スマートウォッチは数々のメーカーから出ていますが、中国では通信キャリアが自らのブランドで製品を出しています。China Mobile(中国移動)の「W10」はLTEモデムを搭載しつつも1098元(約1万8000円)と、比較的低価格で販売されています。
ディスプレイサイズは1.3型(360×360ピクセル)。プロセッサはSnapdragon 2100でLTEに対応しています。本体はIP68の防水・防塵(じん)に対応しており、活動量計としての機能は一通り搭載しています。メモリ4GB、ストレージ128GBはこのクラスの製品としては一般的でしょう。OSはAndroidベースのようですが、China Mobile独自開発のMobile OS 1.0を採用しています。
側面は竜頭の形をした選択ボタンや戻るボタンを配置。背面には心拍センサーを搭載しています。また反対側の側面の小さい穴をピンで押すとnanoSIMトレイが出てきます。eSIMではないので海外で販売することも十分可能でしょう。ちなみにChina Mobileはフランスのオレンジなどと提携しており、先方のキャリアブランドのスマートフォンが販売されています。
充電は専用のクレードルを背面に装着して行います。1回の充電で最大4日、通信機能を使った場合は2日程度利用できるとのこと。中国ではQRコードを画面に表示してモバイル決済にも利用できるため、スマートウォッチユーザーも広がっているようです。中国各地の地下鉄やバスはNFCによる非接触型乗車券から、今はQRコード改札が一般的になりました。「スマホで電車に乗る」のが当たり前ですが、中国では「腕時計で電車に乗る」のがこれから主流になりそうです。
しかしHuaweiなどスマートフォンメーカーも数多くのスマートウォッチを出す中で、China Mobileもこの市場に参入するというのは、それだけ市場が大きくなることに期待しているからなのでしょう。2019年のデータですが、中商産業研究院によると、中国のスマートウォッチ市場は毎年前年比1.5倍で伸びています。実店舗とオンラインに販路を持つ通信キャリアがスマートウォッチ市場に参入すれば、成功する可能性は高いわけです。
W10の実物も質感は悪くなく、ベルトの肌触りやボタンの押し具合、また本体が傷つきやすいかどうかなど実際に使ってみたいものです。
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