カメラ構成は先述の通り、超広角16mm、望遠70mm、標準(広角)24mmともにツァイスレンズを採用した1220万画素トリプルレンズカメラと、3D iToFセンサーを搭載する。なかでも、標準(広角)24mmカメラは1/1.7型大判センサーやデュアルフォトダイオードによる高速なAFを搭載。夜景も明るく撮影できる。また、本体側面のシャッターキーも引き続き搭載する。
望遠はXperia 1の52mmから70mmになり、より遠くの被写体を引き寄せて撮りやすくなった。52mmはカメラ好きにとっての標準画角なのでなくなるのは微妙だが、その代わりに物理的に近づきにくい遠くの被写体を撮りやすくなった。
今回、借用機はPhotography Proを試せないモデルだったのと、カメラは別記事で詳しく紹介しているので、ここでは基本機能と絵作りなどの注意点を記載しておく。
カメラの撮影傾向だが、Xperia 1 IIは実際の撮影シーンを極端には補正せず撮影する、デジタルカメラ専用機に近い絵作りのモデルだ。シーン認識や瞳認識、ドキュメント認識や、夜景撮影時に自動でかかるロングシャッターなどの機能もあるが、現実の光景をやや鮮やかに見せる程度の補正にとどまる。露出補正は基本に忠実で、ホワイトバランスの精度も高い。
だが、最近の人気ハイエンドスマホのカメラのように、HDRやAI、機械学習などを利用して、明暗差の激しいシーンや逆光、曇りで映えないシーンなどを、現実の風景とは懸け離れるが、人にとっては明るく鮮やかで理想的な“映える”写真へと大幅には補正してくれない。
分かりやすい例として、理想的な光線下の写真と、明暗差の激しいシーンを撮ってみた。理想的な光線下だと、全体的に明るく適度に鮮やか。理想的な発色で、青空などが不自然に強調されすぎることもない。
右の写真はやや日が落ち、光の反射や影で変に明暗差がついているシーンだ。これはこれで、肉眼の印象とそこまで変わらず撮影できている(ややアンダー気味)。だが、最近のHDRやAI、機械学習を活用したハイエンドや人気のスマホだと、青空はより明るくスッキリとした青になり、地上の被写体もやや明るくなり、左下の木々や影はやや明るく持ち上げられ、ある程度見栄えのする写真へ補正される。だが、Xperia 1 IIはそこまで器用な補正はしてくれない。
もし、近年の他社ハイエンドスマホから乗り換えた場合、明暗差の激しいむちゃなシーンにカメラを向けても、ある程度まとまった絵作りの写真を撮れないことに驚くかもしれない。思った通りの写真を撮りたいなら、メインの被写体をタップして露出調整を積極的に使っていきたい。
逆に、ベストな光線環境のシーンや狙ったシーンなら、Xperia 1 IIは下手な補正があまりかからず、しっとりとした写真を撮れることが多い。昔ながらのカメラ好きの方が理解しやすいカメラといえる。
そしてPhotography Proだが、こちらはソニーのデジタルカメラαシリーズに寄せた思想の、ある程度マニュアル操作で撮るカメラアプリとなっている。カメラ好きには便利だが、初心者がシャッターを押すと理想的な絵作りの写真を撮れる、補正ありきのカメラアプリではない。こういった本格的な写真撮影アプリを搭載するのなら、標準のカメラはもう少し一般受けする絵作りに振ってもいいのではいいのではと感じた。
逆に、写真の「Photography Pro」も映像の「Cinematography Pro」も、せっかく上位・業務製品のエッセンスに触れられるのが目的の撮影アプリなら、絞り(アイリス)や可変NDフィルター(減光量を変更できるフィルター)へ仮想的にでも対応するなど、ちゃんとした撮影体験ができる、使える機能にしてほしいところだ。
また、αユーザーにアピールするなら、遠隔操作アプリ「Imaging Edge Mobile」の操作性の改善が先だろう。Xperiaでα風に撮影できても、本物のαの遠隔撮影ではタッチAFができない、絞りやシャッター速度を思った値に変更しづらいUI(ユーザーインタフェース)では興ざめだ。ソニーとしての連携をアピールするなら、Appleのように、買ってうれしくなるような機器間の連携にも力を入れてほしい。
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