子どもが持ってうれしくなるモノを Hameeがキッズ向けスマホを開発する理由(2/3 ページ)

» 2021年01月26日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

初スマホとしてカスタマイズに苦労、IIJのチップSIMを採用

―― Hameeとして、スマートフォンそのものを作るのは初めてだったと思いますが、大変ではなかったでしょうか。

藤澤氏 苦労しています。Hamee自身、こういうものを作るのが初めてだったからです。私は2年前にHameeにジョインしました。Hamic POCKETの前に、「Hamic BEAR」(音声メッセージをやりとりできるロボット)を出しましたが、そのときは、外部で受託し、開発をしていた側でした。そのあと、Hamic POCKETを出す話があり、Hameeにジョインしています。開発は、私の方でハードウェア的なところをやっています。2カ月に1回程度、中国の深センに入って、現地エンジニアと状況確認をしながら作ってきました。

 先ほどお話ししたように、30年ぐらいずっとモノ作りをやっていましたが、以前いた会社では自社開発、自社製造で携帯電話やPHSを作っていました。携帯電話を中国で作るのは初めてです。中国でのモノ作りは経験がありますが、携帯電話は取らなければいけない認証も多く、ちゃんとやらないと後で怒られてしまう。周波数選択なども、注意してやらなければいけないところで、考慮すべきことがたくさんありました。

 深センはレファレンスビジネスなので、そのままだと深掘りができません。その点は、こちらでエンジニアをそろえて指示していく必要があります。チップが決まると、チップベンダーのAndroidがあり、レファレンス回路があり、ハードウェア自体は簡単に作れてしまうのですが、そこから先をカスタマイズしようとすると、なかなか難しくなります。

―― ハードもそうですが、アプリもカスタマイズが相当入っているように見えます。

藤澤氏 Hamicのアプリに関しては、全て社内で作っています。ベースには、先ほどお話ししたHamic BEARのアプリがありました。ただし、Hamic BEARは何かを表示できるわけではないですし、テキストで送ったものを音声で返すだけです。ですから、そこをスタートに、時間をかけて機能や仕様の検討をして、広げていきました。この検討だけで3、4カ月の時間をかけています。

Hamic POCKET 通話やメッセージでの連絡が可能な「はみっく」アプリを用意

―― Hamic POCKETは、通信もセットになった仕様です。回線はIIJと伺いましたが、これはSIMカードがセットになっているのでしょうか。

藤澤氏 実は、SIMカードではなく、チップSIMが内蔵されています。スマートフォンを作っているわけではないとお話ししましたが、サービスを思い通りに拡大するには、デバイスとサービスを完全に連携させたかった。そのためには、交換できるSIMカードのような仕組みではなく、最初から端末内に実装しているチップSIMがいいと思いました。回線は、IIJのタイプI(フルMVNO回線)です。

 これがいいのは、動作確認のための使用にデータ料がかからず、SIMカードを先買いしても、コストが発生しないところです。また、振動やホコリにも強い。子どもは端末の扱いが乱暴なので(笑)。

「Go Editionって何?」というところからスタート

―― OSにはAndroid 9 Go Editionを採用しています。もともと、Go Editionは新興国向けで、国内にはほとんど端末も出回っていません。これを採用するのもなかなか大変だったのではないでしょうか。

藤澤氏 「Go Editionって何?」というところからスタートしました(笑)。やはり、情報が少ないので、「本当にこれでやっていいの」というところはありました。ただ、メモリサイズが大きくなると、それだけで数千円コストが上がってしまいます。安く、最低限使えるものということで、使えるアプリやプリインストールするアプリは絞っていきました。Hamicのサービスに必要なものや、子どもが楽しめる最低限のものは何なのかを、社内で議論して入れています。

 一番のメリットは、通信が貧弱でも使えるところです。やりとりするメッセージを少なくするようカスタマイズされていて、ネットワークへの接続も、必要なときにしかしません。結果として、使用するパケットも減り、コストも上がらなくなります。

河合氏 アプリとしては、YouTube Kidsなどが動きますし、動画も問題なく見られます。「ドラゴンクエストウォーク」や「Pokemon Go」などは動かないところもありますが、ゴリゴリ動作させるのでなければ、取りあえずは動きます。

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