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» 2021年10月25日 06時00分 公開

楽天モバイル矢澤副社長、KDDIローミングの終了は「顧客獲得の面でもプラスになる」

楽天モバイルが、10月1日から23都道府県でKDDIのローミングサービスを終了する。ローミングを打ち切ることで楽天モバイルにとってはコスト面でのメリットが大きくなる。さらに、ローミングを提供しているエリアよりも楽天モバイルのみのエリアの方が楽天モバイルへの申し込み率が高いという。

[田中聡,ITmedia]

 楽天モバイルが、10月1日から23都道府県でKDDIのローミングサービスを終了する。これまで終了したところと合わせ、合計39都道府県でローミングが終了する。現時点でローミングを提供しているのは、岩手県、山形県、山梨県、和歌山県、島根県、高知県、長崎県、鹿児島県に限られる。

楽天モバイル 2021年10月時点で39都道府県にてKDDIローミングを終了する

楽天エリアならデータ容量を気にせず使い放題

 楽天モバイルがサービスを開始した2020年4月9日時点では、人口カバー率は23.4%だったが、2021年9月30日時点では94.3%まで拡大。各地域でも、楽天モバイルのエリアが十分に広がったことからローミングを終了するわけだが、楽天モバイルの矢澤俊介副社長は、「ユーザーとっても意味がある」と話す。ほとんどのエリアで楽天とKDDIの電波がオーバーラップしている中、KDDIが採用している800MHz帯の方が楽天モバイルの1.7GHz帯より電波が強いため、一部の端末はオーバーラップしていると自動でKDDIの電波をつかんでしまうという。

楽天モバイル 現時点での人口カバー率は94.3%まで広がった

 楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」では、楽天エリアでは月額3278円(税込み)で使い放題としているが、KDDIのローミングは5GBまでしか使えず、5GBを超えると通信速度が1Mbpsに制限されてしまう。「楽天ならで使い放題なのに。ストレスフリーな環境に早くしてほしいという声をいただいていた」と矢澤氏は振り返る。

楽天モバイル 楽天回線に切り替わることで、月間5GBの制約を気にせずに使い放題となる

ローミング終了でつながりにくくなった場合は?

 一方、ローミングが終了したことで逆につながりにくくなってしまった場合、4営業日以内に、MVNOのSIMを差したスマートフォンを貸し出すといった対応を行っているという。また、楽天モバイルが運用している1.7GHz帯の電波は800MHz帯に比べて地下に届きにくいため、小型基地局の「Rakuten Casa」を屋内の飲食店や小売店などに設置したり、移動基地局を一時的に出動させたりすることがある。Rakuten Casaは固定回線に接続できるため、「半径30〜50mくらいは電波改善ができる」(矢澤氏)という。光回線が敷かれていない屋内や地下では、外付けドナーアンテナとレピーター(中継器)を用いて電波を増強させる準備をしており、2022年以降に順次展開する予定とのこと。

楽天モバイル ローミング終了後に使いにくくなった場合はMVNOのSIMをセットしたスマートフォンを貸し出している
楽天モバイル 東名阪の店舗を中心にRakuten Casaを1万5000台設置している
楽天モバイル 固定回線のない店舗にはレピーターを設置する計画

 10月のローミング終了はこれまでの「20倍以上の規模」(矢澤氏)だが、VOC(ユーザーの声)の数は前回のローミング終了時よりも少ないという。「1週目〜2週目がピークだったが、今週(第4週)は落ち着いてきている」ことから、楽天モバイルのエリアが着実に広がっていることがうかがえる。

ローミング終了は顧客獲得でもプラスになる

 ローミングを打ち切ることで、KDDIにローミング費用を支払う必要がなくなるため、楽天モバイルにとってはコスト面でも大きなメリットになる。さらに、「楽天+ローミング」のエリアよりも「楽天のみ」のエリアの方が、楽天モバイルへの申し込み率が高く、「顧客獲得の面でもプラスになっていく」と矢澤氏は期待を寄せる。楽天モバイル回線ならデータ通信が使い放題になるため、ユーザーにとっても魅力的に映るというわけだ。

 ローミングの終了で顧客獲得に本腰を入れる体制も整う。通常ならユーザーが増えれば売り上げも増えるが、ローミングエリアでユーザーが増えると費用も増え、収益に結びつかなくなる。しかしローミングを終了することで、「すぐ(費用が)0円になるわけではないが、今年(2021年)から来年(2022年)にかけてローミング費用が段階的に下がっていくことが見えているので、顧客獲得もアクセルを踏むことになる」(矢澤氏)

 具体的な施策について「広告宣伝も力を入れていける」と矢澤氏。さらに、「新プランを含めたアグレッシブな施策は、マーケットの状況を見ながらいろいろなことを検討している」と述べた。

楽天モバイル 楽天モバイルの矢澤俊介副社長

スペースモバイル計画で面積カバー100%を目指す

 人口カバー率96%の達成は2022年2月〜3月まで持ち越されたが、「2023年後半には他社のレベルに追い付く」(矢澤氏)という。その際にカギを握るのが、人工衛星から電波を飛ばす「スペースモバイル計画」だ。

 これが成功すれば、「人口カバーではなく面積カバーが100%になるので、そのタイミングでは他社以上になる」と矢澤氏は期待を寄せる。ただし、人工衛星のアンテナから発する電波は必ずしも「強いわけではない」(同氏)ため、人が移動するエリアは地上局で対応していく。「(カバー率)97%〜99%は、人工衛星でどれぐらいカバーするのか、地上局でカバーするかは計算中。数万局は打っていかないといけないと思うが、数は確定していない」(矢澤氏)

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