一方で、講演で示されたデータからは、PayPayが抱える課題も見えてきた。確かにユーザーの決済回数はキャンペーンのたびに跳ね上がっているが、それが終了すると、一気に大きな谷ができてしまう。馬場氏は「キャンペーンばかりやっているので基本的なサービスが認知されていないが、通常でも3%が戻ってくる」と語っていたが、大規模な還元に慣れたユーザーが、3%では満足できなくなる可能性もある。
還元以外で、ユーザーの使い勝手を高める努力も必要になりそうだ。講演では、セブン銀行のATMからPayPayにチャージできる新機能が紹介されていた。馬場氏によると、「11日から始まってものすごい勢いで使われている」というが、銀行からのチャージももっと拡充する必要がありそうだ。大手都市銀行では三菱UFJ銀行がPayPayへのチャージに対応しておらず、ネット専業銀行でも抜け落ちているところが多い。
機能面でも、まだ物足りない部分は多い。筆者は実際、主要な〇〇Payを日々、使い続けているが、支払いのスムーズさではFeliCaに対応したLINE Payやメルペイに軍配が上がる。また、対応店舗の広さという意味では、JCBのプリペイドカードとして使えるLINE Payの安心感が高い印象だ。
実際、7月18日にMMD研究所が発表したコード決済の利用動向調査では、PayPayが利用頻度ではトップになっていた一方で、満足度はメルペイに大きく水をあけられていた。満足度を項目別に見ていくと、支払いのスムーズさや機能の豊富さで、メルペイやLINE Payとの差が顕著に出ている。2月に100億円キャンペーンを発表した際は、同社の代表取締役社長執行役員CEOの中山一郎氏が「ユーザーの声を聞き、必要と思えば(FeliCaへの)取り組みを検討したい」と語っていたが、今後の対応に期待したいところだ。
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