THK、NTTドコモ、シスコシステムズ(以下、シスコ)、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)が、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の正式受注を2019年12月18日に開始する。出荷は2020年1月末に開始する。
OMNIedgeでは、THKの専用センサーを機械部品に装着して、そこで取得したデータを解析することで、機械部品に異常がないかを予兆できる。データはシスコのエッジコンピューティングルーターとドコモのLTE回線を経由して、専用ソフトで解析する。THKはセンシングシステムや解析サービスを提供している。CTCはIoT基盤の構築や運用支援を行う。
料金は月額8000円(税別)からのStandardプランを提供し、センサー、アンプ、ケーブル、ルーター、SIMカードがセットで提供される。クラウドを使用することで、インフラや保守に関する費用を抑えられたという。まずはLMガイド(※)の破損や潤滑状態の確認に対応し、2020年夏にはボールねじの状態把握も可能になる予定。
製造業では労働力不足に加え、ベテラン職人の高齢化による技術継承が困難であることが課題に挙がっている。そんな中でTHKが着目したのが「メンテナンスの効率化」。OMNIedgeを導入することで、機械部品の状態を遠隔で簡単に把握できる。「IT技術者がいなくても、ルーターの電源を入れればデータの収集ができる」とNTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長の谷直樹氏は話す。
THK 取締役専務執行役員の寺町崇史氏は、閉域ネットワークで安全に運用できることに加え、既存の設備に導入でき、初期コストが発生しないことも特徴に挙げる。「IoTサービスを1から構築すると時間とお金の投資が必要になるが、初期コスト0ですぐに始められる」と同氏はアピールする。
2018年10月からOMNIedgeの無償トライアルを募集したところ、100社以上の企業から申し込みがあった。トライアルでは51社が導入し、そのうち37社と本格運用の商談が進んでいる。トライアルに申し込んだ企業からは「再現性のアルゴリズムに信頼性がある」「大掛かりな作業を避ける、効率的なフローを構築できた」というフィードバックがあったという。
ドコモの回線はLTEを用いているが、2020年春に商用サービスが始まる「5G」の採用も視野に入れている。谷氏は「5Gの大容量・高速、低遅延、多接続という特徴をうまく活用できるユースケースを見いだして、それに適応していくことは極めて重要。今回の仕組みはLTEを使ってクラウドまでデータを上げる形だが、対象製品のデータ量が増えると5Gが必要になるケースも増えてくると思う」と話す。
一方、今回活用しているLTE回線は工場とクラウドをつなぐもので、工場内のセンサーとアンプは有線で接続している。工場内の無線化について谷氏は「課題だ」という。「工場内で5Gがどこまで使えるのかについては、いろいろなパターンで実証実験を重ねている。検証結果を踏まえて導入したい」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.