1650円という料金は、「トライアルの中でアンケートを取り、それを元に受け入られる金額を判断した」(岩城氏)。金額だけでなく、「時間課金がいいのか、1アプリごとがいいのか、複数のトライアルをした」(同)と、課金形態にもさまざまな選択肢があったという。料金は「代理店に対価としてお支払いする」(蓑手氏)といい、キャリアショップの新たな収益源になる可能性もある。
こうした設定のサポートは、本来、ドコモショップの業務には含まれていなかった。スマートフォンや回線は提供しているものの、サードパーティーのアプリは、ドコモとは無関係だからだ。ただ、現場ではその線引きが明確に引かれていたかというと、必ずしもそうではない。店舗やスタッフの中には、「お客さまに応じて、(設定を)やることはあった」(同)というのも事実だ。アプリ設定サポートというメニューを設ければ、ここに一定の線を引くことができる。
蓑手氏は「店舗の困りごとを救済するというのが目的ではなく、あくまでお客さまサービス向上の一環」というものの、本来は断らざるをえなかったアプリの設定を、正式なサービスとして提供できるようになるのは、ショップスタッフの心理的な負荷軽減にもつながるはずだ。実際、ショップには「これまでは信頼関係の中でやっていたものを、サービスとして提供できるということで歓迎されている」(同)という。ショップの運営にもコストがかかっている以上、業務の範囲を超えた無償サポートは、回りまわって通信料にも跳ね返ってくる。公平性の観点では、アプリ設定サポートを利用しないユーザーにとっても、歓迎できるサービスといえる。
一方で、見方を変えると、アプリ事業者がやるべきサポートを、ドコモやドコモショップが肩代わりしている構図にもなっている。その対価を支払うことになるのは、ユーザーだ。ビジネスモデルをどう組み立てるのかにもよるが、アプリ事業者に対してドコモが対価を請求し、ユーザーのサポート料は無料にするという方法も考えられる。
実際、ドコモとメルカリが共同で実施している「メルカリ教室」では、両社が費用を出し合っているという。蓑手氏は「アプリ設定サポートで導入するかどうかは未定だが、今後の検討課題。まずは店頭でサービスを提供するというシンプルなところから始めた」と語る。ユーザーのリアルな接点を持ちたいアプリ事業者にとって、全国津々浦々にあるドコモショップは魅力的なだけに、次のステップの挑戦にも期待したい。
ドコモショップでLINEやポケモンGOなどの設定を有料サポート 1アプリ1650円(税込み)
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