約4万円で「CarPlay」を簡単に導入 ヘッドアップディスプレイ「HUD-2020」を使ってみた

» 2020年01月04日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 私事で恐縮だが、2019年夏に家族が車を購入し、ここ最近、週末は必ずと言っていいほど車を運転している。その際に欠かせないのがカーナビ。ペーパードライバーに毛の生えた程度の運転経験しかない筆者は、何となく道が分かるような場所でも不安なので、カーナビに頼り切っている。

 ただ、スマートフォンのナビに慣れた身としては、据え置きのカーナビだと使いにくいと思うところが多々ある。例えば目的地の設定。住所を入力したいけど、キーボードや音声は使えず、画面から1文字ずつ選ぶ方式なので面倒だ。フリーワードも絞り込むまでにけっこう時間がかかる。一度訪れたことのある場所なら履歴から簡単に設定できるが、初めて行く場所だと、ナビの設定をするだけで一苦労、ということも珍しくない。

 スマホのナビとは使い勝手が違うなぁ……と思っていた矢先、モジが販売している「ネオトーキョーHUD-2020 ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD-2020)」という製品をお借りして使う機会に恵まれたので、紹介したい。

ネオトーキョーHUD-2020 「ネオトーキョーHUD-2020 ヘッドアップディスプレイ」を試してみた

スマホを接続するだけで簡単にCarPlayやAndroid Autoが使える

 HUD-2020は、スマートフォンと接続して、Appleの「CarPlay」やAndroidの「Android Auto」が利用可能になる、ヘッドアップディスプレイ。ダッシュボードに設置して利用する。価格は3万9800円(税込み)で、ネオトーキョーのオンラインストアで販売している。CarPlayとAndroid Autoは車での使用を想定したUI(ユーザーインタフェース)を採用しており、スマホをホルダーなどに固定してそのままナビアプリを使うよりも、カーナビらしい使い勝手を提供してくれる。

 CarPlayやAndroid Autoに対応した車種なら、車にケーブル接続するだけで利用できるが、全ての車が対応しているわけではない。筆者はiPhoneをメインで使っているのでCarPlayを利用したいところだが、家の車は残念ながらCarPlayには対応していない。しかしHUD-2020があれば、手軽にCarPlayを使える環境を構築できるのだ。

 HUD-2020の台座にはUSB Type-C端子があり、ここからシガーソケットに接続すると、電力が供給される。側面のUSB端子からLightingケーブルをiPhoneに接続すると、iPhoneがCarPlayの状態に切り替わり、HUD-2020のディスプレイ(液晶)にCarPlayの画面が表示される。画面はHUD-2020の内側にあり、この画面をプロジェクターのようにアクリル製のスクリーンに投影することで、ドライバーは表示内容を見られるという仕組みだ。

ネオトーキョーHUD-2020 HUD-2020本体
ネオトーキョーHUD-2020 電源を入れると、内側のディスプレイが点灯し、アクリルのスクリーンに投影される(写真はネオトーキョーのWebサイトから引用)
ネオトーキョーHUD-2020 3.5mmイヤフォンジャックと、電源用のUSB Type-C端子
ネオトーキョーHUD-2020 スマートフォンと接続するために使うUSB端子
ネオトーキョーHUD-2020 シガーソケットから電源を供給する
ネオトーキョーHUD-2020 iPhoneと接続するためにLightningケーブルを挿す
ネオトーキョーHUD-2020 CarPlayのホーム画面。使用できるアプリのみが表示される。CarPlayはiOSに内蔵されている機能なので、使用するのに別途設定をする必要はない
ネオトーキョーHUD-2020 ダッシュボードに固定するための基盤の裏側には「ナノサクション」という素材が使われている。シリコンラバーに微細な吸盤を設けており、粘着剤は使っていないため剥がしやすく、粘着力もキープするという。水で洗うことも可能だ

プライバシーに配慮した設計

 スクリーンはドライバーの視界にオーバーレイ表示される。スクリーンは透明なので大きく視界を遮られることはなく、ダッシュボードに設置するのでカーナビに比べて視線をほぼ動かさずに見られる。視認性が気になるところだが、昼間と夜間どちらも試したところ、問題なく見られた。これは、本体内蔵の光量センサーが自動で明るさを調節してくれるためだという。

ネオトーキョーHUD-2020 スクリーンはオーバーレイ表示され、視線をほぼ動かさずに地図を確認できるので、便利かつ安全だ(画像はネオトーキョーのWebサイトから引用)
ネオトーキョーHUD-2020 夜間でも視認性は問題なかった

 HUD-2020のもう1つの特徴は、スクリーンを凸面鏡構造にしたことで、視野角が狭くなり、同乗者から投影内容が見えないこと。スマートフォンの画面を表示しっぱなしにしておくと、着信や通知などの情報もダダ漏れになってしまうが、HUD-2020の画面はドライバーしか見えないので、プライバシーに配慮した設計といえる。

リモコンや音声操作に対応

 アプリ選択やカーソル移動などの操作には、付属のリモコンを使う。リモコンはステアリングにバンドを使って取り付けられる。リモコンの音声ボタンを押せば、SiriやGoogle アシスタントを使った音声操作も可能だ。「〜に行きたい」と言うだけで、簡単に目的地までのルートをセットしてくれる。

ネオトーキョーHUD-2020 付属のリモコンを使ってCarPlayやSiriの操作ができる

 ただ、音声での目的地設定に対応しているのは、現状はApple純正のマップのみ。CarPlayでは純正マップの他に、Google マップやYahoo!カーナビも利用でるので、それらを使ったナビをしたければ、あらかじめアプリで目的地を設定しておけばいい。

 筆者が普段使っているGoogle マップで目的地を設定し、HUD-2020にiPhoneを接続してからCarPlay上でGoogle マップを立ち上げたところ、その目的地がセットされた状態で案内がスタートした。カーナビで面倒な目的地設定の手間が省けるだけでなく、自分が普段使っているナビアプリでそのまま案内してもらえるのはありがたい。

ネオトーキョーHUD-2020 運転する前に、Google マップで目的地をあらかじめ検索しておく
ネオトーキョーHUD-2020 iPhoneをHUD-2020につないでCarPlayを使い始めてGoogle マップを起動すると、先に検索した目的地が既にセットされている
ネオトーキョーHUD-2020 音楽再生も可能。Apple Musicも利用できる

スマホは有線接続のみ、音楽はFMトランスミッターで聞ける

 iPhoneは有線接続しかできずケーブルにつなぎっぱなしなので、置き場所には気を遣うかもしれない。また、筆者が使うケーブルが悪かったのか、iPhoneに少し触れただけで画面の表示が不安定になることもあった。Bluetoothなどの無線接続にも対応してほしいところが、モジの担当者によると、Bluetoothだと有線に比べて遅延が発生しやすいという。操作中のiPhoneは常に充電されているので、有線のメリットもある。iPhoneが安定する置き場所さえ確保できれば、メリットの方が大きいだろう。

 FMトランスミッターにも対応しており、任意に設定した周波数帯に合わせれば、FMラジオからiPhoneの音楽を再生できる。もちろん「○○(アーティスト名)の曲を聴きたい」など、音声を使った操作にも対応している。


 CarPlayやAndroid Autoに対応したヘッドアップディスプレイは、ありそうでなかった製品だ。約4万円とそれなりのお値段だが、CarPlay対応ナビを別途購入しようとすると、10万円を超えることも多い。機能面を考えると、お値打ち感のある製品といえる。

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