世界を変える5G

短縮開催となったドコモの株主総会 ワンセグ携帯、5G、接続料などで指摘

» 2020年06月16日 16時03分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが6月16日、第29回株主総会を開催した。今回も都内のホテルニューオータニで開催したが、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、感染防止策を実施した上での開催となった。ドコモは極力、インターネットまたは郵送による事前の議決権行使をして、当日は来場を遠慮するよう呼び掛けている。

 株主総会の様子はオンラインでライブ配信されたが、現地での感染予防の観点から、株主との質疑応答を中心に、例年より短い30分程度の開催となった。また吉澤和弘社長をはじめとした全ての役員が、マスクを着用していた。

吉澤和弘 吉澤和弘社長

 新型コロナウイルスの収支影響について吉澤氏は、「今後の拡大状況や収束時期により不透明と考えている。ローミング収入、金融決済取扱高の減少により減収はある。ネットワーク関連費用減の影響もあると想定している」とさまざまな影響を考慮しつつも「前年同水準以上の利益を目指している」とした。

 商用サービスが開始したばかりの5Gについて、現在は投資フェーズが続いているが、「2023年まで、総額1兆円の設備投資をコントロールしながら事業運営していき、3年を目安に単年黒字化を目指す」とした。

 株主からはワンセグ携帯に対するNHK受信料について意見が挙がった。「ワンセグ付きのケータイやスマートフォンで、NHK受信料が必要だという説明がなかった。今後、NHKのストリーミング放送が始まってからも受信契約が必要だと言ってくる人がいると思うが、こういう形では受信契約は要らないといった周知をしていかないと、同じようなトラブルが起きてしまう」という内容だ。

 これに対して丸山誠治副社長は「最高裁の判決では、ワンセグ搭載端末でも受信料の支払い義務があるとの判決が出ている。あくまでお客さまとNHKの間でお話だと認識している。直接のコメントは難しいが、店頭では、ワンセグ端末の購入の際に、支払い義務が生じるかと聞かれたら、NHKの受信窓口をご案内している」と回答。ネット配信については「受信料の徴収は具体的な制度が制御されていないため、PCやスマートフォンを持っているだけで受信料の支払い義務が生じるかは現時点では不明」とした。

丸山誠治 丸山誠治副社長

 他の株主からは、開始から1年足らずで終了となった通信サービス「NB-IoT」についての質問が出た。「コストをかけて開発をしたが、ユーザーがいなかったのは無駄だったと思う。開発についてどう意思決定がされたのか」(株主)

NB-IoT 2020年3月31日に終了となった、低消費電力のIoT向け通信サービス「NB-IoT」

 これについては中村寛取締役が回答。「IoTの世界はこれから大きく拡大していくと考えられる。幾つかの通信法式、省電力化を図る技術が並行して出てきた。どのような方式が主流になるかを踏まえながら、さまざまな可能性を追求してきた。NB-IoTは、残念ながら、利用状況、反応が少なかったので終了した。他の方式は続けているので、引き続きIoTサービスをご利用いただければと思う」とした。

中村寛 中村寛取締役

 5Gについては、法人パートナーがドコモを選ぶメリットについて質問が出た。これについては坪内恒治取締役が「3点ある」と回答。1つ目が営業体制。「約8000人の営業体制で、コールセンターも整備している。対面チャネルだけでなく非対面でも対応できる」と同氏。2つ目が技術力。「R&D部門と連携し、5G、IoT、AIといった先進技術を活用したソリューションを提供できる」ことを挙げる。3つ目がパートナー。「5Gオープンパートナープログラムでは、2019年度末時点で3400社が参加いただいている。地方創世セミナーなどを通じて、全国の自治体や企業とのつながりを生かした協業もできる」と自信を見せた。

坪内恒治 坪内恒治取締役

 株主総会らしく、「自社株買いは株主還元にならない、慎重に検討してほしい」との意見も出た。これについては廣門治取締役が「自己株買いによって株式の数を減らし、1株あたりの利益を向上させ、1株あたりの企業価値の向上につながる」とコメントした。

廣門治 廣門治取締役

 FOMA(3G)ユーザーだという株主からは「通信方式が変わって今の端末が使えなくなるのなら、早めにサポートしてほしい」との要望が挙がった。これについて辻上広志副社長が「長くサービスを利用している人に、これからもご愛顧いただくことが大事。お客さまのご利用実態も変わってくるので、料金プランを変えたり、料金プランに付帯するサービスを充実させたりしている。新しい世代の回線に移っていただくことも経営課題。『はじめてスマホ購入サポート』で、お手頃な価格で取り換えていただく施策も進めている。使い方が分からないという声もいただくので、全国でスマホ教室もやっている。スマートフォンへの移行、不安を払拭(ふっしょく)する取り組みも継続していきたい」と答えた。

辻上広志 辻上広志副社長
はじめてスマホ購入サポート 3Gからスマートフォンに乗り換えるユーザーに対して端末代金を割り引く「はじめてスマホ購入サポート」

 MVNO向けの接続料が、2020年度から将来原価方式によって算定されることを受け、3キャリアの2020年度〜2022年度の接続料が明らかになった。2019年度まではドコモが最安だったが、2020年度から3年間は、逆にドコモが最も高くなっている。株主は「ドコモ(回線)を使っていたMVNOが他社に行ってしまう可能性がある。ドコモが一番原価が高い、設備投資の効率が悪いことを示していると思う」と指摘。これに対して藤原道朗取締役は「MVNOに向けてはネットワークの広さと品質に加えて、サポート体制の充実にも取り組んでいる。総合的に評価いただいた上で、MVNOの方にも継続的にご利用いただいていると考えている。他社の算定については詳細が分からないので、コメントを控えたい」と述べた。

接続料 藤原道朗取締役
接続料 総務省の「モバイル接続料の適正性向上について(論点)」より。2020年度〜2022年度の接続料はドコモが最も高い

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