ギフトカードの「QUOカード」をデジタル化し、スマホ画面に表示されたバーコードをお店のレジで読み取ってもらうことで使える「QUOカードPay」。数値は公表していないが、2020年、QUOカードとQUOカードPayを合わせて過去最高の発行額を達成したという。2019年3月にサービスを開始してから、どのようにサービスを拡大してきたのか、クオカード デジタルイノベーションラボ マーケティンググループの大谷優氏にうかがった。
QUOカードPayはスマホで使えるギフトカードだ。スマホに表示したバーコードをお店のレジで読み取ってもらい、支払いに利用できる。その支払いスタイルからコード決済の1つだと思われるかもしれないが、コンセプトは大きく異なる。
商品券のように個人が購入して贈ることも当然できるが、多くは企業が行うキャンペーンのプレゼントやお礼、サービス障害のおわびなどで採用されている。スマホのコード決済のように銀行口座やクレジットカードを登録してチャージするわけではない。基本的に、QUOカードPayを贈る側はメールなどでURLを送り、受け取った人はWebサイトにアクセスして、券面やバーコードを表示して利用するという流れだ。一部の特殊な場合を除き、現金と併用することもできる。
アプリも用意されており、アカウントを取得すると、複数のQUOカードPay残高をまとめて使うことができる。キャンペーンでもらえる少額のバリューをためて使うのに便利で、当初の想定よりアプリの利用は多いという。アプリの利用にはメールアドレスの登録が必要だが、Webブラウザで利用する場合に個人情報は不要で、すぐに使えるのも特徴だ。
発行額面は50円から1円単位で最大10万円までで、有効期限は3年間。最低購入価格は、以前は5000円だったが、個人の利用が増えてきていることと、企業がトライアルで使いやすいように1000円に下げた。発行手数料として発行額面の6%がクオカードの収益になる。
贈る金額のレンジは、個人だと1000円、2000円が中心で、多くて1万円程度。企業がキャンペーンで贈る場合は、1人当たり1000円以下が多い。高額品を購入した場合のノベルティとして提供する場合は、数千円から1万円になるという。
QUOカードPayはクオカードのECサイトから購入する。購入すると、QUOカードPayのコードを表示するURLデータをCSVファイルでダウンロードできる。それを贈りたい相手にメールなどで送信するが、企業キャンペーンで膨大な数のメールを手作業で配信するのが大変だという声を受け、登録したアドレスにメールを送信するサービスを追加した。この配信代行サービスに関しては追加料金不要で提供している。
また、個人での購入も増加していることから、スマホからQUOカードPayを購入できるようにECサイトをアップデートした。スマホでバリューコードのURLを送る場合は、LINEなどのメッセージアプリを起動し、それに貼り付けて送れるようになっている。
大谷氏によると、コロナ禍の影響で企業キャンペーンは減った感覚があるそうだが、「違うところでQUOカード/QUOカードPayが採用されていて、会社としては業績が伸びている」という。「違うところ」の1つが自治体だ。
例えば、医療従事者やホテル従業員に支援金を贈呈する際に、贈呈方法としてQUOカード/QUOカードPayを採用するケースが多いという。現金を送る場合は銀行口座を指定して振り込みしなくてはならないが、QUOカードなら郵送でき、QUOカードPayならメールで送れる。コストを抑えられる点も魅力だろう。
「使う際にハードルが低いことに加え、QUOカードブランドはよく知られているので、自治体が提供する場合にも安心感があるのではないでしょうか」(大谷氏)
QUOカード/QUOカードPayはメッセージを付けられることも好評だ。QUOカードPayは、サイトにアクセスすると券面画像やメッセージ欄が表示される。
この他、企業の内定者を集めた懇親会が、コロナ禍でビデオ会議システムを使ったものに切り替わったところもある。飲食を提供できないので、ある企業では人事担当者がQUOカードPayを内定者に配り、飲食物を買って用意してもらうという使い方もあったそうだ。
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