世界を変える5G

なぜ「ミドルレンジ5G」はない? なぜ「容量無制限」はキャンペーン? エリア狭すぎない?――「docomo 5G」記者会見の質疑応答まとめ(3/3 ページ)

» 2020年03月19日 19時00分 公開
[井上翔ITmedia]
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5Gエリアの展開について

―― 当初の5Gエリアは、Sub-6(3.7GHz/4.5GHz帯)やミリ波(28GHz帯)といった、比較的高い周波数帯を利用しています。現在、総務省において(LTEや3Gで利用している)既存周波数帯を5Gに転用することについて議論が進んでいますが、既存周波数帯をどうするのか、現時点でまとまっている考えがあれば教えてください。

中南氏 既存周波数の5G NR化(※1)は、総務省で議論が進んでいる所ですが、私たちとしては、お客さまにとって魅力のある大容量サービスを提供できるように、まずは5G用に割り当てられた新たな周波数帯を使って、積極的に(基地局を)打っていこうと考えています。

 (5Gにおいて)既存の周波数帯を使っても、それだけでは速度は向上しません。既存の(LTEや3Gの)通信サービスとの兼ね合いを考慮しつつ、いつ頃から(既存周波数帯での)エリアを展開するのか、検討は進めていきたいと思っています。まずは、新周波数帯で1万、2万と(基地局を)打っていき、(5G通信を)必要とするお客さまにサービスを届けることに努めます。

(※1)5G NR(New Radio):5Gの商用通信規格

―― オンライン発表会で言及のあった5G基地局の設置計画の前倒しは、現在割り当てられている周波数帯における話という認識で良いでしょうか。

中南氏 その通りです。総務省に提出した開設計画ベースで、新たに割り当てられた周波数帯で打つ基地局の話ということになります。

―― 5Gのユースケースとして、欧米では宅内利用が注目されています。今回は、それを想定した端末やサービスが見当たりませんでしたが、5Gの宅内利用についてはどう考えていますか。

太口氏 5G商用サービスのローンチに当たっては、まずはモバイルユースを前提とする立場を取っています。

 確かに、海外、特に米国ではFWA(Fixed Wireless Access:無線を使った固定通信)から5Gサービスがスタートしています。モバイルを含めて、各国の通信事情はさまざまです。

 日本の場合、すでに光インターネットがある程度普及している中で、FWA的な使い方にどれほどのニーズがあるのか見定めないといけません。お客さまに価値があるものなのかどうかを含めて、社内で検討はしています。

 私たちは(光インターネットサービスとして)「ドコモ光」を提供していますが、その単なる代替にとどまらず、個人はもちろん法人も含めて、固定通信的な使い方のニーズがあるのかどうか、引き続き注視していきます。

Verizon 米国では、FWAサービスから5Gサービスを開始している(写真の米Verizon MobileのFWAルーターは、厳密には「5Gの要素技術を使ったFWAルーター」)

―― 先行して発表したソフトバンクもそうなのですが、5G通信ができるエリアが思った以上に狭いように感じます。最終的には、現在のLTEと同じ感覚で使えるようになるものなのでしょうか。目安となる時期を教えてもらえると幸いです。

中南氏 開始時には、150施設で500局という規模で5Gサービスを提供します。少し少ないのではないか、という印象を持たれるかもしれません。

 現在割り当てられている周波数帯における開設計画は、2年弱前倒しで達成する予定です。(開設計画に基づく置局で)「LTEにエリア面で追いつくか?」と言われると、1〜2万局規模でお客さまがメリットを体感しやすい場所に置局することになりますので、「(具体的な目安を示して)今と同じになります!」とは言えない状況です。ただ、政令指定都市などの主要なスポットでは使えるようになります

 私たちが最も重要視しているのは、基盤展開率(※2)です。地方創生も含めて、全国の津々浦々まで5Gをすぐに提供できる基盤作りが大切です。人口が減少し、過疎化が進んでいる地帯を含めて、確実に展開していきたいと考えています。

