイピングソフトの「北斗の拳」や、DVDコピーソフトの「DaViDeo」のプロデュースをしていました。そんな中、PC用ソフトウェアの勢いがどんどん落ちてきた一方でスマートフォンが伸びてきて、ニーズがありそうなものを探っていました。

 私自身、海外の仕事が多く、海外に行くと必ず現地のSIMカードを買っていました。実体験でいうと、Wi-Fiルーターが使えないことが何度かありました。これが、デュッセルドルフ(ドイツ)やサンフランシスコ(米国)なら旅行代理店が予備を持っているのですが、私が行っていたような(日本人があまりいない)街ではそれもかないませんでした。

 ライフラインがなくなってしまうのは、気に食わないという思いがあり、欲しい人は他にもいるはずということで始めたのがトラベルSIMです。アイツーの代表もソフトウェアを売っていた仲間だったので、一緒に始めた事業になります。サービス開始は2014年なので、ちょうどMVNOに注目が集まり始めていたころですね。

 トラベルSIMは、エストニアのTop Connectと提携してできたもので、今売っている商品の主力も、Top Connectのものです。準備期間からカウントすると、ちょうど6年になりました。

ChatSimやGigSkyの取り扱いを決めた経緯

―― トラベルSIMにも複数のラインアップがありますが、他にもGigSkyを取り扱っていますし、過去にはChatSimも販売していました。どういったコンセプトでSIMカードをそろえているのでしょうか。

山本氏 まず、1カ所でしか使えないSIMカードはニーズとして小さくなりすぎるので、手を出していません。台湾やハワイなど、日本人がよく行くところのSIMカードを販売する手もありましたが、そこに行く人が1回だけ使うのであれば、空港で現地キャリアのSIMカードを買えばいい。複数の国で使えるものというのが、最初からのコンセプトです。

 複数国で使えるSIMカードは、いろいろな会社がいろいろな工夫をしていました。そこで、お客さまのニーズを踏まえつつ、組めるところとは組んでしまおうと考えていました。最終的に、一番いいものが残るであろうということで、特徴ごとに分けて出していきました。

トラベルSIM かつて取り扱っていた「ChatSim」。LINEやFacebookメッセンジャーなどが1年間使い放題なのが特徴

―― 結果として、今はなくなってしまったものもありますが、やはりニーズがなかったということですか。

山本氏 イタリアのChatSimはわれわれにサポート権限がなく、何かあったときにイタリアに振らざるをえなかった事情がありました。これはあまりよくないということで、Top Connectがチューニングした海外Chatsimという似た名前のものを売っていました。ただ、こちらもやはりLINEのスタンプが送れないというトラブルがあり、ユーザビリティの面で迷惑を掛けたくないということで販売を終了しています。

 LINEはスタンプがたくさんあって、よくよく分析していくと、ハッシュタグだけを送って表示しているものだけでなく、画像そのものをダウンロードしているものもあります。そうなると、どうしても通信速度が遅いときに詰まってしまう。(欧米で主流のメッセンジャ―アプリ)WhatsAppだとスタンプがあまりないので、問題はなかったのですが……。日本はスタンプカルチャーで、スタンプだけでやりとりすることも多いので。

―― トラベルSIMとは別に、GigSkyは今も残っています。これはどういう経緯で始めたのでしょうか。

山本氏 私は以前、イーフロンティアという会社でコンサルタントをしていたのですが、GigSkyはそこから独立したフロンティアファクトリーが取り扱っていました。私たちと提携したのは、フロンティアファクトリーが海外市場にシフトし始めたのがきっかけですが、パートナーとの関係もあり、今後も伸ばしていきたいということで取り扱っています。

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