Wi-Fi以外ではウェアラブルデバイスの市場動向や新技術の説明が行われた。
ウェアラブルデバイスとして1つのジャンルを確立したBluetoothヘッドフォンは、1999年にEricssonが最初の製品を出してから、しばらくは通話手段として利用されたが、2006年にMotorolaが発表した製品あたりから音楽用途にも利用されるようになった。
Qualcommもこの市場には2010年に「aptX」コーデックの投入で参入開始。2015年には左右のヘッドセットに直接音楽をステレオ送信する「TrueWireless Stereo」を発表した。そして2016年にAppleが「AirPods」を発売し、Bluetoothヘッドフォンの普及を後押しした。
調査によると、ビデオ視聴時にBluetoothヘッドフォンを装着するユーザーの比率は57%、ゲームプレイ時も31%に増加している。ユーザーの関心は音質はもちろんのこと、バッテリーの持ちにも注目が高まっている。さらにはAirPodsのように耳に直接取り付ける「Buds」型の製品が増えるにつれ、装着感を気にするユーザーも増えているとのこと。
Qualcommの技術は現在「aptX Adaptive」「TrueWireless Stereo Plus」と進化を高めた。このうちaptX Adaptiveは低遅延と高音質を両立させたコーデックで、端末側とヘッドフォン側の両者が対応する必要がある。スマートフォンではシャープの「AQUOS R3」が対応している。今回のイベントではヘッドフォンメーカーBowers & Wilkinsによる同コーデック対応のBluetoothヘッドセット新製品も展示。日本では11月に発売される予定だ。
ウェアラブルデバイスのもう1つの代表といえばスマートウォッチだ。Qualcommはスマートウォッチ向けに2つのプラットフォーム「Snapdragon Wear 3100」「Snapdragon Wear 2500」を展開、またトラッキングデバイス向けには「Snapdragon Wear 1100」「Snapdragon Wear 2100」と通信モジュールを変えた製品を展開している。
このうち、スマートウォッチは一般ユーザー向けと子供向けでは求められる機能が異なることから、プラットフォームもキッズウォッチ向けとしてSnapdragon Wear 2100を展開している。一般ユーザー向けのスマートウォッチはスマートフォンと連携されることも多く、4G機能は必須ではなくBluetoothのみ対応モデルも多い。またファッション性やスポーツ向けのアクティブ機能なども求められる。
一方、子供向けのスマートウォッチは緊急通話用途などに4G通信機能が必須であり、単体で利用されることが多い。カメラを搭載し、ビデオ通話やその場の写真を送る機能を持つものもある。通信事業者ブランドで販売されるものもあり、OSはWear OSではなくカスタム版Androidが用いられるケースが一般的だ。
大人向けのスマートウォッチはファッションブランドとコラボレーションした製品が増えている。この1年で販売された製品総数は25、ブランドとメーカーは15に上る。価格は150ドル程度からで、ブランドモデルは4500ドルと高価なものも登場した。ディスプレイは円形でアナログ時計を模したデザインがトレンドだ。四角いフェースのApple Watchだけが異端の存在といえるかもしれない。Qualcommによると、一般向けウォッチの今後のトレンドは、よりコネクティビティー性が求められていくだろう、とのこと。
対して、子供向けのウォッチは壊れにくい外装やデザイン、またカラフルな色の仕上げで子供が使いたくなるような工夫がされている。過去1年には30製品が18ブランドとメーカーから登場したが、その多くは中国市場だ。OPPOやVivo、OnePlusを関連会社に持つBBK(歩歩高)の最新モデルはベゼルの裏に搭載したカメラで高画質な写真も撮影できるなど、独自の進化を遂げている。子供向けウォッチはデュアルカメラ化やコンテンツ、サービスの拡充がトレンドになるとのこと。
(取材協力:クアルコムジャパン)
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