世界を変える5G

三木谷氏、楽天の通信プラットフォーム事業は「2022年には利益が出る」と自信

» 2021年08月05日 20時04分 公開
[田中聡ITmedia]

 楽天グループが8月5日、Open RANインフラに関わるプロダクトやサービスを集約した新たな事業組織「Rakuten Symphony(楽天シンフォニー)」を発表。日本、米国、シンガポール、インド、欧州、中東・アフリカで通信事業者や企業とともに、コスト効率の高い通信プラットフォームの提供を目指す。

 同社は8月5日にオンラインで緊急会見を開き、楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が意気込みを語った。

仮想化ネットワークは楽天モバイルの経験が生きる

 三木谷氏によると、Rakuten Symphonyのプロジェクトは2018年にスタートしたという。楽天グループが仮想化ネットワーク構想を掲げた当初は、「絵に描いた餅である、実現不可能であると多くの企業が批判した」と三木谷氏は振り返る。しかし2020年に商用サービスを開始した「楽天モバイル」で実際に導入し、「ここまでネットワークの仮想化に成功したことで、業界もこれが未来だと気付き始めた」と胸を張る。

Rakuten Symphony 楽天グループの三木谷浩史氏

 Rakuten Symphonyは、メンバーシップや決済プラットフォームを含む「インターネットとエコシステムのサービス」、サポートやマーケットプレースを含む「デジアルエクスペリエンス」、ネットワークやサービスにAIや自動化を用いた「インテリジェントオペレーション」、RAN、コア、エッジの「ネットワークファンクション」と、「統合クラウド」の5分野で構成される。仮想化ネットワークの構成要素をパッケージ化した「RCP(Rakuten Communications Platform)」もここに含まれる。一方、単にネットワークを提供するだけでなく、ECやコンテンツ、決済など多岐にわたるサービスを支援可能としている。

Rakuten Symphony 「Rakuten Symphony」の構成要素

 ネットワーク仮想化に関する楽天の強みは、「楽天モバイルのサービスを提供していることが大きい」と三木谷氏は言う。「われわれはエンド・ツー・エンドで、ほぼ自分たちが持っているソフトウェアで、足りないところは外部のソフトウェア会社と提携して提供している。仮想化は技術的にチャレンジングだが、ソフトウェアを常にアップデートして改善していく」

追加投資は低く、2022年には利益が出る

 Rakuten Symphonyへの投資コストについては、RCPを既に開発していたことから、「追加投資はそれほど大きなものではない」(三木谷氏)とのこと。「ソフトウェアを作るための投資が必要になっているだけ。増分コストは非常に低い」と同氏。利益については「非常に早い段階から利益が出る。今年(2021年)ではないかもしれないが、来年(2022年)からは利益が出ると考えている」(同氏)とした。

 三木谷氏はAmazonの収益化に触れ、「AmazonのECサービスとクラウドサービスは相関関係がある。最初はECで(収益を)上げて、今は大半がAWSから得ている」と話す。この流れは楽天モバイルにも当てはまり、「楽天モバイルで作ってきた技術をパッケージにして外部に提供できる」ことが強みだとした。

 三木谷氏はRakuten Symphonyの国内展開にも意欲を見せる。「(仮想化に関する)ソフトウェアは多くの通信事業者で使われているので、大きなチャンスがあると考えている。日本の競合他社にも適用できる」と同氏。

Rakuten Symphony 楽天グループが通信プラットフォーム事業を展開している地域

 「コストパフォーマンスは競合他社に比べて有利。フレキシビリティも競合を超えている。まずは通信業界でリーダーになりたい」としながら、Rakuten Symphonyは通信業界にとどまらず、「他の業界にも適用できる」と期待を寄せる。「段階的にやっていくが、単にプラットフォームをモバイル事業者に提供することを超えていきたい」

ドイツ通信事業者のネットワーク構築を支援

 あわせて、ドイツの通信事業者「1&1」に4Gと5Gの仮想化ネットワークを構築することも発表した。1&1にはRCPを採用し、コアネットワークも含めてエンド・ツー・エンドでネットワークを構築していく。

 1&1は現在MVNOとして通信サービスを提供しているが、楽天との協業により、第4のキャリアとして参入する。2021年に1&1がPoC(概念実証)を行い、商用化に向けた準備を進めていく。ただし具体的なサービス提供時期は未定。

Rakuten Symphony ドイツの通信事業者「1&1」に仮想化ネットワークを提供する

 1&1とのビジネス規模は公表していないが、三木谷氏は「健全で利益のあるビジネス。お客さん(コンシューマー)に対しても経済的なメリットが大きくなり、オペレーティングコストも効率化できる」と話す。「絵に描いた餅でもなく、日本だけでもなく、世界でも先進的な国に導入できてうれしく思う」と手応えを語った。

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