LINEMO新料金プランにおけるメディア向けのラウンドテーブルでは寺尾氏からLINEMOで導入されたeSIMの難しさについて本音が語られた。
LINEMOでのeSIM申し込み割合は直近で2割程度、サービス開始当初はもっと高かったという。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年7月17日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
我々のようなSIMの申し込みや扱いに慣れている人であれば問題ないが、やはり初めての人からすれば、わからない言葉だらけで戸惑うようだ。LINEMOではサービス開始当初、「プロファイル」「SIMロック解除」「APN設定」「ネットワーク暗証番号」などに関して問い合わせが殺到。わかりやすい言葉に修正することで、NPSを向上させたという。
実際、NPSについては、物理SIMカードはワイモバイルの経験もあり、スコアは0に近い数字だったが、eSIMに関してはマイナス40近かったという。その後、アジャイルによる短期開発を繰り返し、400件以上の改善を行ってきたという。
LINEMOでは、サービス開始当初、物理SIMとeSIMを並列で記載していたが、かなりの人がeSIMを選んでしまったということで、「上級者向け」という扱いに変更された。また、ワイモバイルはウェブサイトの下の方にeSIMを置くことで、ユーザーが頑張って探さないと見つからないようにしたという。
eSIMを契約する上で、あまりに難しく途中で諦めてしまう人が多いのかと思いきや、現状では物理SIMと変わらない開通成功率になっているという。しかし、サービス開始当初は設定がうまくいかず、何回も申し込む人が殺到して、開通率が落ちていたという。
この点においては、物理SIMであれば、強制開通というか、開通した状態で送付してしまうが、eSIMの場合はタイマーがあり、一定時間、作業をしないと強制解約する仕組みになっているとのことだ。
eSIMのメリットでもあり、デメリットでもあるのが、システムと直接、リンクしてしまっている点だ。システムに直結しているため、申し込んでからすぐに使えるというメリットがある一方、eSIMはメンテナンスタイムが存在するシステムの関係上、21時までしか対応しないという欠点がある。
総務省の意向もあり、eSIMの導入が急がされた感がある。実際、キャリアから見れば、eSIMの導入は時期尚早ではなかったのか。
その点に対して寺尾氏は「僕はやりたかった。でも急いでやってはいけなかった。いま、オンラインの販売比率が上がっている。やはり、早く届けることには価値があるので、やりたかった。ただ、準備不足で、思っていた以上に申し込みがあり、バタバタしてしまった。全員がeSIMにすべきかは若干、疑問視はしている」と語る。
総務省がいうようにeSIMは乗り換え促進につながるものなのか。寺尾氏は「一定のニーズはある。とはいえ、無理すべきなのか。店頭でのサポートが必要な人もいる。もちろん、頻繁に乗り換える人にとっては楽になったのではないか」という。
eSIMはキャリアもユーザーももう少し、こなれるのに時間が必要と言えそうだ。
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