NTTドコモは8月27日、据え置き型のワイヤレスインターネットサービス「home 5G」の提供を開始した。オンラインショップでは予約が殺到し、出荷に一部遅延が発生している。
この記事では、同サービスの専用端末であるシャープ製ホームルーター「home 5G HR01」の概要を改めて紹介する。契約(購入)を検討している人の参考になれば幸いだ。
HR01は、ドコモの5G/Xi(LTE)回線を介してインターネットに接続される。固定インターネットサービスである「ドコモ光」とは異なり、5G/Xiエリアであれば契約したその日から、工事することなく利用できる気軽さが特徴だ。
5G/Xiネットワークにおける理論上の最大通信速度は以下の通りとなる。
この速度はあくまでも“理論値”で、周囲の環境やネットワークの混雑状況によって大きく速度は変わる。それでも、多くの環境では下り通信速度はADSLやVDSLによるインターネット接続サービスより高速になると思われる。
一方、ローカル機器側における理論上の最高通信速度は以下の通りとなる。
「あれ、5G/Xiネットワーク側よりも遅くない?」と思うかもしれないが、先述の通り5G/Xiネットワークの通信速度は、周囲の環境やネットワークの混雑状況によって大きく変わる。多数の通信機器を同時に利用する環境でもない限り、これだけのスペックがあれば十分だろう。
ただし、有線LANポートは1基しか備えない。TVか据え置き型ゲーム機とつなぐと、それだけで埋まってしまう。有線LANでつなぐ機器を2台以上使いたい場合は、有線LANポートを増設する「ハブ」か、Wi-Fiを中継して有線LANに変換する「通信コンバーター」を利用する必要がある。ただし、仕様上ハブを使ったLANポートの増設は想定されていない。
本体背面には、有線LANポートや電源端子の他、「WPSボタン」「リブート(再起動)ボタン」を備えている。Wi-Fiを搭載するWindows PCなど、WPS(Wi-Fi Protected Setup)に対応しているWi-Fi機器であれば、WPSボタンを押せばセットアップの手順を簡素化できる。ルーターの調子が悪くなった際は、リブートボタンを押せば一発で再起動可能だ。
本体の正面上部には、各種状態を示すLEDインジケーターを3つ備えている。
左側にあるLEDは、通信モードを示す。青く光ると5Gネットワークに、緑色に光るとXiネットワークに接続していることを示す。通信中は点滅するようになっている。
中央にあるのは5G/LTEの電波強度を示す。青く光ると「強」、黄色く光ると「中」、赤く光ると「弱」、ゆっくりめに赤く点滅すると「圏外」となる。家の中で青く光る場所を探してみよう。
右側にあるLEDは、ルーターの状態を示す。通常は青色で点灯する。ソフトウェア更新がある場合、または管理画面で設定した最大通信容量を超過した場合はライトが黄色になる。位置を正常に捕捉できない場合は赤色で点灯する。
現在のソフトウェアには、これらのランプをオン/オフする設定がない。しかも意外と明るく光るため、暗い場所ではランプが非常に目立つ。減灯、あるいは消灯する設定があるといいのだが……。
本体の底面には、nanoSIMカードスロット、USB Type-C端子とリセットスイッチがある。
この端末が対応するnanoSIMカードは、現行の5G端末と同じ「ドコモnanoUIMカード Ver.6」だ。ただし、home 5G用の電話番号が書き込まれたものはhome 5G端末でのみ通信できる。他のnanoSIMカードを入れた場合の挙動は、諸事情で試すことができなかった。
USB Type-C端子は、通常は利用しない。取扱説明書にも「ご利用いただけません」と明記されている。リセットスイッチは、工場出荷時の状態に戻すために利用するものだ。
底面には、初期接続に必要な情報も印字されている。初期設定のまま使うと、悪意のある第三者にネットワークを使われてしまう恐れがあるため、買ったらすぐに設定を変更しよう。
HR01の各種設定は、Webブラウザで行う。HR01に接続した機器のWebブラウザにルーターの底面に記載されているURLか、ルーターのローカル(LAN)側のIPアドレスを入力すれば簡単にアクセスできる。現時点では専用アプリは用意されていない。
管理画面は、ログインしなくても通信容量や機器の接続状況を確認できる。管理者パスワードでログインすると、Wi-FiのSSID(アクセスポイントの名称)やセキュリティ設定の変更、管理者パスワードの変更などを行える。初期の管理者パスワードは本体底面に印字されているので、買ったらすぐに変更したい。
「home 5Gって、どのくらい快適なの?」という人もいるだろう。そこで、筆者の自宅で3日間、普段使っている光インターネットサービス(ドコモ光 1ギガ タイプA、戸建て、ISPは@nifty)の代わりに使ってみた。
結論からいうと、上り(送信)通信を多用しない限りは十分に快適である。残念ながら、筆者の自宅周辺は5Gエリアではなく(歩いて数分でエリアがある)、Xiも周辺エリアより理論上の速度が低い(なぜなのか……)。それでも、日中の下り通信は実測で最大90Mbps程度は確保できた。これだけの速度が出れば、高解像度の動画もスムーズに見られる。
上り通信は実測で6〜8Mbps程度だったが、1人でWeb会議をこなす程度なら十分である。もう少し速いエリアで使えば、複数人が同時にWeb会議をやっても問題ないはずだ。
自宅がドコモのスマホ回線でそこそこ快適な通信ができる環境にあるなら、home 5GはADSL/VDSL回線の代替として“アリ”である。現在ドコモの回線を持っていないというのであれば、ドコモのスマホを持っている知人などに頼んでテストした上で導入するといいだろう。
ただ、以下のいずれかに当てはまる人は、home 5Gの導入より先に、高速な固定インターネットサービスの導入を検討した方がよい。
なお、今回はスケジュールの都合で「数日以内で数十GBの通信」「大容量データの頻繁なやりとり」といった“極端な”通信テストを実施できなかった。別の機会に試してみようと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.