(※2)5G用周波数帯を新規割り当てする際に使われた、エリアカバーに関する新たな考え方。全国を10km四方のメッシュで区切り(計4464個)、最低でも1つの高度特定基地局が存在するメッシュの比率を示す。なお、NTTドコモの開設計画では、2024年度末までに基盤展開率を「97.0%(4331メッシュ)」にするとしているが、今回の発表回でその前倒しが宣言された

前倒し ドコモは開設計画に定める置局を前倒して実施する方針を表明

―― エリア整備において、「ここのスポットをエリア化してほしい」「ここの企業(事業所)をエリア化してほしい」といったように、ローカル5G(※3)に近い考え方での置局は考えているのでしょうか。

(※3)建物内や特定地域などのエリアで提供する自営の5Gネットワークのこと

中南氏 エリアの展開には2つの軸があると考えています。

 1つは、ユーザーが密集して(5Gのメリットを)体感しやすい場所に積極的に打つことです。もう1つは、「キャリー5G」(可搬型の5G基地局)のような法人ソリューションと合わせて展開することです。

有田氏 少し補足します。法人分野では、数年前から地方創生という文脈での取り組みを強化している所です。

 そういう意味では、FOMAからLTEへのエリア化と、LTEから5Gへのエリア化では、少し考え方の違う部分もあります。法人ユースで「ここで使いたい」という要望があった場合は、「そこをエリア化しようか」と、ネットワーク部門と連携しながら考えていくことをセットにしながら、(5Gの)ニーズを開拓していくことは考えられます。

 「では法人が一番か?」というと、そこはバランスもあるので一概には言えない面もありますが、「トラフィックが多いからここに(基地局を)打とう」ということだけではなく、「法人のニーズがあるから、ここに打とう」という考え方が加わるということです。

尾上氏 コンシューマーも同じような考え方です。従来はどちらかというと「宅内(フェムトセルやリピーター)」あるいは「面的なエリア化」に注力する傾向にありましたが、アリーナやスタジアムなど(個人が集まるような場所)にしっかりと5Gを打っていただく取り組みをしています。

 私たちは「Tリーグ」(卓球のプロリーグ)のトップパートナーになりますが、5Gを使って、AI(人工知能)を使った取り組みや、マルチアングル視聴などを提供したいと思っています。

 エリア展開の優先度は、ネットワークとの兼ね合いもありますが、必ずしも面的なものだけではなく、スポットでしっかり使えることにも注力したいと考えています。

キャリー5G 「一時的な5Gエリア化をしたい」というニーズに応えるための「キャリー5G」

―― 他社のように5Gフェムトセルの設置は考えているのでしょうか。

中南氏 まだ考えてはいませんが、(エリア化の手法については)総合的に検討は進めています。

中南氏 ネットワークに関する質疑に応じる中南氏
有田氏 法人ユースについて語る有田氏
尾上氏 コンシューマー部門の取り組みについて語る尾上氏

―― 3GからLTEへの切り替え時を振り返ると、「話題のスマホ」(iPhone)をきっかけとしてエリア競争が進んだように思います。今回、5Gへの切り替えでも、「話題のスマホ」をきっかけとしたエリア競争などが起こるとお考えでしょうか。

太口氏 競争がどのような面で出てくるのかはまだ分かりませんが、エリアも通信、サービスやソリューションの“価値”を体感していただく重要な要素となります。

 エリア競争という話が出てきましたが、私たちはその分野(エリア展開)においても優位性を確保したいと考えています。ただし、何がトリガーになるのか――スマホ(端末)なのか、サービスなのか、料金なのか――複数の要素が絡み合って競争は進むものなので、他社の動向や技術の進歩など、私たちの戦略を主体的に考えていく中で、適切な時期に適切なエリア拡大を図ったり、デバイスやサービスのラインアップを広げていければ、と思っています。

 エリアといえば、「スポット(地点)」という言葉が多くでてきています。私たちのサービスはスポットからスタートはしますが、オンライン発表会でも(吉澤和宏社長から)発言があったかと思いますが、2021年度後半からは面的な展開もしっかりと行っていきたいと考えています。「特定の場所に行かないと使えない」という状態は、早々に解消していきたいと思います。

太口氏 5Gに関する戦略を語る太口氏
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