10月13日(米国太平洋夏時間)にAppleが発表した新型のiPhone 12シリーズ。ボディーを一新し、基本スペックも大きく底上げされた。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的でマスクを着用する人が世界的に増加傾向にある中、注目を集めていたのが新しいiPhoneの生体認証システムだ。
【訂正:10時】本文中で「Touch ID」とすべき部分の一部が「Face ID」となっていました。おわびして訂正致します
昨今のiPhoneが採用してきた顔認証「Face ID」は、ユーザーの顔に赤外線を照射し、それを赤外線(IR)カメラで撮影して本人確認を行う。顔全体の特徴点をスキャンする仕組みであるため、顔の多くが隠れてしまうマスクをしていると正しく認証できないとう問題を抱えている。
「特徴点があれば認証できる」という観点でいえば、鼻をマスクから出した状態で「もう1つの容姿」を登録すれば認証に通る確率は高まる。ただ、マスクの効果を最大限発揮する観点から鼻もしっかり覆っておくことは重要だ。
そんな中、再び脚光を浴びているのが、指紋認証「Touch ID」だ。4月に発表された「iPhone SE(第2世代)」は、iPhoneの新モデルとしては久しぶりにTouch IDを搭載した。
発表時期が新型コロナウイルスが猛威を振るっていた頃合いと重なっていたこともあり、「マスクをする時代に最適」という声も少なからずあった。
Androidスマートフォンでは、静電容量式または超音波式の画面内指紋センサーを搭載するモデルが幾つか登場している。そのこともあり、今回発表される新型iPhoneでもその採用を期待する声は見受けられた。
しかし、ふたを開けてみれば、新たに登場するiPhone 12シリーズは従来通り「Face ID」のみを搭載している。マスク着用時の“不便さ”を解消するソリューションとしての指紋センサーは搭載されなかった。
今回のスペシャルイベントのプレゼンテーションでは、Face IDに関する言及は一切なかった。特徴をまとめたプレゼンシートには記載されていたものの、セキュリティを重視するAppleとしては扱いが“小さめ”だったようにも思える。
Face IDの扱いが小さかったのは、それが“当たり前”のものになったからなのか、マスク問題に対するソリューションを提供できなかったことの裏返しなのか……。答えはどこにあろうのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.