インタビュー
» 2021年10月28日 14時06分 公開

OCN モバイル ONEがドコモの「エコノミーMVNO」に参入し、500MBプランを提供する狙いは?MVNOに聞く(1/4 ページ)

10月21日に、ドコモの「エコノミーMVNO」がスタートし、第1弾としてOCN モバイル ONEが参入した。550円で500MBのデータ通信と10分通話無料が付く新プランも提供開始した。MVNOではシェア2位のOCN モバイル ONEが、なぜエコノミーMVNOに参入したのか。

[石野純也,ITmedia]

 10月21日に、ドコモの「エコノミーMVNO」がスタートした。第1弾として、ドコモショップで取り扱われているのが、NTTコミュニケーションズの展開するMVNOのOCN モバイル ONEだ。

 この取り組みにより、ユーザーがドコモショップに行くだけで、ドコモ回線と同じようにOCN モバイル ONEを契約できるようになった。APNの設定などのサポートをドコモショップ側で行う上に、アカウントを連携させると通信料に応じたdポイントをためることもできる。あくまでドコモとは別会社と契約しているが、ユーザーにとってはドコモ回線と近い使い勝手で使えるというのがエコノミーMVNOの意義だ。

 エコノミーMVNOの開始に合わせ、OCN モバイル ONEは500MBで550円(税込み、以下同)の料金プランを新設した。月に10分までの無料通話がつくのも、他のプランにはない特徴だ。OCN モバイル ONEは、他社に先駆け「音声接続」を導入しており、通常の音声通話料も30秒11円と安い。通話が中心のユーザーにはうれしい料金プランといえる。その他の料金プランもエコノミーMVNOとしてドコモショップで契約することはできるが、この取り組みでターゲットにするユーザー層に合わせ、あえて新プランを作ったという。

OCN モバイル ONE エコノミーMVNO参入に合わせ、500MB/月コースを新設した

 一方で、OCN モバイル ONEはシェア2位を誇るMVNOで、規模としてはIIJmioに次ぐ大きさだ。そんな大規模なMVNOが、エコノミーMVNOとしてドコモショップで販売されるメリットはどこにあるのか。500MBプランを導入した目的とともに、OCN モバイル ONEがエコノミーMVNOに参画した経緯や狙いを聞いた。インタビューには、NTTレゾナントのパーソナルサービス事業部 ND部門 担当部長の植本直樹氏が答えた。

3Gケータイからの乗り換え候補として訴求できる

―― OCN モバイル ONEは、シェア上位のMVNOです。なぜ、ドコモのエコノミーMVNOに参加することになったのでしょうか。経緯を教えてください。

植本氏 OCN モバイル ONEとしてお客さま接点を拡大する中で、リアル店舗を持ちたいということは、ずっと検討の俎上(そじょう)に上がっていました。これは何年も前からです。ただ、MVNOはやはり薄利で、構造的に実店舗を持つのは現実的ではない。ある程度割り切って量販店とパートナーシップを結んで売っていただいていましたが、3月ぐらいに、ドコモから一次MVNOに対してエコノミーMVNOへのお誘いのような文書が届きました。

 文書には、エコノミーMVNOとはこれこれこういうものでという概念や、ドコモショップで取り扱うこと、後は条件的なものが書かれていました。条件にはdアカウント連携やdポイント連携などがあり、それをクリアできるかどうかを議論してきました。ドコモショップは全国をカバーしていますが、これは自前だとできなかったものです。仕組みを作る負荷は大きかったのですが、接点がなかった方々にリーチするチャンスとして、前向きに進めてきました。

 4月に新料金を出しましたが、今はキャリア(MNO)も含めてとんでもない料金競争になっています。MVNOとしての生存領域が狭くなり、「1000円以下でないとキャリアを選ぶ」というほどに(競争が激しく)なっています。そんな中で、MVNOとしてニーズがあるのは、端的に言えば3Gをまだ使っている方、端末で言えばガラケー(フィーチャーフォン)の方です。この中には、1000円ちょっとで使っている方がたくさんいます。ドコモ、au、ソフトバンクともにまだ停波はしていませんが、いずれはその方たちもガラケーを使い続けられなくなります。乗り換え先の候補として、1000円以下のレンジの料金プランで、通話も訴求できればチャンスはあります。その接点として、ドコモショップがあればチャンスではないかと考え、取り組みを進めてきました。

OCN モバイル ONE NTTレゾナント パーソナルサービス事業部 ND部門 担当部長の植本直樹氏

アプリ不要で30秒11円の通話料金も強みに

―― なるほど。500MBプランに10分の無料通話がついているのも、そういうターゲットだからということですね。

植本氏 はい。ターゲットとして、3Gを巻き取っていきたいという思いがありました。そのきっかけになるよう、(無料通話を)つけようと判断しました。4月の新料金では、オートプレフィックスも導入して、一般的には30秒22円の通話料が30秒11円になりました。これが想定していたより評判がよかったんです。この部分でOCN モバイル ONEを選んでくれた方がたくさんいました。MVNOの差別化ができない中で、ストロングポイントになっていたのだと思います。これならガラケーから、電話メインの方が移ると判断し、さらに10分の無料通話をつけ、売りを鮮明にしました。

OCN モバイル ONE 専用アプリを使わずに30秒11円で通話できるようになったことも好評だったという

―― 一方で、そのユーザー層はキャリア側も巻き取り用の料金プランを出し、移行を促進しようとしています。そことのバッティングについては、どうお考えでしょうか。

植本氏 確かにドコモは「はじめてスマホプラン」を用意していますし、他キャリアにも同等のものがあります。ただ、調べると、「当初2年間」というくくりがあります。キャンペーンとしての期間が定められていて、それが終わると料金レンジが上がってしまう。そこが1つの壁になります。ずっと同じ料金のままというのは差別化になるので、一定のすみ分けができると思います。(OCN モバイル ONEなら)セット割や家族割などをつけず、シンプルに回線だけで使っていただけます。

 この「何とか割」というのが結構難しい。いろいろ調べればその料金になることは分かりますが、一般の方には難しいのだと思います。今は980円でも、2年後にいくらになるか分からないというのも、怖いのではないでしょうか。

―― 金額面でも、500MBながら550円で、キャリアのマイグレーション用プランと比べても安いですね。

植本氏 ドコモの卸料金が下がった部分はありますが、限界まで攻めています。

―― ここに10分の無料通話をつけるというのはかなり大変だったと思いますが、いかがでしょうか。

植本氏 (自前の)プレフィックスがあったからこそできたことです。これがなければ、無料通話はつけられませんでした。それができる「OCNでんわ」のプラットフォームをもともと持っていたのは、有利なポイントです。また、細かい話になりますが、OCN モバイル ONEの場合、アプリを全く使う必要がなく、一律で30秒11円になります。これが例えばmineoやIIJmioだと、ドコモ回線だけでなく他社の回線もあるため、一律の料金として(ユーザーに)通知しづらくなります。われわれは幸いドコモ回線だけだったので、自動的に、一律でプレフィックスを付与することができました。

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