世界を変える5G
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» 2019年10月01日 16時00分 公開

The Future of 5G Workshop:2020年にはミッドレンジの5Gスマホも登場? Qualcommが5Gの技術動向を説明 (1/2)

Qualcommは米サンディエゴにある同社の本社で「The Future of 5G Workshop」を開催。5Gの現状とユースケースを中心としたこれからの展望について説明した。カギを握るのがミリ波。同社はミリ波に対応したアンテナモジュールを開発し、スマホでミリ波を利用できる技術を確立した。

[山根康宏,ITmedia]

 日本でも「5G」の商用化がいよいよ見えてきた。海外では既に韓国や米国、欧州各国で5Gのサービスが始まっている。5Gは今後われわれの生活をどのように変えてくれるのか?

 9月24日にQualcommは米サンディエゴにある同社の本社で「The Future of 5G Workshop」を開催し、5Gの現状とユースケースを中心としたこれからの展望について説明した。

Qualcomm

5Gは社会生活を変える新しいインフラになる

 1980年代に最初の携帯電話サービスが始まってから、通信技術は10年ごとに新しい世代生まれ変わり、2020年代は5Gの本格的な普及が期待されている。音声通話からデータ通信、そしてデータ通信の高速化を経て、5Gは「超高速」「超低遅延」「同時多接続」というこれまでの世代の通信技術にはなかった新たな特性を有しており、新たなサービスやアプリケーションを生み出そうとしている。その5Gは遠い未来の話ではなく、今や目の前で動く現実の技術になっているのだ。

Qualcomm 通信技術の10年ごとの進化を語るQualcommのジム・トンプソンCTO
Qualcomm 5Gは新たなサービスやアプリケーションを生み出す

 日本では9月にドコモやKDDIが5Gのプレサービスを開始。世界の状況を見ると、この6カ月間で30以上の通信事業者が5Gを開始または開始予定としている。これは4Gの開始時点に比べるとかなり速いペースだ。韓国では5G利用者が200万人を突破、中国では5G単独のSA(Stand Alone)ネットワークの構築も進められている。そして従来の通信技術で使われていた「Sub-6 GHz」(6GHz以下)の周波数だけではなく、ミリ波と呼ばれる高い周波数の商用化も始まろうとしている。

 この通信技術の革新の歴史において、Qualcommは1993年に世界初のCDMA方式のデモに成功し、「携帯電話といえば通話」という時代にデータ通信という新たな技術の1ページを加えた。その後も1998年のEV-DO、2013年のLTEによる機器間通信など一貫して高速データ通信の技術革新に取り組んできた。この機器間通信は商用化には至らなかったものの、今では自動運転のカギとなるV2Xに技術が生かされている。

Qualcomm 世界の5Gは既に30以上のネットワークが構築されている
Qualcomm Qualcommは一貫してデータ通信技術の開発を行ってきたとトンプソンCTOは説明する

 5Gによる通信は人と人だけではなく人とモノ、モノとモノを瞬時につなぐことができる。例えばAIの利用は今までクラウド経由だったものが、今ではマシンパワーが増大したことによりオンデバイス型が増えている。5Gになればクラウドへの通信速度が上がり遅延も無視できるレベルになるため、クラウドとオンデバイスを融合した利用スタイルに変わっていく。

 多数のセンサーデータを活用したインテリジェンスな工場の自動運転、周囲の交通状況に応じて最適な運転を行う自動運転、遠隔地からもVRやARを利用して手術が行えるスマート医療など、5Gはこれまで夢に思われてきたサービスを実用化することを可能にする。

Qualcomm 5G時代のAIはクラウドとオンデバイスが融合される
Qualcomm 距離を感じさせず、あらゆるデータをリアルタイムに処理、5Gは産業の新たな展開を生み出す

5Gでは新しい周波数帯の利用も視野に

 5Gはどのような技術基盤で実用化されているのだろうか。業界の標準化団体「3GPP」はRel.15でSAとNSA(Non Stand Alone)の技術仕様を制定し、5Gの通信方式として「5G NR」が標準規格化された。次のRel.16は2020年に仕様が決まり、アンライセンスバンドの利用などで自動車分野への5Gの応用展開などが広がることが期待されている。さらにその先のRel.17、Rel.18では5Gならではの新しいエコシステムが生まれるとみられている。

 5Gは3つの特性がそれぞれ相互に作用することで新しいアプリケーションを生み出すことができる。またMassive-MIMO技術は端末のカバレッジを拡大させることができる。さらにエッジコンピュータは5G接続されるクラウドの役割を補佐してくれるだろう。複数の技術を相互に活用するのも5Gエコシステムの特徴だ。

Qualcomm 3GPPによる5G技術のタイムラインを説明するジョン・スミーVP。現在はRel.15
Qualcomm Rel.15から16、そして17へと標準化技術が進むにつれアプリケーションも増える

 現在のRel.15の標準化技術では通信の高速化による家庭向けブロードバンドの無線化や、ノートPCの常時接続などをこれから進められるだろう。Rel.16ではライセンスバンドとアンライセンスバンドの同時利用でコストを抑えながら5Gの特性を利用できるようにもなる。「学校、工場、スタジアムなど大規模エリアのカバレッジもそれぞれのユースケースに応じた通信の最適化も可能になる」とQualcommのエンジニアリング・5G R&DリードのVP、ジョン・スミー博士は説明する。

 5Gでは可変可能なスロットベースのフレームワークを使うことで、1つの周波数をアプリケーションごとに細分化し、周波数の有効利用が可能になる。Massive IoTやV2X、ミッションクリティカル通信といった、これから登場するアプリケーションやサービスに対して5G回線ならフレキシブルに対応できるのだ。

Qualcomm Rel.15により実用化が期待される新しいアプリケーション
Qualcomm 5Gは周波数をフレームワークで細分化し有効利用ができる

 新しい周波数の利用も5Gでは視野に入れている。現在、商用化が進められているミリ波は28GHzと39GHzだが、今後はさらに高い周波数が利用される見込みだ。Rel.17以降では71GHzや114.25GHzも採用される見込みになっている。一方、Rel.16で期待される免許不要で利用できるアンライセンスバンドは「5G NR-U」として標準化される予定だ。ベースは無線LANと同じ周波数を共存するLAA(Licensed-Assisted Access using LTE)とMulteFire技術を5Gに融合するもので、5GHzなどの周波数を利用することでネットワーク容量をフレキシブルに拡大できるという。

Qualcomm 5Gで活用されるミリ波は、今後さらに高い周波数が利用される
Qualcomm アンライセンスバンドは5G NR-Uとして標準化される
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