今日から始めるモバイル決済

手数料だけでは成り立たないスマホ決済 それでも各社が注力する理由とは?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2021年08月28日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

スマホ決済はキャッシュレスの主流になれるか? 手数料有料後が真のスタート

 PayPay登場以降、大規模なキャンペーン合戦や加盟店の急拡大で一気に伸びたスマホ決済だが、まだ解決しなければならない課題は残されている。例えば、PayPayはスマホ決済市場の中で3分の2程度と圧倒的に高いシェアを取っている一方で、同社が挙げたデータでも、まだクレジットカードや電子マネーに全体決済回数で及んでいない。市場規模で見てもそうで、クレジットカードの取扱高は2020年の実績で年間約63兆円。PayPayはおろか、スマホ決済全体でも、2020年のクレジットカードの10分の1以下の規模感で、“キャッシュレス決済の主流”になったとは言いがたい。

PayPay スマホ決済市場で高いシェアを持つPayPayだが、キャッシュレス全体と比較するとまだまだ割合は低い。逆の見方をすれば、ここに成長余地があるといえる

 手数料の有料化に伴い、赤字を垂れ流すフェーズは終わりを迎えつつあるが、ユーザーと加盟店の双方を増やす取り組みには、本腰を入れていく必要がありそうだ。確かに現金よりは手軽なスマホ決済だが、アプリの操作が必要になるため、非接触ICカードやおサイフケータイと比べるとユーザーにとっては手間が増える。クレジットカードを財布から取り出すよりは手軽かもしれないが、やはり利用を促進する仕組みがまだ十分ではない。一時的なキャンペーンだけに頼らない、送金やポイント運用、ミニアプリといった、アプリを開くからこそ使い勝手がよくなるサービスの開発は不可欠だ。

PayPay ミニアプリやポイント運用などの機能は充実してきたが、生活の起点になるポータル的なアプリになっているとは言いがたい。サービスのさらなる改善が必要だ

 また、手数料の有料化に伴い、加盟店が大量に離脱するような事態にはならないとみられるが、獲得のペースは緩やかになることが想定される。PayPayの導入するPayPayマイストアのような機能や、各社の決済サービスにひも付いたポイントがどこまで集客効果を見込めるのかが、今後の行方を左右しそうだ。送客効果が十分でないと、手数料を払う価値がないと見なされてしまいかねない。こうした取り組みをしっかり加盟店側に伝えていくための営業活動の重要性も、増すことになるだろう。

PayPay 有料化後は、ユーザーと店舗をどれだけ結び付けることができるかが問われる。その意味で、各社の実力が試されるのはこれからだ

 ユーザーの間で定着しつつあるスマホ決済だが、市場規模を見る限り、まだ発展途上のサービスだ。大規模な還元キャンペーンや無料の手数料でユーザーと加盟店を拡大してきたこれまでは、いろいろな意味でボーナスステージの段階だったといえる。PayPay、d払い、au PAYの手数料無料が終わった後の10月以降や、楽天ペイの無料キャンペーンが終わる2022年が、スマホ決済にとって真のスタートといえそうだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月29日 更新
  1. ティム・クックCEOが「もはや限界」と値上げに言及――すでにAndroidでは値上げラッシュが始まる (2026年06月28日)
  2. 「モラルが欠如している」──LINE安否確認で“悪ふざけ”、SNSで批判の的に (2026年06月26日)
  3. ダイソーで770円の「備えラジオ」は“備える”以上に”ノスタルジック”だった件 目的に徹したシンプルさが懐かしさを呼ぶ (2026年06月27日)
  4. スマホの「SIM組み合わせ」を3カ月で3回も変えた話 楽天モバイル→日本通信→Y!mobileからの移行先を思案中 (2026年06月29日)
  5. ソニー「aiboはやめません」──“次の開発”も明かす オーナーに「安心してください」と呼びかけ (2026年06月27日)
  6. NHKはなぜ「スクランブル化」しないのか? 「公共放送」という位置付けが足かせ? (2026年06月27日)
  7. 松屋の券売機が「思いのほか使いやすかった」 それでもネットで不評なのはなぜ? (2026年06月29日)
  8. ソニーaiboからの「撤退は勘弁して」──オーナーが不安視 同社「今後のお話」YouTubeで発信へ (2026年06月27日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. ソフトバンクの5G通信が速くなる「Fast Access」を試す 非対応回線と有意な差も、見えてきた“次の課題” (2026年06月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー