東日本電信電話(NTT東日本)と西日本電信電話(NTT西日本)は4月1日から、上下最大約10Gbps(理論値)通信に対応する光ブロードバンドサービス「フレッツ 光クロス」(以下「光クロス」)の提供を開始します。各種割り引き前の月額料金は6300円(ISP料金は別途)です。
光クロスは、FVNO(仮想固定通信事業者)が両社から回線を借りる「光コラボレーションモデル」にも対応しており、NTTドコモなど一部のFVNOが、光クロスに相当するサービスの提供を発表しています。
しかし、光クロスを巡っては、「ひかり電話」(VoIPを用いた固定電話)を利用できないことなど、「フレッツ 光ネクスト」(以下「光ネクスト」)の増速とは異なる「条件」がどうしても引っかかります。
そこで、光クロスにまつわる気になることをNTT東日本とNTT西日本に質問してみました。新規、あるいは既存の光ネクスト(とそれをベースとする光コラボサービス)からの乗り換えで光クロスの契約を検討している人の参考になれば幸いです。
記事の作成に当たり、NTT東日本の広報室とNTT西日本の広報室に同一内容の質問を行いました。回答の内容が両社で同じ場合は、回答者を「NTT東西」としてまとめて記載しています。表現は、分かりやすくなるように体裁を整えています。
工事費などの価格は、全て税別です。
―― 光ネクストの戸建て住宅向けサービス(ファミリータイプ)からの乗り換えは可能ですか。
NTT東日本 お客さまからのお申込に基づき、サービスタイプを変更できます。なお、変更に当たっては工事費が必要となります。
NTT西日本 品目変更はできません。いったん既存の回線を廃止した上で、クロス回線を新設していただく必要があります。
―― 光ネクスト回線がすでにある場合の工事費はどうなりますか。
NTT東日本 サービスタイプを変更した場合、光回線終端装置(ONU)の交換が必要なため、派遣工事対応となります。標準の工事費は、屋内配線工事が不要な場合は7600円、必要な場合は1万8000円となります。現時点では、工事費に関するキャンペーンは予定していません。
NTT西日本 回線の新設工事が必要です。標準の工事費は1万8000円ですが、12月31日までの申し込み分について、工事費を割り引くキャンペーンを実施します。詳しくはWebサイトを確認してください。
―― 光ネクストの屋内配線は流用できますか。
NTT東西 流用できる場合もありますが、設備状況にもよるので一概にはいえません。
―― 光クロスのサービス仕様を見る限り、「ファミリー」「マンション(集合住宅向け)」という区分が見当たりません。集合住宅向けサービス(プラン)の設定はないのでしょうか。
NTT東日本 集合住宅向けサービスはございません。光クロスは、戸建てとマンションを問わず、同一の配線方式、同一の料金プランで提供することにいたしました。
NTT西日本 光クロスでは、光ネクストにおける「ファミリー」相当のメニューのみ提供いたします。
―― 今後、集合住宅に特化したサービスを提供する予定もないのでしょうか。
NTT東西 お客さまの要望や市場動向等を考慮し、検討していきます。
―― 「集合住宅だけれど、どうしても光クロスを引きたい!」という人もいると思います。集合住宅でも光クロスは利用できるのでしょうか。
NTT東西 集合住宅でも提供できる場合はありますが、建物や周辺設備の状況にもよるので、一概にはいえません。
―― 光ネクストの集合住宅向けサービスから光クロスに移行する場合、工事費はどのようになりますか。
NTT東日本 戸建て住宅でのケースと同様で、工事費は屋内配線工事が不要な場合は7800円、必要な場合は1万8000円となります。
NTT西日本 戸建て住宅でのケースと同様で、いったん既存の回線を廃止した上で、クロス回線を新設していただく必要があります。新設工事費についても戸建て住宅向けと同様にかかりますが、12月31日までの申し込み分について、工事費を割り引くキャンペーンを実施します。詳しくはWebサイトを確認してください。
―― 光ネクストなどで利用していた「光コンセント」(光回線用のコンセント)やONUは流用できないのでしょうか。
NTT東西 ONUは流用できませんので交換が必須です。光コンセントについては、設備状況によっては流用できます。
―― 光クロスでは、月額500円でWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)と10Gbpsの有線LAN(Ehternet)に対応するルーターを借りられます。このルーターについて、有線LANポートの仕様について記載がないので教えてください。
NTT東西 WAN側(ONUと接続する側)は1ポートで、100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-T/5GBASE-T/10GBASE-Tに対応しています。
LAN側(ローカル機器と接続する側)は4ポートあり、1ポートのみ100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-T/5GBASE-T/10GBASE-T対応です。残りのポートは、100BASE-TX/1000BASE-T対応となります。
―― 現時点において、光クロスは「ひかり電話」に対応していません。光ネクスト回線からの乗り換えを検討するユーザーにとって、乗り換えへの障壁になり得ると思うのですが、なぜ光クロスではひかり電話を使えないのでしょうか。
NTT東西 光クロスのサービスを早期に提供することを目指した結果、サービス開始時点ではひかり電話を利用できない形となりました。そうなった理由については、回答を差し控えさせていただきます。
―― 今後、光クロスユーザー向けにひかり電話を提供する予定はないのですか。
NTT東西 お客さまの要望や市場動向などを考慮し、検討してまいります。
―― 光クロスに対応するISP(ネット接続サービス)は、光ネクストと同じと考えて良いでしょうか。
NTT東西 ISPによって対応状況は異なります。申し込み開始日(NTT東日本は3月16日予定、NTT西日本は4月1日予定)以降に、詳しい情報を光クロスの公式サイトに掲載する予定ですので、ご確認ください。
―― 当初は「IPoE(IP over Ethernet)方式」での接続に対応するそうですが、「PPPoE(PPP over Ethernet)方式」での接続はいつ頃の対応になりそうですか。
NTT東西 準備が整い次第、提供を開始します。具体的な日時については回答を差し控えます。
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