5Gが創出する新ビジネス

「変なホテル」の仕掛け人、ハウステンボス富田直美CTOが5Gに期待することDOCOMO Open House 2020

» 2020年01月24日 14時48分 公開
[井上晃ITmedia]

 1月23日に開催された「DOCOMO Open House 2020」にて、事業家の富田直美氏が登壇。ハウステンボス取締役CTO、かつhapi-robo st(ハピロボ)代表取締役として、「5GやAI、IoTがもたらす未来」と題し、同氏の考えを語った。

 富田氏は、同講演の中でデジタル変革の源流について紹介。MITのメディアラボ創始者であるネグロポンテ教授の著書「Being Digital」について触れ、1995年に「Bits & atoms」という概念が生まれたと説明した。5Gが登場・成熟することで、この概念が完成に近くだろうと語る。

 例えば富田氏は、過去に遠隔手術の支援システムを作ったことがあるが、当時は残念ながら遠隔の手術はできなかったという。最大の問題は、500msの遅延があったこと。そのため、5Gによる低遅延の通信環境が普及することで、実現可能な事業が増えることに期待を寄せた。

富田直美 ハウステンボス取締役CTOの富田直美氏

 H.I.Sの出資を受けるHapi-robo stでは、2019年10月にパーソナルロボット「temi(テミ)」を発売した。同講演中にも、事務所に設置したtemiを操作し、照明のオンとオフを切り替えたり、台所の映像を確認したりするデモンストレーションを披露。「スマートスピーカーなどよりも親しみやすく、将来的に、こうした遠隔操作によって人々がより幸せになれるきっかけになるだろう」と自信を見せた。

 同氏は「テレ・ワーク」という言葉を避け、「テレ・ライフ」という表現を選びたいと話す。その上で、「遠隔で会議をするだけでなく、出張先から家族を見守るような使い方ができる」と説明した。

富田直美 パーソナルロボット「temi」の使用イメージ
富田直美 実際に富田氏が事務所の「temi」を遠隔で操作している様子

 また、ラジコンに精通する自身の経歴を踏まえ、ドローンの可能性にも言及。打ち上げ花火の中を撮影した映像や、3次元の座標とイルミネーションをコントロールして花火のようなアートを実現したIntelの取り組みなどを紹介した。遠隔地からドローンを飛ばすような可能性についても期待を述べた。

富田直美 ドローンで撮影した花火内部の映像を紹介

 これらの事例を踏まえ、同氏は「道具と同じように、時も買えるようになる」と5Gの可能性について話した。その点で、遠隔でのコミュニケーションや、火薬を使わないアートの在り方などは、環境にもよいと強調。5Gをうまく使うことで、環境問題に対する取り組みになると意見を述べた。

 富田氏は、「5Gはあくまでもテクノロジーであり、技術と人間の幸せについて、どう考えるが重要」と説く。講演の終盤には、「EGOLOGY、ECONOMY、ECOLOGYの3つを常に考えて5Gを使ってほしい。情報が多くなっただけではしょうがなく、知恵と知識を付けてほしい」とも述べた。

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