5Gに対応したデバイスは既に150種類が製品化されている。スマートフォンもSamsung ElectronicsやHuaweiといったメジャーメーカーだけではなく、XiaomiやOPPO、OnePlusなど新興系メーカーからも登場している。また、屋内用ルーターともいえるCPEやホットスポット、組み込み用のモジュールも、4G登場時点と比べるとはるかに多い数の製品が出てきている。
Qualcommは、これらメーカー向けにX50 5Gモデムを提供し、現在市販されている同社プロセッサを採用する5G製品はこのモデムを搭載している。また、2019年に提供予定のX55 5GモデムではSA方式の採用、FDDサポート、(4Gと5Gを同一帯域で共存させる)Dynamic Spectrum Sharingなど新しい機能が加わる。
そして2020年上半期には5Gモデムをプロセッサに統合し、Snapdragon 8シリーズだけではなくSnapdragon 7、Snapdragon 6とミドルハイレンジクラスのモデルにも5G環境を提供する予定だ。これにより、5G端末の価格が引き下げられ、各国の5Gサービスの拡大と合わせることで5Gの普及を一気に広めようとQualcommは考えている。
今回のプレゼンテーションでは5Gモデムを「Modem-RF Solutions」として紹介。つまりモデムだけではなくアンテナ設計も重要であることが説明された。それは4Gまでの世代では利用されなかった高い周波数、ミリ波を5Gは使うからだ。Qualcommはミリ波に対応したアンテナモジュール「QTM525」を開発し、スマートフォンでミリ波を利用できる技術を確立した。
ミリ波はその特性から障害物に弱く、スマートフォンで利用する場合は建物の影やスマートフォンのアンテナ部分を手で覆うと感度が下がってしまう。そのため、基地局側では端末に向けて電波を飛ばすビームフォーミング技術が実用化される一方、端末側では感度の高いアンテナが求められる。プレゼンテーションの後にはこのQTM525を端末の3か所に搭載し、障害物からの影響を最小限に押さえるデモも行われた。
ところで、5Gの特性を生かすにはコアネットワークに4Gを使うNSAではなく、コアも5GネットワークとなるSAへのマイグレーションが必要となる。現時点ではまずは5Gを拡張するために、しばらくはNSAによる5Gエリアと、低い周波数帯を使った4Gエリアが混在する状況が続くだろう。Dynamic Spectrum SharingやFDD方式の導入により、徐々にSAへ移行されることになりそうだ。
5Gが目指すものは、あらゆるものがインテリジェントに接続するスマートな社会の構築だ。スマートフォンの進化だけではなく、IoTや交通、スマートシティーなど、5Gは4G時代までのネットワーク社会を大きく変えるものになるのである。
Qualcomm本社では、イベントに合わせ、最新技術のデモンストレーションが行われた。その様子を写真で紹介する。
(取材協力:クアルコムジャパン)
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