また、ファーウェイによると、端末移行ツールの「Phone Clone」を使うことで、旧端末のアプリの一部をMate 30 Pro 5Gで利用できるという。試しに、AppGalleryで提供されていない「PayPay」や「スマートニュース」をPhone Cloneで移植してみたが、アプリはきちんと起動することができた。GMSが提供するAPIに依存しない、一部のアプリはHMSのMate 30 Pro 5Gでも動作するという。こうしたアプリは、開発者側が登録さえすれば、すぐにでもAppGalleryに登録できそうだ。
ただ、この方法は一般のユーザーにとって、少々ハードルが高い。対象も、過去にAndroidスマートフォンを所有していたユーザーに限定される。iPhoneやフィーチャーフォンからの乗り換える際や、初めてケータイを持つ際には使えない、いわば裏技だ。正攻法として、ファーウェイ自身でもっとアプリを開拓していく必要がある。
この裏技を使って利用できないアプリの中には、いわゆるキラーアプリも存在する。代表格は「LINE」。国内の月間アクティブユーザー数が8000万を超えるアプリなだけに、ファーウェイとしても、ぜひAppGalleryおよびHMSのエコシステムに取り込みたいところだろう。Twitterも、ブラウザ経由では利用できるが、公式アプリはAppGalleryには存在しない。
筆者の利用頻度が高いところでは、国内の銀行系のアプリが一切ないため、ワンタイムパスワードを発行できないといった問題も残る。先に挙げたように、移植をすればPayPayは利用できそうだが、QRコード系の決済アプリも公式には非対応。日常生活に欠かせないアプリがないため、メインのスマートフォンとして利用するのはためらってしまうところだ。あくまで「現時点での」というただし書きがつき、発売までにさらにアプリが増える可能性はあるが、GMSを搭載したAndroidにキャッチアップするには、まだまだ時間がかかりそうな印象を受けた。現状だと、キャリアも採用に二の足を踏みそうだ。
とはいえ、ファーウェイはHMSやAppGalleryに固執しているわけではない。最優先の方針としているのはGMSの採用。HMSやAppGalleryは、米国の制裁で端末の供給を途絶えさせないための「プランB」ともいえる代替案だ。米国の制裁が解除されたり、Googleとの取引の許可が下りたりすれば、GMS搭載のAndroidに切り替わる可能性もある。AppGalleryのアプリが充実するのが先か、GMSが復活するのが先かは読み切れないところだが、今後の動向からも目が離せない。
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