KDDIに聞く「Galaxy Z Flip」投入の狙い 「普及モデルだけだと面白くない」(1/2 ページ)

» 2020年02月12日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 KDDIは、サムスン電子が2月11日(現地時間)に米カリフォルニア州サンフランシスコで発表した、縦折り型のフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Flip」を日本で導入することを明かした。同モデルは、4Gスマートフォンながら「au UNLIMITED WORLD」を体感できる端末と位置付けられる。発売は2月下旬を予定。これに先立ち、2月18日から予約の受付を開始する。

Galaxy Z Flip KDDIは、Galaxy Z Flipを導入することを発表した。写真はインタビューに応じたKDDIの雨宮常務

 閉じるとスリムなスマートフォン、閉じると大画面のタブレットになった初代フォルダブルスマートフォンの「Galaxy Fold」とは異なり、Galaxy Z Flipはどちらかと言うと、発想がフィーチャーフォンに近い。閉じたときに正方形に近い形になり、洋服のポケットにもすっきり収まる。一方で、本体を半分だけ開いた状態で立てかけても利用できるため、机の上などに置いたまま撮影できるのはGalaxy Z Flipならではの新しい提案だ。本体を簡単に固定できるため、ナイトモードなどに設定したときでも、手ブレを心配する必要なく撮影できる。

Galaxy Z Flip
Galaxy Z Flip
Galaxy Z Flip Galaxy Z Flipは、Galaxy Foldとは異なり、縦に折りたたむことが可能。写真の端末はau版

 フォルダブルスマートフォン第2弾の投入合わせ、販路も拡大する。Galaxy Foldは直営店のauショップや、ごく一部の家電量販店で限定販売の形を取っていたが、Galaxy Z Flipはこれを全au取扱店やau Online Shopに拡大。サムスン電子のショールームである「Galaxy Harajuku」での販売も行う。

 では、KDDIがGalaxy Z Flipを発売する狙いはどこにあるのか。Samsungの発表会に訪れた、KDDIの取締役 執行役員常務 パーソナル事業本部 副事業本部長兼コンシューマ事業企画本部長の雨宮俊武氏と、パーソナル事業本部コンシューマ事業企画本部 プロダクト企画部長の木下祐介氏が、報道陣からの質問に答えた。

「Galaxy Fold」は非常に好評だった

―― 最初に、Galaxy Z Flipを導入した狙いを教えてください。3月には5Gスマートフォンも発売されると思いますが、なぜ、今だったのでしょうか。

雨宮氏 au UNLIMITED WORLDの世界をどう実現するかということで、昨年(2019年)10月にはGalaxy Foldも発売しましたが、非常に好評でした。満足度も非常に高かったのですが、一方で、本体が大きかったこともあり、男性比率も高かった。女性にも受け入れられる、新しい感覚のスマートフォンを扱いたいと思っていました。単なる板状の携帯電話、スマートフォンから脱却して、新しい世界を作っていきたいと考えています。

 もちろん、5Gはau UNLIMITED WORLDを表現する1つのツールですが、それだけではありません。もともと、モバイルサービスの世界は、ネットワークやデバイス、サービスで表現されてきたものです。ネットワーク的にはこれからしっかりと5Gをやっていきますが、デバイスはデバイスとして、新しい感覚のものを出していきたい。サービスもそうです。

Galaxy Z Flip au UNLIMITED WORLDを表現したかったと語る雨宮常務

―― どのような点に新しさを感じたのかを、もう少し掘り下げていただけますか。

雨宮氏 置いたまま2画面で使えて、ハンズフリーでも写真が撮れるところは、今までない使い方だと思います。いろいろなことが自由になるというのがau UNLIMITED WORLDのコンセプトの1つで、UNLIMITEDには既成概念から一歩踏み出すという意味も込められています。今回で言えば、「スマートフォン=板状の端末」から脱却します。折りたためることによって、もしかしたらわれわれが想像していなかったような使い方が出てくるかもしれない。これに合わせたアプリも出てくると思います。

 単に形状が変わったことが新しいのではなく、それによって、使い方やコミュニケーションが変わるかもしれない。既成概念や既存の使い方から一歩踏み出せるということは、丁寧に説明していきたいと思います。

Galaxy Z Flip 机などに置いた状態のまま、ハンズフリーで撮影ができる

いいものが出たら、いち早くお届けしたい

―― 電気通信事業法の改正を受け、市場が全体的にコンサバになっています。そういった中で、なぜGalaxy Z Flipを扱ったのでしょうか。

雨宮氏 やはり普及モデルだけだと、面白くない世界になってしまいます。未来を感じられる、楽しいと感じられるようなことは、常に表現していきたいですね。ただし、価格の問題もあるので、例えばGalaxy Foldのような端末をメインで販売するかというと難しいところですが、取り扱うことはわれわれのミッションだと考えています。

―― 2月に新製品を発表し、2月に発売するというのは、例年のスケジュールを考えると異例といえると思います。今後は、徐々に商戦期のような考え方が崩れていくのでしょうか。

雨宮氏 サムスンさんのグローバルでの発表があり、発売日は必ずしもわれわれだけで決められたわけではありません。確かに、あまりないタイミングであることは確かですが、いいものが出たら、いち早くお届けしたいという思いはあります。Galaxy Z Flipは新しいコンセプトなので、他のいろいろな端末と一緒にやるようなものでもありません。戦略的にタイミングを見ていくものもあれば、今回のようにできるだけ早くご案内していくものもあります。今後については、ケースバイケースで判断していきます。

木下氏 バランスを取りながら、ですね。日本だと、どうしても端末の投入が(グローバルと比べて)遅れてしまうことがありましたが、その状況も徐々に解決されつつあります。

Galaxy Z Flip バランスを取りながら、先進性のある端末を導入していきたいとする木下氏
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