新しいディスプレイは先述の通り、ケースの端ギリギリまで表示領域が拡張されている。これを生かすために、文字盤によってはデザインが最適化されている印象を受けた。例えば以前からあった「メリディアン」文字盤では、インデックス(時刻や秒数を数えるための周囲の目盛り)がひと回り端へと広がったことで、より本体と文字盤がなじんだ印象を受けた。
なお、watchOS 8で新しい文字盤がいくつか追加されたが、Series 7のみで使えるのが「輪郭」文字盤だ。崩したデザインの数字がインデックスとして周囲を囲むようになっており、画面タップによって、ぐにゃりと動くアニメーションが起動する。常時表示にも対応しているので、Series 7購入時にはぜひ試したい文字盤の1つだ。
表示領域の広さはアプリの画面を起動した際や、通知の見やすさにも良い影響を与える。ただ、既にSeries 4以降のコーナーが丸くカットされたディスプレイを使ってきた人にとっては、そこまで大きな体験の差はないと思う。その一方でSeries 3以前のモデルから乗り換える場合には、感動的な体験になるのは間違いない。
歓迎すべきは、従来よりも大きなフォント表示に対応したことだろう。3サイズのバリエーションが増えていて、ウォッチの「設定」アプリを起動し、「画面表示と明るさ」の項目内にある「テキストサイズ」から調整が可能だ。
メッセージアプリの返信などで、英語と中国語のみだがソフトウェアキーボード入力に対応したことも見逃せない。ディスプレイ拡張の恩恵が最も大きいのがここではないか、と筆者は思う。これまでは音声入力しか使えなかったため、細かい文字入力ができなかったからだ。
「ソフトウェアキーボード入力の方が便利」とは決して言わないが、Apple Watchで正確なメッセージを送れるという選択肢が出てきたことを歓迎したい。ただし、日本語は相変わらず音声入力がメインのままだ。将来的に平仮名や片仮名入力だけでもソフトウェアキーボード入力が対応してくれれば、大画面の恩恵をより感じられるようになるだろう。
筆者は、ディスプレイが縁ギリギリまで広がったことで「くつろいでいるようなタイミングでうっかり誤操作してしまうのでは?」という心配もひそかにしていた。これは過去のソフトウェアアップデートで、常時表示中にもスリープ復帰を介さずにコントロールセンターや通知センターが直接起動できるようになっていたからだ。しかし数週間試用している範囲では、致命的な誤操作はなかったため、無用の心配だった。
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