NTTドコモが6月9日、エリア情報のWebサイトに「5Gエリアの品質向上にむけた取組みについて」という文章を掲載した。この文章では、SNSなどで見受けられる「5Gエリアでうまく通信ができないことがある」という事象に対して、6月末までに対応を進める方針を示している。
ドコモが改善を表明したのは、「5Gエリアの端等の電波品質の悪い場所において、まれに通信速度の低下とそれに伴うアプリケーションやブラウザのエラー」だ。その背景を簡単に説明する。
現在の5Gネットワークは、LTE(4G)ネットワークと機器の一部を共有する「NSA(ノンスタンドアロン)」という構成になっており、制御信号のやりとりをLTEネットワークで行っている。5Gへのアンカー(下支え)となっていることから、5G基地局への接続を下支えするLTE通信は「アンカーバンド」と呼ばれている。
国内キャリアが販売する5G端末では、実際に5G基地局が近隣にあるかどうかに関わらず、アンカーバンドを検出すると「5G」というピクト(アイコン)を表示する。5G表示となった後、5G基地局と通信できれば「5G」というピクトを継続表示するが、5G基地局と通信できずにアンカーバンドとの通信が続いた場合は「4G」や「4G+」というピクトに変わる仕組みとなっている。
一方、5G基地局と通信できた場合は5Gピクトは継続して表示される。5G基地局と通信できなくなると、通常であればLTE基地局との通信を試みる。これでLTE基地局との通信に移行すると、ピクトが「4G」「4G+」に変化する。
しかし、同社からのお知らせにもある通り、5Gエリアの端部や電波強度の弱い場所において通信が切り替わらず、通信速度が極端に遅くなったり通信自体ができなくなったりする事象が発生している。
2020年7月からドコモの5Gサービスを契約して使っている筆者も、この事象に幾度となく遭遇している。5Gエリアが広がるに従って、この事象が起こりやすくなった印象もある。この事象がどの5G端末でも発生しうることも確認している。
先述の通り、この事象は5GネットワークからLTEネットワークへのつなぎ替えがうまく行われないことが主因である。簡単にいえば、通信品質が低下しても5G基地局との通信を続けようとすることで「パケ詰まり」が発生してしまうということだ。
そこでドコモは、6月末までにネットワーク機器の設定を変更し、5Gエリアにおける通信品質が低下した場合に、LTEネットワークへのつなぎ替えをより迅速に行うようにする。並行して、5G基地局を1万局まで拡大し、通信品質自体の改善も進める。
5Gエリアの端部など、5G通信品質が低い場所で5G端末を使う場合は、5G通信を“無効”とすることで状況が改善する。端末によって細かい設定方法は異なるが、以下の手順で5G通信を無効にできる。
【Androidスマートフォン】
【iPhone 12シリーズ】
5G通信の品質が改善したら、上記の設定においてAndroidスマホなら「5G/4G/3G/GSM」に、iPhone 12シリーズなら「5G」または「5Gオート」に変更することを忘れないようにしたい。
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