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インタビュー
» 2019年11月26日 06時00分 公開

モバイル決済の裏側を聞く:なぜPayPayが1位に? コード決済の未来は? J.D.パワーの満足度調査から見えたもの (1/2)

J.D.パワーが2019年9月に実施したコード決済の満足度調査では、1位がPayPayとなった。コード決済で、ユーザーは何を重視しているのか。各事業者は「決済の先」のビジネスとして、どんなものを見据えているのだろうか。J.D.Power Japan 常務執行役員の梅澤希一氏に話を聞いた。

[房野麻子,ITmedia]

 J.D.パワーは2019年9月中旬に、同社として初めて「QRコード・バーコード決済(以下、コード決済)サービス顧客満足度調査」の結果を発表した。結果はPayPayが1位、その後に、メルペイ、LINE Pay、d払い、楽天ペイ、au Payと続く。

 なぜJ.D.パワーはコード決済の満足度調査を行ったのか、また、どのように調査したのかを、J.D.Power Japan 常務執行役員 Global Business Intelligence部門長の梅澤希一氏に聞いた。この調査を行ったことにより、コード決済が浸透し、ユーザーに支持され続けるためのポイントも見えてきたという。

J.D.パワー J.D.Power Japan 常務執行役員の梅澤希一氏

消費者に対して選ぶ基準を提示するのがミッション

 コード決済が2018年頃から盛り上がってきているが、業界の全体像は見えにくい。ユーザーも、どの決済サービスを選んで使っていいのか分からない。それが調査を行う理由になったという。

 「各プレーヤーとも自社サービスのユーザーを手探りで集めて、PDCAサイクル(※)を速く回そうと一生懸命やっていますが、他社を含めた全体像は把握できていないのが、この業界の特徴です。誰が見ても1番という業界を調べても意味がない。どれを選んでいいか分からない、何を基準に選べばいいのだろうかというときに、消費者に対して選ぶ基準やものさしを提示するのがJ.D.パワーのミッションです。それが今回の調査をやった理由でもあります」

※PDCAサイクル……業務を継続的に改善すること。「PDCA」は、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもの

 その結果として出てきた上記6社が、現時点のコード決済のオススメ企業ということになる。6位までと7位以下とでは、少し差があるという。

J.D.パワー J.D.パワーの「QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査」

 この調査では、コード決済を利用した3000人のユーザーに調査している。3000人を決める前に、まずは全体でどれくらいのコード決済利用者がいるかを調べるため15万人にヒアリング。それをベースに上位6ブランドを選抜した。業界のトレンドを明らかにするために、どれくらいのサンプルが必要かを見極め、3000サンプルで主要6ブランドを取り上げることになった。サンプル数の多さは主要事業者の関係者からも高評価だったそうだ。

 3000人のうちの男女比や年齢の比率は公表していないが、若干男性が多いという。「キャンペーンの場所が、男性利用者が多いコンビニなどだった影響」と梅澤氏は説明していた。

 調査は7月に行った。調査するユーザーには、直近3カ月間のサービス利用に対して評価してもらっている。総合評価を10段階で評価してもらった後、個別の評価も聞いていく。例えば、「利用できる店舗・Webサイト」の調査では、ユーザーに自分の行動を思い出してもらい、その上で利用できる店舗やサイトを評価してもらう。他の項目も同様に評価して、最後に全体を評価してもらう。

コード決済でユーザーは何を重視しているのか

 採点においては、J.D.パワーの独自色でもあるのだが「満足度構造」を出していることが大きな特徴だ。

 コード決済の顧客満足度の測定にあたっては、「キャンペーン/ポイントサービス」「決済手続き/管理」「アプリのアカウント設定」「利用できる店舗・Webサイト」「セキュリティ/不正利用防止対策」の5つのファクターをJ.D.パワーが決め、調査の結果、ユーザーが各ファクターにどの程度ウェイトを置いているかを考慮して採点。総合満足度を1000点満点で測定している。

 「ユーザーが、どういうところにウェイトを置いているかを算出して点数に加えています。ファクターによって配点が異なるというイメージです。ただ、この配点はわれわれが勝手に決めているのではなくて、あくまでユーザーの回答をベースに決めています」

J.D.パワー コード決済の総合満足度を構成するファクター

 今回は「キャンペーン/ポイントサービス」「決済手続き/管理」の2つがそれぞれ26%で上位になっており、ユーザーはこの2つを重視していることが分かる。調査ではわずかな差で「キャンペーン/ポイントサービス」が最も重視されていたという。

 派手なキャンペーンを展開しているPayPayは、やはりそれが評価されて満足度1位になったということだ。なお、満足度構造は調査時期によってあまり変えないようにしているという。

J.D.パワー 「100億円キャンペーン」をはじめ、大規模なキャンペーンをきっかけにユーザーからの支持を集めている「PayPay」

 「通常、商品や顧客属性が劇的に変わることはあまりないので、データを作ってみて、そんなに差がなければ変えません。でもコード決済業界は黎明(れいめい)期なので、サービス内容が変わり、たぶん顧客層も変わっている。次回の調査では満足度構造が変わる可能性は高いと思っています」

 PayPayの1位は順当という印象だが、後発のメルペイが2位に付けていることは意外だ。

 「メルペイはメルカリで培ったものが生かされているところが多いのでは。ユーザーにとっての使いやすさが、『決済手続き/管理』などの高評価に反映されているのではないでしょうか」(梅澤氏)

J.D.パワー メルカリの使いやすさが「メルペイ」でも評価されているという

 1位から6位の間に点差はあるが、「互いに良いところはマネしながらやっていくので、短期間でキャッチアップされる可能性がある」という。また、実際に使う人が増えてきたときに「セキュリティが懸念点として出てくる」と梅澤氏は予想している。

 コード決済は、まだ使っていない人が多い。ただ、消費増税が始まった10月から、「お得」に敏感な主婦層が使うようになった可能性がある。そうなるとセキュリティなどを重視するようになり、評価が急に変わる可能性もある。

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