3眼のインカメラを搭載 「Meitu V7」は今でも十分使えるセルフィー端末山根康宏の海外モバイル探訪記

» 2020年11月15日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 ここ数年、市場から撤退していったスマートフォンメーカーがいくつかあります。中国のMeitu(美図、メイトゥ)もその1社です。

Meitu V7 セルフィースマートフォン専業のMeitu、その最後のモデル「V7」

 インカメラと美顔モードを備えたセルフィー端末を専業としていた同社は、中国他社の相次ぐ新製品投入の波に飲み込まれてしまい、2018年11月にXiaomiに端末事業譲渡を決定。その後、2019年7月にXiaomiからMeituブランドを冠したスマートフォン「Xiaomi CC9 Meitu Edition」が出たものの、1機種で終わってしまいました。

Meitu V7 XiaomiはMeituブランドのスマートフォンを1機種だけ出していた

 Meituが自ら手掛けた最後のスマートフォン「V7」は、まだ中国の一部ショップで販売されています。Meituのセルフィー性能は今でも群を抜く美しい仕上げを誇るといわれているからです。Meituの美顔加工は顔の形を変えるのではなく、肌の質感をそのままに皮膚を美しく表現してくれるのです。最近のスマートフォンはボケを効かせたポートレート撮影が流行ですが、セルフィーに関してはMeituに追い付いた製品はないと言い切れます。

 とはいえ、V7が発売されたのは2018年12月、今から2年近くも前のこと。しかもV7の発売はXiaomiへの事業譲渡の直後でした。そのため、V7はあまり市場には出回らず、販売数も伸びなかったと記憶しています。しかし今でも根強いMeitu端末ファンに支えらえれ、中国で最後の在庫が販売されているのです。

Meitu V7 他にはない六角形デザインが特徴

 Meituのスマートフォンと言えば、六角形のデザインが特徴でした。V7は背面に本革を使用した高級仕上げなモデル。Meituにはベーシックモデルの「M」シリーズ、最新技術を搭載する「T」シリーズ、そしてラグジュアリーな高級モデル「V」シリーズと3つのラインがありました。V7はプロセッサにSnapdragon 845を採用しているので、今でも十分実用機として使うことができます。なお前モデル「T9」はSnapdragon 660を採用しましたが、それ以前の過去モデルは全てMediaTekのプロセッサを搭載していました。V7はMeituで唯一のハイスペック端末でもあったのです。

 背面は革仕上げ。革を止めるビスが表現されているのも高級感を出しています。カメラは1200万画素+800万画素のデュアルです。

Meitu V7 革仕上げの背面。2つ搭載

 ディスプレイは6.21型。下部にはホームボタンを備えますが、その左右にはLEDライトが埋め込まれています。充電中はここが光るのがちょっとしたポイントです。

Meitu V7 ホームボタン左右にライトが埋め込まれている

 さて、Meituのスマートフォンが今でもすごいと思えるのがインカメラ。何と3眼です。1200万画素+2000万画素の超広角+800万画素の深度測定。インカメラでもワイドな撮影ができるだけではなく、ボケの効いたポートレートを写せるのです。また、メインの1200万画素カメラの夜間モード撮影では、フラッシュを光らせたかのような明るい顔写真を撮ることも可能です。

Meitu V7 フロント側にトリプルカメラを搭載、ボケも効く

 そしてLEDライトは2つを搭載。完全にセルフィーにフォーカスしたスマートフォンであることが分かるでしょう。

Meitu V7 左右に2つのLEDライトを搭載、セルフィーのためだけに生まれたといえる端末だ

 さて、このV7はITジャーナリストでセルフィーにも詳しい富永彩乃氏(@ayanotdo)が中国から取り寄せたもの。肌の色を整え、髪の毛やまつ毛の1本1本までつぶさず写してくれるのはさすがMeituです。

Meitu V7 V7でのセルフィー。他社のインカメラも追い付けない仕上がり

 今でもMeituのスマートフォンを使っている中国の女性も多いと聞きます。筆者が確認したところでは、中国でこのV7の実機を取り扱っているのは1つの販売店のみで入手は困難。中古もあまり出回っていないため、幻の製品といえるのでしょう。

 なお、V7の自撮りの実力などは、富永氏が開封とセルフィーの様子の動画をYouTubeにアップしているので興味ある方は下記からご覧ください。

Meitu V7 開封動画:Ayano Tominaga/ITジャーナリスト富永彩乃

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